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Hizuki
2020-10-12 20:59:49
2890文字
Public
FF14
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繋いだ明日
【FF14】エス光。ヒカセンとエスティニアンの互いにもたらされた『明日』の話。イシュガルドで飲んでるだけ。互いに繋いでもらった明日がある。
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絶望の中で、明日なんて来なくていいと思っていた。
盟友を失った黄昏に押し潰されて、一人塞ぎ込んでいた。
そんな私を掬って、背中を押してくれた人がいた。
―
どうするんだ、これから
―
…
わかんない
―
何をするでもいい。何をするのかはお前が決めろ
不器用な人だった。
自身の目標のためだけに全てを注いできて、他人と関わることを遠ざけてきた人。
そんな人が、私が次の一歩を踏み出すための手助けをしてくれた。
だから今、私はここにいる。
復興のお手伝いにちょこちょこ顔を出しているイシュガルドで、エスティニアンに会ったのは本当に偶然だった。
そして、せっかくだから夕食でも一緒にどうかと声をかけて、忘れられた騎士亭のいつもの席で向かい合っていた。
いつものお酒を飲みながら、互いの近況を報告し終わった時だった。
「エスティニアン、色々ありがとね」
その言葉は私の口から自然と零れていた。
少し間が開いて隣からコトリと何かが置かれる音がした。
グラスと氷がぶつかったのか、小さな澄んだ音が聞こえる。
「
…
何だ急に」
私の言葉の意味を探るような声。
お酒が入っているとはいえ、あまり面と向かって言えるようなものでもなく、ただ自分の手の中にあるグラスに視線を向けていた。
「いや、何となく言いたくなっただけ」
色々、には多くのものが含まれていて、それをひとつひとつ挙げていたらきりがない。
だからぼんやりとごまかした。
「酔ってるのか?程々にしておけよ」
かすかな溜め息が聞こえた。
今日はまだそんなに言うほど飲んではいない。
酔った勢いでというものではなくて。
きっとそれはエスティニアンも分かっているのだと思う。
「
…
俺に『明日』をくれたのは、お前だったな」
私と同じような声でエスティニアンが呟いた。
ゆっくりと視線を上げると、隣に座っているエスティニアンを見る。
空になったグラスと何かを思い出すように目を伏せている彼の姿。
雲廊でニーズヘッグと対峙した時のことが思い浮かんだ。
ただエスティニアンを助けたい一心で戦って、何とか助けることができて。
ふと『明日』という言葉に苦い記憶が蘇る。
「それを言うなら、私を『明日』に進めてくれたのはエスティニアンだよ」
同じように目を閉じる。
大切な人を失って、もう来なくてもいいとさえ思った『明日』。
どうしたらいいのか、どうしたいのか、何も分からなくなって、独りでいた時。
不器用ながらも私を受け止めて、歩き出せるようにしてくれたのはエスティニアンだった。
そのおかげで私は今こうしていられる。
「俺は何もしていない」
「またそういうこと言う」
そっけない声に目を開けてみれば、エスティニアンは私から顔を背けた。
つんつんと腕をつついてみても抵抗されるような様子はない。
「いつもありがとう」
今までも、これからも。
見えるところも、見えないところも、きっと私はこの人に助けられている。
「
…
俺の方こそ」
珍しく素直な言葉に少し驚いて、カウンターの中のジブリオンさんに声をかける。
「この人と私にここで一番おいしいお酒を!」
もう少しで今日が終わり、明日が来る。
明日が来なくてもいいなんて、もう言わない。
私とエスティニアンの前に新しいグラスが置かれた。
それを持ち上げて、グラスの縁を軽く重ねる。
『明日』へ踏み出すために私の背中を押してくれた彼に感謝を込めて。
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