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憂依
2024-08-31 00:48:24
9625文字
Public
エドぐだ♀イド大喧嘩編抜粋
イドクリアしてからちまちま書いてる弊カルデアのエドぐだ♀がイドで大喧嘩する話の抜粋。イドは書きたいネタが多すぎて困る。
弊カルデアのエド高ぐだ♀三人CP前提エドぐだ♀で、イド本編を弊カルデアのエドぐだ♀ならこうなるだろうなあという感じで再構成したお話です。
うちのぐだは基本泣かないしみんなの前では見栄張って強がってる子なんだけど、巌窟王の前でだけ泣くし弱音を吐くし弱いところを見せます。ぐだが自分には涙も弱みも見せてくれないので高杉さんの巌窟王が嫌いな理由その4くらいになってます。
最後のくだりはここが巌窟王が作った特異点で、もうこの世界にぐだと巌窟王しかいないのが分かってて、感情めちゃくちゃになった故の突発的な行動です。直後に大後悔して巌窟王と仕切り直しで戦おうとしますけど、仲直りと最後のセックスをしてからモン伯戦をやります。(なんて??)
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ぺたりと、糸が切れた人形のように立香が地面へと崩れ落ちた。
「は、はは。あはははっ。なにこれ、もう、わらうしかないじゃん
……
っ」
俯いて、両手で顔を抑えて、立香は嗤う。乾いた声音は彼女の絶望を顕すようで、巌窟王は想定外の展開に表向き平静を装いながらも、内心混乱の極みにいた。
彼は立香の強さを信じていた。
だが、彼女の弱さを見誤っていた。
「バカだ。わたし、本当に、バカみたい
……
っ」
声が、震えている。
その音は。
その声音が意味することを、彼は、彼だけはよく知っていた。
「ジャンヌ・オルタに聞いたよ。キミ達が、アヴェンジャーの皆が、カルデアからいなくなるって」
俯いたまま立香が告げた内容に、巌窟王が、僅かに息をのむ。
ジャンヌ・オルタがそれを立香に知らせるとは思っていなかったのだろう。同時に、何故立香がこうなってしまったのかを理解してしまい、彼は己の失策に気が付いた。
だが、もう、何もかもが遅すぎる。
「だから、覚悟して、ここにきた。キミに、
……
キミから、別れを告げられることを、覚悟して。なのに、キミは、それだけは言ってくれなかった。言わずに全部終わらせようとした
……
!!」
激情のまま、立香は床に拳を叩きつける。
悲嘆、憤怒、絶望、落胆。様々な感情が沸き上がっては混ざり合って、彼女の心はぐちゃぐちゃに乱れていく。
「薄情すぎるんだよみんな! もう会えなくなるのに、挨拶もなく、あんな紙切れ一枚で納得できるわけないじゃない! でも、一番薄情なのはキミだよね!」
ぼろぼろと、立香の両眼から大粒の涙が溢れ出す。
その涙に手を伸ばしそうになった己を、巌窟王はすぐさま律する。そんな資格など、今の自分にある筈がないというのに。
「なんで、なんで何も言ってくれないの! この特異点を作った理由は散々説明したのに、この後いなくなるなんて、どうして一言も言ってくれないの!? もう会えなくなるのに、なんで何も言ってくれないの! 理由は、なんとなく察したよ! みんながアヴェンジャーだから、皆を連れて行ったら私が復讐者になっちゃうから、そうさせないためにいなくなろうとしてるって! それならそうだって、ちゃんと説明してくれればいいじゃない! 何の説明もなしに、いきなりこんなことされて、もう一緒に戦えません、お別れですなんて、いきなりすぎるでしょう!? ああ、そうだ、ちがうよ、きみの場合は、お別れすらしないつもりだったね!!」
感情のまま吐き出される罵倒はまともに言葉になっておらず、嗚咽まみれのせいで何を言っているのかすらもまともに聞き取れない。
涙をぬぐってもぬぐっても止まることはなく、立香の袖口はぐっしょりと濡れていく。
今の巌窟王に、立香にかける言葉はない。
そんな資格はもうないのだと、彼は決めてしまっているから。
だから、いつまでも泣き止むことのない立香の姿を、彼はただ、黙って見守るしかできなかった。
それが、どれほど愚かな行為なのか気づくこともなく。
「キミはいいよね!? わたしのためとか言って満足していなくなるんだから! わたしのためって言えば、残されるわたしの気持ちなんてどうでもいいんでしょう!?」
いつか、別れが来ることは分かっていた。
この戦いが終わったら、あの時と同じように皆は退去して、今度こそサーヴァントの皆と会えなくなってしまうのだと。
だけど、それは今じゃない筈だったのに。
こんな何の心構えもなく、突然訪れるはずのものじゃない筈だったのに。
サーヴァントの皆と、最後まで一緒に戦っていくのだと思っていたのに。
立香が抑え込んでいた感情が堰を切って溢れ出し、呪いとなって口をつく。
「だいたい、なんでキミが父親ポジションなのよ! わたしのこと、エデでもファリア神父でもない唯一だって言ってくれたのに、結局エデ扱いするの!? わたしのこと、マスターだって、共犯者だって言ったのはキミなのに、わたしはキミの隣に並んで一緒に戦いたいって言ったのに!! 最後の最後で過保護に守って保護者を気取って、わたしはキミのなんなの!?」
苛立ちから何度も何度も拳を地面に打ち付ける。
感情は治まらない。怒りは消えない。悲しみはぬぐえない。涙は止まることを知らない。
誰もいない、誰も介入してこない二人だけの世界だからこそ、立香は今、人類最後のマスターとしてではなく、ただの藤丸立香として子供のように喚いていた。
「監獄塔の時もそうだね、キミは、自分がされたように、自分が導く立場になりたいだけだ。キミがファリア神父になりたいだけだ! わたしが今どんな気持ちかなんて、少しも分かってないんでしょう!」
最早自分が何を口走っているのかも、立香自身分かっていない。
考えたことがそのまま口から溢れ出して、ただ、目の前の恋人に対する憤りだけが、今の彼女を突き動かしていた。
「何も言わずにいなくならないでって言ったのに
……
。わたしのために、キミが犠牲になって消えるのだけは嫌だって言ったのに
……
!」
……
それは、今から一年ほど前のこと。
ブリテンの異聞帯を攻略した後、立香の中の廃棄孔で残滓が増える勢いが増していた。この特異点を作るために己の魔力を削り続けていた巌窟王では処理しきれないほどのそれは、ついに巌窟王の身体を削り、他のサーヴァントや立香にまで分かるほど弱体化することとなった。
その時はアビゲイルや立香の助力もあり掃除を終えたが、その後に立香は言った。
たとえ自分のためだとしても、自分の知らないところで巌窟王が傷つくのは嫌だと。それで、万が一に出も巌窟王が消えてしまったら耐えられないと。今度はこんなことになる前に、自分を呼んでほしいと。
『お願いだから、わたしの前から何も言わずにいなくなるようなことだけはしないで
……
』
泣きながら、立香は言った。
その約束に、彼は肯定を返した。立香の前から消える事を画策しながら、口では彼女の前からいなくならないと嘘をついた。
その代償が、この時になって返ってきた。
「嘘つき、嘘つき、大ウソつきの裏切り者!! キミのそういうところが、わたしはずっとずっと、大っ嫌いなのよ!!」
そこが、限界だった。
爆発した感情は、彼女の中から冷静さを奪い去り、いつもであったら絶対にしない筈の選択肢すら選ばせる。
立香の令呪が光る。
彼女の嘆きに応えるかのように、幼い少女の姿をした竜の影が現れた。
「もう、いい。もう、ぜんぶぜんぶどうでもいい! ぜったい絶対、キミの思い通りにだけはならないんだから!!」
癇癪を起した幼子のような文句を立香が吐き捨てるのと、彼女が呼び出したシャドウサーヴァントが立香を抱えて螺旋の入口へと向けて飛び立ったのは、ほぼ同時だった。
「な、待て立香! いったいなにを
……
!」
「巌窟王なんか、大っ嫌い!!」
予想外過ぎる展開に、さすがの巌窟王が焦った声を出すも、時すでに遅し。
最上級の罵倒を口にしながら、立香は高速で飛行するメリュジーヌとともにその姿はあっという間に見えなくなっていった。
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