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冬灯夜
2024-09-04 16:37:04
5540文字
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ルミナリア
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台詞+CP、コンビ、トリオ
台詞一つとCP、コンビ、トリオのいずれかを指定してください! で頂いたものを書いたやつ
リプありがとうございました!
エド+アナ、ラウアナ、ロランス隊、リュシヴァネ、ル・サント
2Pは画像版
1
2
※細かい修正が入っている為、画像と違う箇所があります
エドワール+アナマリア「旅の終わりが来るとして」
りくこさんより
「旅の終わりが来るとして」
不寝番の最中に、そう訊ねてみたことに深い意味はなかった。
「その後は、どうする?」
不寝番の時には雑談を。昼間するそれよりももっと意味のない、くだらない、どうでもいい、仮定の話だとか。そんな習慣がいつの間にか常となっていた。
「そうですわねえ」
オレの問いを受けたアナマリアは指を顎に一本当てて、首を傾げて考え始める。『終わるなんてイヤですわ!』と言わないのが少しだけ意外だった。
「わたくし、おやし
……
おうちは燃えてしまったので、帰れないのですわ。どうしましょう。シャルルと二人で旅を続けますかしら」
想像してみた。猪突猛進お嬢様があそこに行きたいこうしたいと進む。過激派従者は全てその通りにして共に突き進む。
……
保護者がいないと周りが大変そうな旅路だが。
「楽しそうだな」
「ええ、きっと楽しいですわ! 勿論、今までの旅がこれまでで一番楽しいのですけど!」
手を胸の前で握り、満面の笑みでアナマリアは言う。
お屋敷が燃えた、辺りにはつっこまない。今更だ。隠す意味も大してないと思うのだが、全くもって人のことは言えない身なので黙っている。
「エドは、旅が終わったらどうしますの?」
今のオレの旅が終わるとしたら、それはきっとリディが目的を果たした時だろう。護衛の必要がなくなって、その
後
のち
。
「さて、な。オレも故郷には帰れないだろうから、また傭兵稼業に戻るか」
「まあ。エドとわたくし、お揃いですわ」
からからと軽い調子の言葉に、不思議と悪い気分にはならなかった。
ぱん、とこれまた軽くて明るい音がアナマリアの手から打ち鳴らされる。
「そうですわ! それならエドを護衛に雇って、リディもおうちに帰らないかもしれませんし、ラウルもまたフラフラするのでしょうし、この旅が終わったらまた皆で旅をしたらいいと思いますわ!」
結局そうなるのか。だが。
「案外悪くないかもしれないな」
行きたい所に行って、あの時逃した観光をして、とアナマリアは楽しそうに並び立てる。
オレは小さく笑みを零した。きっと、実現しないだろう未来に。
ラウアナ「マーボーカレーのレシピを手に入れましたの!」
亜狭さんより
「マーボーカレーのレシピを手に入れましたの!」
にっこりと、いつものようにと、アナマリアは笑った。
「マーボーカレー飯店のマーボーカレー、ラウルもお嫌いではないでしょう? 10辛は断固拒否でしたけど
……
」
そうだね。マーボーカレーは嫌いじゃない。が、マーボーカレー飯店の10辛はとてもじゃないけど無理だった。あれはもう兵器の域だよ。
「でも、ラウルは甘いものも苦手ですわよね
……
甘口カレーにするわけにもいきませんし、どうしましょう」
「いや甘いのが嫌いってそういう意味じゃないからね?」
思わずツッコむと、アナマリはやや俯いていた顔をぱっと上げる。
……
あーあ。
「まあ、そういえば1辛のマーボーカレーは普通に召し上がってましたわね! それならこのレシピで問題ないですわ!」
問題があるとしたら作る人物の腕じゃないかなあ。
「あとはビターラタトゥイユに、チーズソースもお好きでしょう? 貝とナマコは新鮮さが命ですから、これから仕入れに行って
……
それから、それから
……
」
数えるその指が、微かに震えている。それを自分はただ、見ているだけ。
「他にも、いっぱい
……
シャルルも、エドもリディも、作ります、わ。だから
……
」
アナマリアの顔が段々と硬くなっていく。必死に、それでも笑顔を維持しながら。
「だから、
……
戻ってきてくださいませ、ラウル」
くしゃりと表情が崩れて、涙が一筋、アナマリアの頬を伝った。
ふう、と聞こえるようにため息を一つ。
「裏切者にそんなこと言うなんて、本当に甘いね、アナマリア姫は」
ぼろり、ぼろりと続けてアナマリアは大粒の涙を零す。
こんな静かに泣く子だとは思っていなかった。
覚えてる。楽しそうな笑顔も。手を取った時の温度も。おずおずと抱き締められた瞬間の己の自嘲も。彼女の真剣な言葉に、皆のことが好きだよ、なんて浅く甘い返事をしたことも。
「甘いのは嫌いなんだ、お兄さん」
その全部が胸の裡を切り裂いている、今の自分が。何よりも。
ロランス隊「この日々が続きますように」
太武郎さんより
「今日はいいお天気だねえ
……
」
ほわほわ、という言葉が似合う笑顔で、アメリー隊長は天を仰いだ。
「そうですねえ
……
」
つられて見上げた空は青く、雲が静かに浮いていた。赤と緑のマナの川も心なしかゆったりと揺らめいている。こんな日は日向ぼっこをしながら温かいものでも飲んで、ついでに軽食もあれば言うことなしだ。
「ユーゴくん。実はね、ここにコーヒーが三人分! じゃーん!」
「流石です隊長!」
「何で持ってんだよオメーは。荷物になんだろうが。糧食の類で持って来たわけじゃねーんだろ、ソレ」
「よく分かったね、クロードくん!」
レインツ荒涼地帯を抜け、寂光丘陵に差し掛かった辺りの獣討伐任務にロランス隊は来ていた。より正確に言うと、ロランス隊に下された任務に狼将補の僕が帯同した形だ。いや、僕は今もロランス隊なのだから、何の問題もない。
通りかかったお店で、前に助けた人がいてお礼に
……
という隊長のラッキーエピソードを聞きながら、配られたコーヒーを受け取る。保温機能のあるリアクターが水筒に仕込まれているようで、ほどよい温かさだった。
「ここで飲む必要あるか? 任務もとっくに終わってんだ、さっさと帰れよ」
「だってこんなお天気なんだよ? 気持ちいいよ」
「そう、予定より早く終わったんだし、報告を焦ることもないんじゃないかな。ファルクって意外と真面目だよね」
「早く帰って肉食いてえんだよ」
納得。が、隊長と僕が動かないのを見ると、舌打ちしつつもファルクは草の上に座る。こう見えて真面目だし面倒見もいいんだよね、ファルクは。
ファルクがコーヒーを啜る音がする。草を揺らす爽やかな風が、アメリー隊長の微かな鼻歌を耳に運ぶ。目の前には一面の緑と、点々と咲く花。木々の香り。
……
シルヴェーアが近い。ああ、こんな日が
――
「この日々が続きますように」
隊長の優しい声が聞こえた。
……
同じことを、思った。彼らとこんな風に長閑で微睡むような心地の日々を過ごせたら、と。
騎士学校でも。幼馴染みの二人と。同期と、先輩達と、教官
――
思わずカップを強く握りしめた。世界にはこんな平和すら享受できない現実が溢れている。そして僕達の平和を奪った者がのうのうと
――
「ケッ、オレ様は御免だぜ」
退屈過ぎらぁ、とファルクの嫌そうな声に、ふと力が抜けた。
「クロードくんはまたそんなこと言うんだからあ。嫌いじゃないのにねー?」
「ですね。嫌いじゃないくせに」
「だからテメーら結託すんじゃねえ!」
穏やかで、騒がしい日常。
……
やっぱり、思う。祈ってしまう。この一時をどうか、少しだけ、ゆるして欲しい、と。
リュシヴァネ「冗談だと言ってほしい」
akiさんより
「私は、彼のことを
……
剣の主とは違う意味で、慕っているのかもしれない」
懺悔したいことがある、とヴァネッさんに切り出されたのが先刻のこと。ここ数日挙動不審だった彼女が深刻な顔で言うものだからあたしも気を引き締め、そして聖堂の隅で開口一番これである。
「マジ!? そっかー!」
ようやく自覚したんだねヴァネッさん! あれは
……
そういうこと? そういうことなんですか? と後輩女子達に訊かれるくらいには見えてたしあたしもそう思ってたけど、本人的にどう思ってるかは分からない、と答えるより他になかった、それが遂に!
「
……
ん? それで懺悔ってどゆこと?」
やったねおめでとうこれからどうする? という話じゃない?
「彼が
……
リュシアンが、私の剣を捧げるべき相手というのは変わらない。だからこそ、こんな気持ちを抱いてしまったのはよくないことだ」
「いやいやいや、そんなことないでしょ。というかコレ僕が聞いていいものなのか? 無論このマクシム・アセルマン、可愛い後輩の悩みを聞くのはやぶさかではないが!」
そう、ここにはあたしことイェルシィとトトと共に、マッキ先輩もいる。聖堂に向かう途中で遭遇したマッキ先輩にも聞いて欲しい、とヴァネッさんが頼んだからだけど。
「マクシムは将来的には騎士の上に立つ人でしょう。そんな立場からして、仕える者が不純な想いでいてはいけないと思いませんか? リュシアンの親友としても、そんな不心得者が傍にいては不快ではないかと」
「ふ、不快ってキミ
……
」
ほ、本気だこれ。超本気! マッキ先輩が絶句する程に!
「誰かを好きになる気持ちに不純も何もあるかーい! あたしはそう思う! っていうかそれで力を出せるなら全然いいじゃんむしろ!」
「そ、そうとも! 立場で人を好きになる気持ちは制御出来ない! 公私混同したり役目を疎かにするのでなければ、その心自体は尊ばれるものの筈だ!」
絶対このままじゃ近寄るのすら止めちゃう! と二人で必死に説得を試みる。ヴァネッさんはあたし達の勢いに暫しぽかん、とし。
「よい、のだろうか。このまま、あの人の近くにいても」
「「いいよ!」」
「
……
そうか。ありがとう、二人とも。何だか、少し心が軽くなった。彼に迷惑だけは掛けないよう、しっかり剣として自分を戒めておくよ」
どこかすっきりとした、けれど何かを秘めた微笑みを残してヴァネッさんは次の任務へと向かう。見送るあたしとマッキ先輩は、アイコンタクトもなしに通じ合っていた。
「
……
ねー、マッキせんぱぁい。一歩前進どころか、リュッシー前途多難ですよお、これ」
マッキ先輩は顔を覆い、聖堂の天井を仰ぐ。
「
…………
冗談だと言ってほしい」
「ヴァネッさんは冗談言いませんよー」
「知ってる!」
ル・サント「いっけなーい 遅刻遅刻」
黄金方さんより
「いっけなーい、遅刻遅刻」
言葉と声の高さだけは明るく、しかし感情の籠らない棒読みと無表情を湛えたセリアに、俺とユーゴは震え上がった。小首を傾げて頭をこつん、なんて『全力でわざとです』と言わんばかりのかわいこぶった仕草までして。
「ごめんね、遅れちゃって。ミシェルと楽しーく勉強会してたの」
「お、おう、全然
……
ぜんぜん
……
な? ユーゴ」
「そうだねレオ、うん、全然、気にしないで
……
」
俺もユーゴも顔が引きつっている。そんな俺達をセリアはじろりと睨め上げた。
「そうよねー。誰かさん達は完全に、半日、すっぽかしてくれたんだったかしら。それに比べたら精々五分くらい、かわいいものよねえ?」
「仰る通りです」
「返す言葉もございません」
平身低頭とはこのことだ。前回の休日、調べ物を手伝って欲しいとセリアに言われ、勿論俺達は了承した。が。午後からの約束だったので、その前に軽く鍛錬でもしようと二人で手合わせをしていたら熱が入り、たまたま居合わせたリュシアン先輩にも指導してもらえて、
……
鐘の音に二人で血の気の引いた顔を見合わせるも時既に遅し。
俺達が図書室に駆け込んだ時、セリアは途中で合流したミシェルと既に調べ物を終わらせていた。
そして約束をすっぽかしたお詫びとして、セリアの好きな店に付き合って好きな食べ物を奢るというのが本日の休日というわけだ。ミシェルからは『私は約束していたわけではありませんし
……
』と同行を遠慮されている。ミシェルにはせめてお土産を買ってこう。
縮こまる俺達に冷たい視線を浴びせていたセリアは、やがて大きく息を吐いた。
「まったく。懲りたんならもういいわよ! せっかく出かけるんだから、楽しく行きましょ」
仕方ないんだから、と言わんばかりの呆れと許容の表情に、こっそりと強張っていた肩の力を抜く。よかった。自業自得とはいえ、流石に今日一日この空気じゃ居た堪れなさすぎる。
「
……
あの日も、本当は調べ物の後、一緒に出かけたいなって思ってたのよね。だから今日は
……
」
小さな、セリアの呟き。
歩き出したセリアとは逆に、俺達の足は止まった。
「ちょっと? どうし
――
」
「本当にごめん、セリア」
「それからありがとう、セリア。許してくれて」
深く頭を下げる。
……
あの程度で何が『居た堪れない』だよ、俺の馬鹿野郎。
「
……
もう! 二度と約束破らないでよね! それと許してあげるかは今日次第なんだから!」
顔を上げるとセリアは笑っていた。俺とユーゴの大好きな、いつも俺達を見守ってくれる優しい笑顔だ。
「じゃ、頑張んねーとな!」
「今日は何でも言ってね、セリア」
「ふふ、そうねえ、じゃあまずは
……
」
今日は一日楽しい日になる。三人で、楽しむ。
じゃあ昔みたいに手でも繋いでみようか、なんてふざけ合いながら、俺達はルディロームの街に繰り出した。
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