ぎん
2024-06-30 03:39:47
1219文字
Public アオアイク
 

素直になれない ⚠️

アオアイク 黄金前ネタバレあり



「アイク、次はトラル大陸に行くんだってな」

 久々の二人での食事、世界を救った目の前の男はあれからバタバタと冒険してきたらしく、ようやく一息ついた。と言った形でアオの所に顔を出しに来た。手料理でもてなせば、アイクは少し驚いた顔もしつつ嬉しそうに食卓についた。

「そうなんだ、ウクラマトさんって人がね」

 アイクはそう言って料理に手をつけながらも説明する。継承の儀の手伝いをしに行くのと同時に黄金卿を見つけ出そうと思っている、と。アオはその話を聞いて少しだけ眉を顰めた。

俺もトラル大陸は行った事ないな」
「アオも行った事ない土地なんだ」
ああ、あまりに遠いしな。船が出てるほうが稀だ」

 二人の時間がまた減るな、なんてアイクは苦笑いを浮かべる。恋人同士にはなったものの、目の前の男は世界を救った英雄様で、アオは余計に眉間に皺がよる。

どうした?アオ」
「なんでもない」

 ああどうして素直になれないのだろうか。「自分も連れてってくれ」なんて。あと少し、ほんの少し頑張って言えたら
 机の下に下ろした手がズボンを握り締める。片脚が不自由になったものの、一緒に世界だって救ったんだ。コイツのそばで。
 アオは顔を上げて、再度アイクの顔を見る。新たな冒険に期待に満ちた目でこちらをみている。アオは自然と目を逸らし、どうにか言おうと試みる。

アイク、……

 言葉が詰まる。俺も連れて行ってほしいと言うだけなのに。
 クスッと笑いが漏れる声がする。アイクを見れば「素直じゃないな」なんて言われて、少しだけ顔が赤くなる。普段ならそっぽを向いてしまうだろうが、アオはそんなアイクをみて、少しだけ困った顔をして、改めて口にする。

「俺とトラル大陸に行ってくれ」
「それは俺のセリフじゃないか?」
「むなら俺を連れて行ってくれ。黄金卿なんて気にならない冒険者は居ないからな。お前と一緒に行きたいんだ」

 アオは真剣な面持ちでアイクを見る。そのセリフを待っていたかのような顔でアイクはニコリと笑みを浮かべた。

「言われなくても、誘おうと思ったんだよ」
じゃあ言わせるな」
「いいじゃないか、たまには。ちょっと素直なアオが見れたよ」
はぁ、負けだ負け。俺はアイクと冒険がしたいから連れて行け」

 全くコイツはと呆れ気味に肩を落とすアオに、アイクは嬉しそうに笑う。英雄としてではなく、一冒険者として。これから向かうはトラル大陸「トライヨラ」この先彼らにどんな冒険が待ち構えているのか。彼ら自身もしらない苦難が待ち受けているだろう。

「英雄様の恋人として恥じぬ活躍をしないとな」

 アオはアイクに笑いかける。心踊る旅もそうだが、これからずっと一緒に歩んでいけることに、2年出来なかった穴を埋めるように、恋人を最後まで護り通せる事ができるから。