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2023-02-19 11:20:13
6664文字
Public 轟飯
 

プリコンディショニング

同人誌にしたいネタの冒頭部分です。
もう既に付き合ってますが、キス止まりで肉体関係はない轟飯です。

「おはよう!早起きだな、轟くん」

朝から聞き馴染みのあるスピーカーのようによく響く声が聞こえた。
寮生活をしていても、各々の生活習慣の違いで中々クラス揃って顔を合わせる事はあまりない。
自分自身は規則正しい生活というリズムがなく、翌日の予定によって生活が変化するタイプだった。
今日は一限目から授業で訓練場が使えるとの事で、朝からでも利用できると相澤先生に言われていたので広範囲で力を出せる機会だと思い、自分にしてはかなり早起きをしたつもりだったが、飯田はそれよりも遥か前に起きていたらしく既にトレーニングウェアから滴るほど汗をかいていた。
「おはよう、飯田は走って来たのか?」
「あぁ、昔からの習慣でね」
と言う語尾から何故かふふふっと声が漏れるほどに微笑まれて、まだ薄ぼんやりと寝惚けていた頭が一瞬で目覚める。
「すごい寝癖だな、男前が台無しだ」
また喉を小さく鳴らして笑われた。
そんなに面白いのかと若干気恥ずかしさもあったが、それよりもこんな笑顔を貰える事のが嬉しかった。飯田の笑顔は、こちらもつられるほどに良い顔をしている。
「そんなにか?俺も髪濡らすかな」
飯田が着替えを手にしてるところから行先は風呂場だろうと思い、最初は顔を洗うつもりで向かっていた共同洗面所ではなく風呂場まで一緒に向かうことにした。
風呂場にある鏡を見たら、確かに膨らんだ髪がどうしてそうなったんだと言ううねりを見せていた。
そう言えば、昨日は早寝をしようとして髪をあまり乾かさずに寝てしまっていたので、原因は明らかだった。
鏡の中ではもう裸になった飯田がサッサと風呂場に向かっている。風呂場だから当たり前だが、こうやって二人きりと言う場面で裸を見るとちょっとドキドキしてしまう。
いつ人が来るかわからない場所で、と思いつつ、そういうシチュエーションも興奮の材料になった……思わず膨らむ妄想をブルルっと動物の身震いのように頭を振るって吹き飛ばした。
飯田と気持ちを通わせてから、まだそんなに時間は経っていないのだが日々じわじわと気持ちの火種が大きくなっているような気がした。
飯田に対しての友愛と恋慕への違いは、そんなにないかと思っていたのだが、たまに自分の中で気持ちが勝手に切り替わってどうしようもなくなる。心臓が大きく高鳴る度に、自分でブレーキを強く踏み付けなければ止まらなくなってしまう気がした。こんな朝から盛ってしまう訳にはいかない。
オレも寝巻きにしているジャージを脱ぎ捨てて、すぐに頭から冷水のシャワーを浴びた。
その冷たさに身体が硬直してチリチリと疼く気持ちと身体を切り替えられた。そしてすぐに炎の個性で瞬間体温を上げる。最近は、体温調節をすぐに行えるように特訓していたのでサウナに入った時のように身体が一瞬で火照り上がる。そうして、もう一度冷水を浴びた。
個性を使わずともゆっくりと体温が上がり、身体が完全に覚醒した。
カラスの行水と揶揄される方法だが、我ながら合理的で良い方法だっと思う。
汗で前髪が濡れていたからか、飯田は朝から髪までしっかり洗っていた。
背中を軽くつついて先に出る事を伝えようとしたが、今冷水を浴びて冷えた指先に思っていた以上に飯田の身体を大きく跳ね上がらせた。悪いことをした。
「驚かせて悪ィ先に上がってるな」
「あぁ、俺もすぐ出るよ」
眼鏡を外した飯田がこちらを振り返るが、どれくらい見えているのかはわからない。少し不思議な目線を返された。
白い肌をしていて、その身体はとても瑞々しく、あまり目立つ傷が無い中、左腕の傷が痛々しく目立っていた。
その傷が目に入ったので、オレはジロジロ不躾に見る事なく目を反らせた。
飯田のように制服を持って来てはいなかったので、オレはサッと洗顔に使う為の手拭いで身体を拭いて、ぺったりとした髪を今度は浴場にある共用のドライヤーでしっかり乾かして手ぐしで整える。後ろ頭も触る限りは跳ね上がってる箇所はなさそうだ。
まだ飯田は風呂から上がって来ては居なかったが、そろそろ出て来るだろうと思い、早足で部屋に着替えに戻る。
ちゃんと制服に着替えてから、歯を磨きに共同洗面所へ行くと、甲田と常闇と顔を合わせたので挨拶を交わす。この二人も朝は早いようだ。
歯を磨き始めたが、飯田の姿はまだ見えない。
洗面所の先に風呂場があるのでここですれ違うと思っていたので少し不安になる。
行動が早い飯田の事だから、オレが髪を乾かして後にすぐ出て来ると思っていたが、流石にまだ風呂に入っている訳ではないだろうと思いつつ、今度はタオルを忘れてしまったので濯いだ口元を手で拭って、風呂場へもう一度足を伸ばした。
すると風呂場の前には飯田の部屋履きがあった。
汗を流す程度、と言っていた筈なのに随分長いな。いつも風呂は30分以内だと言っている割に、今日はいつも皆で入る時より少し長い気がする。
まさか倒れたりしていないだろうかと、風呂場の扉に手を伸ばそうとした時、扉が開いた。
扉から出て来た時、飯田はそこに人がいると思っていなかったらしくギョッと目を見開いていた。一瞬互いに息を飲み無言になる。
「飯田、大丈夫か?」
朝は湯は張られていなくシャワーだけだったはずなのに飯田の顔は少し高揚しており、不思議に思った。
「何がだね?」
眼鏡が反射していつもの飯田の顔になる。
「ちょっと風呂の汚れを見つけて掃除をしていたら、時間が掛かってしまったんだ。心配してくれてありがとう」
なるほど、飯田らしい理由に合点がいった。
何となくギクシャクした動きをしている気がしたが、体調が悪いようではないようなので安心して揃って朝飯を食べに行く事にした。

**

一日の授業が終わり、自由時間になるとどちらかの部屋で互いにくつろぐのがオレらのルーティーンになっていた。
部屋でも特段一緒に何かをする訳ではなく、飯田は机に向かい、オレは飯田のベッドの上で飯田の蔵書を読んでいた。
飯田の部屋の本は意外とジャンルが多岐に渡っており、結構楽しい。漫画は読み方がわからないと言い、あるのは真面目な本ばかりだが、今時図鑑なんかもあったりして、少しワクワクする。
文字はあまり真面目に追わず、気になるところだけ流し読みして堪能し、飯田の方に目をやる。
真面目に予習勉強をしているその姿は教室で見る時の様に、ピシリと直角で姿勢の良い背中が格好良かった。
そっと自分の身体の角度を変えて、飯田の横顔を覗き込んだ。
真剣な目をする飯田の顔が好きだった。
もっとよく見たいと気付けば近くで見過ぎていて、視線が被さる。
「どうかしッ」
言葉を遮るように、振り返る飯田の顎を持ち上げてそっと口付けをした。
自分の行動に自分でも驚く程に自然に行われたそれに、飯田は唇を重ねた瞬間は身体を硬直させていたが、勉強の邪魔をしたと言うのにそれを拒否をする事はなく、自然と椅子を回転させてオレに向き合うようにして受け入れてくれた。
夜もまた皆揃って入った風呂上がりの香りが、朝よりも強く感じられ、高揚した身体から、その良い匂いが溢れてきて鼻腔を満たす。その香りに誘われていつもより深く口付ける。
薄く開けた口からゆっくりと飯田の唇を舌でなぞると飯田も口を開いて互いの舌を絡めた。
「んっ
飯田から声が漏れる。
何度かキスをして知ったが、飯田はキスが好きなようだ。
舌の裏側を舐め上げていくと唾液が増える。
食事の後にしっかり磨いていた歯磨き粉の味がしていたのが、ゆっくりオレの唾液と混ざって薄まり口から溢れそうになるのをこぼさないように飲み込む。
他の人間の唾液の味を知らないが、飯田の唾液はすこし甘い気がする。
更に舌で口の中全部を舐め上げるとオレの腰に添えられていた飯田の手のひらに力が入り、オレの服に皺を刻む。
飯田も興奮しているのを感じるとドクドクと自分の心臓の音が大きくなって、耳の後ろから音が聞こえてくるようだった。
「飯田、ベッドに行こう
呼吸が苦しくなって、顔を離して言った。
間近で見る飯田の顔は真っ赤で、眼鏡の下の方がすこし曇り、目元も潤んでいる。
ゆっくりと離れた唇がオレと離れ難いような形をさせながら、コクリと頷く。大きな身体をしていても仕草が小さく可愛らしい。飯田を引っ張りベッドに雪崩込む。
飯田に覆い被さるようにして、ベッドサイドに置かれていたライトのリモコンで部屋を暗くさせた。
飯田は暗い方が素直で、大胆になる。
暗闇の中、飯田の顔の形を手でなぞって再び重ね合うべく唇を探った。指の腹で唇を撫で付けると、飯田はちゃんとそれを待ち受けていて、ゆっくりと落とした唇を重ねて位置を確かめた。
何度かわざとリップ音をさせて唇を角度を変えて啄むと飯田の身体は徐々に熱くなって、待ち切れないようにオレの頭を掴んで口の中に舌を飛び込ませる。
最初食べられるのかと思ったそれは、ゆっくりとオレの舌を探り出し、見付けると自分の肉厚な舌全部を擦り付けてきた。大型の動物がじゃれて身を預けてくるようなその勢いで上半身のバランスを崩したオレはベッドの上から飯田の胸元に手を落ち着かせた。
同じ男でも飯田とオレの身体は全然違っていて、鍛えられた胸筋は力を抜いているとふんわりと柔らかい。それは砂藤が前に捏ねていたパン生地と似ているから驚きだ。オレの胸の様な何の面白みのない平さとは全然違う、もしかすると女のそれより柔らかいんじゃないだろうか。
触れた拍子で何度かちゃっかり揉みつつ、小さな蕾を探る。柔らかさの中にある膨らみを見つけると指で弾いた。
「ふぅんンっ……
こんな甘い声を聞けるのはオレだけだろう、普段では絶対に出さない甲高い声が喉から漏れ出た事にオレの動きが荒々しくなる。
思わず犬の腹を撫で付けるように下から揉み上げたり、何度か蕾を摘んだり指で擦りつけると、飯田はガッチリと張った太ももでオレの足を挟んだ。丸太のような存在感がある脚は、力が入っていない自分の太ももは飯田の胸とは比べ物にはならないが、まだ柔らかみがある為、脚の間に飲み込まれてしまう。
互いの柔らかい部分を互いに捕らえ合って、雁字搦めになる。
身動きが取れない中、互いの唇を貪る水音だけが部屋に響いて、どちらのかわからない唾液を舐め取る度に半端なく興奮した。
呼吸が荒くなった飯田の鼻息が頬に当たり、喉の奥からはずっと捨て犬がこちらに向けるような切ない声が漏れていて、オレの庇護欲か被虐心か、どちらかわからない気持ちでぐちゃぐちゃにされた。
特に歯の裏側や上顎を舐めると反応が良く、数度となく脚をバタつかせていた飯田の腕が縋るようにオレの肩と首元をホールドして、完全に身体雪崩込み密着された時にオレの下半身と飯田の下半身が触れ合った。二人ともすっかり膨れ上がっていて、特にチノパンの飯田の方は首を持ち上げられず苦しそうだった。
そういや、いつもどうしてるんだ?」
ふと浮かび上がった疑問を口に出す為すこしだけ顔を離すと、恋しそうに唾液が唇を繋ぐ糸を引いた。
もうすっかり闇に目が慣れて、間近に飯田の顔が見える。眼鏡がズレる事も気にしていない顔はだらしなくとろんとしていて、きっと自分も似た様な顔をしているのだろう。
突然独り言めいた問い掛けをしてしまったが、糸を舐めとっている間も、飯田は言葉の意味にピンと来てない顔をしていたので、そっと飯田の膨らみに自分の右手を添えた。飯田の腹の下辺りがビクリと動く。
普段もキスをした時に膨らんでいる気配は感じていたが、ちゃんと触れたのはこれが初めてだった。
拒否をされないせいでオレは手のひら全部で飯田の下腹部の形をなぞる事が出来てしまう。他人のソレに触れるのも勿論初めてだったが、オレのより立派なサイズをしてる事に素直に感心していた。その膨張した硬さから飯田が気持ち良くなっている事がよくわかって、よりムラムラとした気持ちが沸いた。
「処理する時、俺の事考えたりしたりしてるのか?」
口に出して見て、滅茶苦茶その様を見てみたいと思った。どんな風に手を動かして乱れるのか、本人を目の前にしていつもしている妄想が鮮明に浮かび上がってブレーキを見失った。いつもより深みに足を伸ばしてしまった気持ちは、今日は止める事が出来そうになかった。
「処理自慰行為について、と言う事かい?」
「あぁ
思わず生唾を飲み込む。
のそのそとオレの身体の隙間から抜け出るように身体を起き上がらせながら眼鏡の位置を整えて、いつもの委員長らしい受け答えをしているのに、発する言葉が下卑ていてエロい。
……正直いうと、どうしていいのか、あまりわからないんだ」
「どういう事だ?した事ない訳じゃないんだろ」
会話の内容とは反して沈痛な面持ちをする飯田に食い入るように身を近付けた。薄暗い部屋でもぼんやり見える飯田はさっきまでの興奮していた時とは別で、暗い表情をしてオレからの視線を外した。軽い気持ちの質問からこんな顔をさせるとは思いもしなかった。
自分自身そんなに知識深い方ではないとは思うが、正直本能的に男は当たり前に出来るモンかとも思っていたのだが、飯田は違うのだろうか。
正直オレは最近する度に飯田の事を考えてしていたので、少しのショックと共に興味が湧いた。
「男としての構造で定期的な排出が必要なのはわかってはいるのだが、どうにも排泄以外で触れるのが間が抜けて感じてしまって、いつも、その
もじもじとする飯田の顔を見て、何故か今朝の情景が急に思い出された。
「今朝シャワーしてた時にしたのか?」
目を見開いてこちらを見る飯田の顔は口がパクパクとして言葉をすぐに出せないでいた。それがもう答えで、オレの閃きから生まれたパズルのピースが埋まった。
「こっ公共の場所で、身勝手な行為なのはわかっているが、その刺激で、早く終わるからッ……
目に見えて焦る飯田は下を向いて眼鏡のブリッジを中指で押し上げる振りをして顔を覆い隠した。その言葉は徐々に小さくなって消える。
つまりそれは自分でシャワーを当ててしたって事か?何だよ、オレがすぐ傍に居たのだから言ってくれたらいいのに。シャワーを下半身に当てがって身を捩らせる飯田を妄想したら、めちゃくちゃエロくて、そこに自分も混ざって出来たらヤベェなと今朝のifを頭の中で思い巡らせた。
「自分の手ではしないのか?」
今ので自分もバキバキに硬くなってしまったが、飯田の反応が見たくて質問を続ける。
「前はしていた事もあったが、腕を怪我してから手首を酷使すると痛むから……
その言葉で保須市の事件が一瞬で頭に駆け巡り、身体の熱を吹き飛ばした。

───あれはオレたちに忘れられない出来事だった、そして飯田にとっては一生残る記憶だろう。
病室でたまたま二人しかいない時に医師からの診断を聞いてしまい、落胆する飯田の姿が鮮明に思い出された。
オレは慰める事は出来ず、飯田の代わりに緑谷にその事実を自分から伝える事しかできなかった。今思えばそれはオレからする事ではなかったかも知れない。
だが、飯田からすぐ出る言葉ではなかっただろうし、誰よりも飯田を心配していた緑谷には知る義務があるとは思ってした事だった。
無遠慮なオレを咎めず飯田は、手術をすれば治ると言われた腕に残る障害を敢えて自分の戒めとして残すと言った。ヒーロー殺しは、こんな所でも飯田を苦しめていた。
自慰行為をする際に、その痛みが邪魔をしてより罪深い事をしていると感じてしまうのだろう。外的な刺激を与えて満たす事しか出来なくなってしまった事を、咎めれる筈もない。
おずおずとオレは飯田の身体を抱きしめた。
最初はされるがままだった飯田もまたオレの身体に腕を絡めて来た。
いつも飯田は、オレやクラスメイトの事を考えて動き、葛藤している。
オレは求められた事が明確なら動けるが、自分からそれを察して率先して動く事は出来ないので、そんな飯田を尊敬しているし、対して自分には厳しく不器用なところを愛しく思っている。
自分が支えられる事なら何でもしたいと思う程に、飯田に対しての気持ちの割合が自分に大きく存在している事を再確認した。
その気持ちを表すべく、そっと飯田の耳元に呟いた。



「俺が、してみてもいいか?」