(東映初期スケッチに露骨な影響が見て取れる『ガッチャマン』ですが、この作品の健ジョーぼかすか回って、33話の参考元ネタか底本になってませんかねえっていう個人的なもやもや。
健は既に発症して隠してるジョーに話してくれるよう二人きりで会ったりもしてたんですが、ささきいさおボイス・ジョー・っょぃの巌のごとき意志は揺らがず殴り合いになってしまい。
33話はあれの成功例をやりたかったんじゃないのかなとか、それにしちゃ隼人のあのにゃんこのようなセクシー挑発ってのはまた別のアイディアであって意味深よなあ演出さん何考えてましたんとか。竜馬は「そう」誘われるのに乗ってしまうんじゃなく、胡麻化されるのも拒んで、男同士の殴り合いを選ぶべく切り替えたんじゃないかなあ)

あの人影を覚えている
二人の男、少年
聞いた話だったか過去の関連組織のアーカイブかはたまた夢か
似ているようで似てない、似てないようで似ていた、
あのふたり
曇天の下、一人が強く睨みつける、一人が目をそらす
一人が押す、一人が拳を固める、一人が振り払う、
一人が、拳が
一人はリーダー、一人は狙撃手
一人はこの戦いのために身を捧げた父を誇りに
一人はこの戦いの前、敵陣から離反しようとし粛清されたた家の子
―――その記憶が戻って日が浅い
曇天の下、一人が顎をさすり強く見つめる、一人は立ち上がりもう目を逸らそうとしない
話すことなど無いのだと
リーダーは知らない、「仲間」の復讐以上の思いを
狙撃手は知らない、自分の身体を日々苛む疼きがもはやカウントダウンに至っているのを
同じ指令に共に肩を並べ駆けて行く二つの後姿
だが竜馬は知っている
「彼」は「仲間」を追うのに、間に合わず終わったのを
追い付いたときは別れの時だった
深い悲しみも、責任感の後でついてきた
そのことを竜馬は知っている
「隼人
―――隼人!」
いつもの良い風が通る草むらではなく静かな木陰でもなく、剥き出しの地面に彼は這い、笑う
いつもの深紅の装いではなく、新調したらしい落ち着いた秋物のベロア生地が無造作に、肩までの黒い髪とともに"地ベタ"なんぞに
―――
今どきの若い者は、平気な顔して直ぐどこでも座る、とは竜馬の父が苦々し気に、嘆かわしいこととして挙げることであったから、それは地にまみれさせてはならないものを、軽々しく汚すことであり、はしたないことである。そのはずだ。なのに。
まるで切り花を地面に取り落としたような、美しさは息吹はまだ何も損なわれていないかのよう、急ぎ拾い上げるべく膝を折り身を屈めるに値するものであるかのよう、そうするこそふさわしいかのように。錯覚させられる、と竜馬は感じた。
まるであの色だ、あの花だあの女だ
『カルメン』は図書館のごく薄い文庫本だったから、感想文を書かされる時にはウェルテルや野菊の墓同様手を出し、だから結局何なのだ、と竜馬はいつものように首を捻った。同名の音曲のよう情熱的で賑やかな物語かと思えば小説はそうではなかったし、カルメンの名がポスターカラーのカーマイン
―――深紅と同じ語源かと思いきや、彼女の名が意味するのは”歌”だというからまったく期待とともに予想をへし折られもして、それでも。
タバコ工場の流れ女が男の胸に投げつけた小さな強く香る花
女は笑いながら後ろ手に縛られ連れていかれた
深紅
隼人がしどけなく笑っている
繋ぎ留められない野の鳥
―――それは?
違う、それではない
俺が最初になりたいのは、お前の「友達」なんだ、「仲間」で「リーダー」はその後でいい、今ではない、まして「それ」などというものは。
壊してしまわないか恐る恐る触れるのではなく自分自身の身体のように触れられる、立木の幹のように体重を預けていい、しっかりとした、続き育っていく、終わらないもの。
ああ、そうだ。
そんなきれいで平和で簡単なものをくれればいいはずなのに、なぜ「それ」を請うように破滅覚悟で挑めというかのように、隼人は、おまえは
竜馬は相手を引き起こし、上がる息を整えようとしつつ拳を固めた。
恋してしまうのはいまではないと
(了)
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