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あいづき
2024-08-21 16:56:13
Public
TRPG(CoC)関連
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呼ぶ声の色
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ぼにのSS
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「貴方にとって、私は誰ですか?」
この言葉を投げ掛ける事は、ずっと決めていた。
有馬真二は父であり、黄海夏央は姉であると、私はそう認識をしているから。だから、聞いてみたかったのだ。資料の中に「有馬はアンドロイドをただの道具と思っている」といった記載があったから。本当にそうなのか。それとも私だけが例外なのか。
だから、そうであれば良いと思った。
でも、そうでなければ良いとも思った。
相反する結果の算出がなされる。これも、一種のエラーなのだろうか。これを人間は感情の葛藤と呼ぶのだろうか? 以前赤星が「初日に起きたエラーはこれからも起こり得る」と言っていたのは、こういう事なのかもしれない。明確な思考回路はあるのに、フィフティ・フィフティの算出がされてしまうと、何をもってして選択の基準を置けば良いのかが私には分からない。同じ数量であると言うことは、どの選択をしたとしても私にとって不利益では無い、という証明にもなる。
そのきっかけが欲しかったからこそ、問うたのだ。
明らかに有馬真二は、父は、有馬尤斗を一つの軸に置いて居る。で、あればこそ。この人に愛されているというのであれば、私が活動をしている限り行動を起こし続けるであろう予測が立てられる。私こそが罪の証明であり、根本的な元凶の一つであり、姉を疲弊させる要因なのであれば、全てを終わらせる為に、背中を向ける事は妥当な判断だと結論を出す。
だって、居なくなって然るべきなのだ。私は。
私を有馬尤斗だと結論を出すのであれば、あの時確かにRK400に殺された子供がここに居る。
殺された筈なのに、動いている。活動をしている。しかも、記憶を有したまま。同じ人格ではないかもしれないが、それも時間の問題だろう。プログラムはある程度己でも書き換えられる。否、書き換えると言うよりは学習により更新されると表現した方が語弊が少ないかもしれない。私自身が「そうあるべきだ」と判断をしたら、その境目を無くすこととて可能であり有馬真二や黄海夏央が求める有馬尤斗を反映させる事だって、可能である。
そうなったらどうなるだろうか。最後の犯罪者になると言っている父は、本当にそれで止まるのだろうか?
私は、そうは思わない。
新たな事をこの人は行うだろう。
私を有馬尤斗として愛している限り。
有馬尤斗、ひいては、家族の為にと、新しい事を犯すだろうと断定出来る。それ程までに、父の日記から苛烈さが伝わるから。
問い掛けて、数呼吸。柔らかく目尻が下がる。その表情は十年前と何も変わらないと断言出来るのに。一抹の不安を想起させる。恐らく、これは幼い有馬尤斗が父に対して抱いていた恐怖や不安に近い物だと思う。それを、今の尤斗が感じてしまう。
やはり、私は────
「有馬
……
尤斗だ
……
私の息子の」
届いた音は、父親の優しさだけを孕んでいる。
こちらにおいでと、声で手をこまねいている。
ならば、私は。
ゆっくりと、父と姉の二人に向かって微笑むだけだ。
有馬尤斗として。
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