【能楽鑑賞】#163 狂言ござる乃座 70th(2日目)

狂言「舟ふな」「釣狐 白狐之習」

野村萬斎×釣狐
狂言ござる乃座 ~70th Anniversary~(2日目)

国立能楽堂
2024年10月24日(木)19:00開演

舞囃子「善知鳥」翔入(観世流)
片山九郎右衛門

狂言「舟ふな」
   主:野村万作
太郎冠者:三藤なつ葉
  後見:石田幸雄

狂言「釣狐」白狐之習
白蔵主/狐:野村萬斎
   猟師:野村裕基
   後見:野村万作、野村太一郎

 笛:杉信太朗
小鼓:観世新九郎
大鼓:亀井広忠

*・*・*

●舞囃子「善知鳥」翔入

先週は梅若紀彰師の舞囃子で、今回は片山九郎右衛門師の舞囃子。同じ流派、同じ演目でも、違う舞を観ているかのような明確な違いがあった(驚)。

型通りに演じて、それでもハミ出て来るのが個性というが、そういうことなのだろうか。梅若紀彰はとても雄々しい舞に感じたが、片山九郎右衛門師の舞は、過酷な猟師の状況を表現しつつも、その中に“柔”を感じる身体の動かし方だった。

もうここまで来ると上手いか否かというより、好みの問題かと思うが、両者どちらもその人の個性を感じられて好きだった。

同じ演目を別の能楽師が演じるとどうなるのか、それを魅せつけられたと共に、日頃、上質なお能を観て欲しいという言う萬斎さんのメッセージを改めて感じた。素晴らしい演者の二人にはもちろん、萬斎さんのプロデュース能力の高さにも拍手を贈りたい。



※狂言は前回と同じなので割愛



●狂言「釣狐」白狐之習

先日観たノーマル釣狐と比べると、だいぶ演出が変わっていて、新たな視点で楽しむことが出来た。

まず、ススキの作り物が橋掛かりに飾られ、一気に能楽堂が白狐の世界観に変化した。そして、パンフの予告にもあった通り、この日は前後場一面で通すため、白蔵主は白狐の面で登場し、頭巾で獣の耳を隠し、尼のような格好で出てきたのだ😳

この姿がとても可愛らしく、また頭巾でスマートになった分、萬斎さんの小顔が強調され、スラッとした出で立ちからは神秘性も感じられる。

ノーマル狐は野性的で長生きして妖術を身に着けたようなイメージがあったが、この白狐は最初から妖術を持って生まれてきたような雰囲気があった(身体のライン的にイタチのノロイをちょっと思い出してしまったのは、ここだけの秘密🤫笑)。


今回、一面通しで使える面と出会えたということで、切り顎に改造されたそれは、横から見たら鼻と口が出っ張ってるので“狐”だが、真正面から見ると人の顔のようにも見えるという、不思議な面だった。

私は脇正面からの鑑賞だったので、殆ど狐の印象になってしまったが、正面席から見ていた人には、また違った印象になったと思う。


見所がウケているシーンが1日目と微妙に違っていたのも印象的だった。最初、1日目で笑いが起きてたシーンも比較的静かだったので、今日のお客さんは真剣に観てる感じなのかしら?と思ったら、前場後半の油揚げの誘惑と格闘する姿に度々笑いが起きていた。

恐らく、見た目がアニマル感増々で可愛くなっていたので、ペット動画を観ているような、ほっこり感を感じたのだろう(確かに、そんなに食べたいなら買い与えたくなるくらい(笑)微笑ましかった)

私は釣狐を生で観る前は、テーマ的にももっと重々しいイメージを抱いて居たのだが、見所の反応を見て、そのイメージは薄れ去った。もっと気楽に観ても良いのだな、と思った。

そういえば、深田さんが故郷で釣狐を演った時も笑いに満ちて大盛況だったらしいが、その時もこういう雰囲気だったのだろうか?萬斎さんの白狐がチャーミングだったように、深田さんの狐も御本人の人柄も相まって、愛らしい狐だったのかもしれない。


後場では、猟師の側にもススキの作り物が追加され、更に早着替えもあり、罠を仕掛けて姿を隠して待つ姿がリアルになった。

そして狐も、まずは白蔵主の姿で再び登場し、橋掛かりにて装束を前転して脱ぎ捨てるという早着替えの演出に。が、ちょっと引っ掛かってスムーズに脱げなかったのだが、着物に慣れてない獣っぽくて、逆に可愛かったり(笑)


途中、橋掛かりから本舞台へ駆け抜ける時に、曲がるタイミング間違えて勢いよく頭からシテ柱にぶつかるハプニングがあったけど、見所はクスクス笑ってた💧

肌の露出が全くなく、どこからどう見ても狐だったので、アラアラ、ドジっ子なキツネちゃんね、くらいに思ったのかもしれないが、私もたまに頭をぶつけることがあるので💧、ありゃ絶対に痛いだろと思いハラハラしてしまった😱💦が、最後まで演じきったし、何なら翌日の公演も元気にこなしてたみたいなので、推し様が頑丈で良かった良かった(ほっ)


罠には鳴子が付いており、カラカラと音を鳴らしながら罠と格闘する演出は、音の効果が追加されたことにより場面がより深い描写になった気がする。これも昔の絵に残っていたのを採用したみたいで、昔は流派やお家によっていろんな演じ方があったのだろうと伺える。

こうして古い資料から実在していたであろう演出を掘り起こし、現代に蘇らせる手法は、流石、野村萬斎というべきか。決して思いつきで演ってるのではないからこそ、万作さんも許したのであろう(以前、狂言はあまり演出するなと言われたと聞いた事があるので)。

あと前回書けなかったが、アドの裕基くんの猟師は2日間とも、アイを演ってる時のようなカッコ良さがあった。背丈があるので、狐とのやり取りも映える。もう安定の上手さで安心して観れる存在だ。


ラストはススキに隠れて、追いかけてくる猟師をやり過ごし、一番最後に幕に入る演出に変わっていたので、この日は高欄越えはなかったが、逆に安心した(苦笑)。国立能楽堂はやはり高欄越え出来るような角度じゃないので、人間が限界突破した瞬間を観れたのは、それはそれでブラボー!だったが、あんなの何度も演るもんじゃない(苦笑)

ススキの作り物が効果的に使われていて、これはこれで素敵な幕入りだった。もう最初から最後まで演出が変わっていたので、同じ演目でも違う演目を観てるくらいの新鮮さがあった。

2日とも、凄く良いもの観れた満足感でいっぱいになった。まずは同じ時代に生まれて、生で目撃出来たことを感謝したい。



御本人の解説はコチラ⬇️
Radiotalk 職業、野村萬斎 https://radiotalk.jp/talk/1237422

ござる乃座 1日目の感想はコチラ⬇️
https://privatter.me/page/6713b194eda5b

過去の観劇日記はコチラから⬇️
https://privatter.me/user/mijuppa
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