MN*B
2024-06-23 02:32:03
12571文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

E.26 血の洗礼

シリーズ中第43話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。

このシリーズの閲覧やブックマーク、いいねなど、いつもありがとうございます。お待たせしました。
いや、本当にお待たせしました…。

 
 今回、戦闘回です。
書き手の趣味もこみこみで書いたので描写がいつもより濃いです。
それなりにグロいシーンもあるかと思われますので、苦手な方はご注意ください。

 次回、実はタイトルも未定です。一応仮題として書いていますが、変わるかもしれません。何が起こるかは決まってるんですけどね…。
 大体二週間後くらいに投稿予定です。目安です。
今回みたいに遅れることもあります。気長にお持ち下さると嬉しいです。

 

【どうして投稿が遅れたのか】

思っていたよりも42話にダメージを受けてました。三日くらい自分でもびっくりなくらい書けてなかったです…。
あと、ファンパレしてました。ごめんなさい。公式の供給が合ったらせざるを得ませんでした!!!!ファンパレ最高ー!!黒閃アミーゴ!!!(???)

 

【 [Q.あなたから見た五条悟は?] 】

「俺から、か。そうだな……」

 青嶺衛は顎に手を当てて、考える仕草を取る。
 高専の建物内の通路は薄暗く、彼のかけているサングラスは薄っすらと透け、その奥にある伏せられた目が微かに見えた。

「一人の人間、だ」

 それ以上でも以下でもないのだと、彼は語った。

  

追記2023.12.12:✘憘_⛘在〤ᕪ〧は聚の記⚶。についての地の文を追加しました。そっちの方が言葉の意図が伝わるかと思いまして。
修正2023.12.17:次回予告のタイトルを修正しました。


#夢術廻戦 #オリ主 #オリキャラ #脹相 #五条悟 #漏瑚 #花御
2023年12月3日 23:58



 獣鉤手は強者を狙う。それならば、真っ先に狙われるのは五条悟だ。
 漏瑚はそう読んでいたからこそ、青嶺衛ひいては獣鉤手がこの場に来ることを許容した。

「(それなのになぜ、こうなっている!?)」

 漏瑚は線路からホームへ上がり、人混みに紛れる。それを追ってホームに上がってきた青嶺は操り人形 マリオネットさながらにユラユラと不安定に身体を揺らす。
 顔や目線が動かないまま、周囲を探っている気配が滲み出ていた。




 花御が犠牲になり、漏瑚たちの展延による攻撃は失敗に終わった。
 追いこまれた漏瑚はヒットアンドアウェイに徹するほかなくなっていた。

 漏瑚は周囲の人間を投げることで、五条の足止めにする。無限に阻まれ、一般人は宙に浮いたまま驚愕の声を漏らした。
 何食わぬ顔で歩く五条と消極的な戦い方に変わった漏瑚。その二人に向かって、脹相が背中から飛んでくる!

 ぶつかりそうになった漏瑚は咄嗟に脇へ避けた。
 脹相は五条の無限に当たる寸前で、己の血をぶちまけて勢いを相殺する。五条に捕捉される前に、脹相は五条から距離を取った。

 何事かと思った漏瑚だったが、――答えはすぐに追ってくる。
 五条と脹相に気を取られていた漏瑚に、六枚の刃が差し向けられた!

 突きの形で迫ってきた刃を、漏瑚はギリギリのところで避ける。
 漏瑚の顔目掛けて突き出された刃、その持ち主は青嶺の肉体であり獣鉤手だ。

 獣鉤手は諦めることなく執拗に漏瑚のことを追う。……脹相が獣鉤手に用がないように、獣鉤手も脹相に興味がなかった。



 青嶺の身体は漏瑚を見失い立ち尽くしていたが、ふと動き出す。
 青嶺は姿勢を低くし両手をホームの床に下ろすと、四つ足で駆けた。バリッと床が裂け、一瞬でその姿が消える。
 そして、――狩りを始めた。

 漏瑚の視界の端に、青嶺の姿が入っては消える。
 漏瑚が振り向いた先にはもういない。そんなことが続く。

 獣鉤手は先ほどまでと違い、漏瑚に直接斬りかかることはしなかった。相手の隙を窺って、ホーム内を縦横無尽に駆け回るだけだ。……得物が弱るのを待つ獣のように。

 獣鉤手は漏瑚ほどの速さを持つ者を翻弄していた。


 獣鉤手は脹相と相対し、四つ足で立ち上がったとき、その速さでもって脹相のことを撥ね飛ばしている。

 青嶺の身体には重みがない。故に、体重はさほど乗ってはいない体当たりだ。それでも脅威的な速力によって、獣鉤手は脹相を真正面から撥ねたのだ。
 脹相はそうやって、五条のほうへ投げ出されていた。



 漏瑚は獣鉤手の策略にはまり、人波の中で青嶺の姿を見失う。

「どこに、」

 気配を探ろうとした漏瑚の頭を包むように、上から刃が降りかかる!

「チィッ!」

 漏瑚は咄嗟に頭から火炎を噴き上げ、刃のカーテンから脱出する。展延を一瞬解いてしまったことに、漏瑚自身も焦った。
 炎が漏瑚の頭上にいた青嶺の頭を焼く。しかし、しばらくすれば煙の中から、無傷の青嶺が現れた。

 虚ろな顔をした青嶺が天井からぶら下がっている。足先と足首から生えた刃を天井に食いこませ、器用にも天井に立っていた。
 その姿は、花御の術式の扱い方を真似している。――獣鉤手は学習をしていた。

「六枚!」

 見間違いではなかったか!と、漏瑚は彼の手足を見て慄く。

 青嶺の手首の内側と足首の裏から、先ほどまでなかった刃が生えていた。手足一本ずつに一枚増え、それが六枚目の刃だった。

 獣鉤手の浸食は最終段階に入っている。


 獣鉤手は、飢えと弱者の怨念が煮凝って形作り、遺った物だ。故に、女子どもや力を持たない者を好み、力を貸す。そして、強者を狙う。
 しかし、どう足掻こうとも、獣鉤手は呪いである。一度とり憑けば、それが弱者であっても、その飢えを満たすために“消費”するのだ。

 呪力を取りこむことで力が増し、そうなればまた、飢える。満たされることのない飢えを潤すために、さらなる呪力を求める。新たな寄生先を探すのだ。

 青嶺衛の肉体は限界だ。もっと居心地が良い行き先を獣鉤手は求めていた。



 唸り声をあげながら、漏瑚へ飛び掛かってくる青嶺もとい獣鉤手。その刃に触れないように躱しながら、漏瑚は攻めあぐねる。
 そんな漏瑚に、さらなる苦難が待ち受ける。

「そっちばっかりに構ってられると思うなよ」

 五条も漏瑚を追って、ホームに上がってきたのだ。


 漏瑚はホーム内を駆け巡り、人間の間を掻い潜って二人から距離を保つ。

「脹相! 役に立たないのであれば、貴様から殺すぞ!!」

「口出しするな」

 遅れてホームに上がってきた脹相が、苛立ち気味に言葉を返した。その手元から圧縮された血液が放出される。
 脹相の放った穿血が五条と青嶺、そして一般人を襲う。

 青嶺の身体は避けることもなく、攻撃を左腕に喰らった。それでも獣鉤手は構わずに動き――傷ついた左腕を肩口から丸ごと切り飛ばした。


 青嶺の身にオートで発動し続ける術式は、如何なる怪我を負おうとも、その身体を回復させる。脹相からの毒も食らったところで、術式により自然と解消されている。
 だがそれは、九相図の血を危険視する獣鉤手の経験と本能によって、汚染部位を切除することで毒される前に解消された。
 その選択は間違いではなく、最適解でもあった。

 脹相の赤血操術は、離れた位置にある物も己の血がついていれば操作できる。彼の血液が付着したままでは動きを差害され、不利になっていただろう。

 脹相はその仕組みを使い、――列車に刺さっている大鎌を今一度、手元に呼び寄せた。


 斬り捨てられた青嶺の腕は刃を失い、床に転がる。
 青嶺は肩から血をボタボタと流したが、すぐにそれは収まり、腕と刃は元の通りに生え変わった。
 あからさまな異形の形相に、周囲の人々は狼狽え悲鳴をあげながら遠ざかっていく。

 その流れに逆らって、脹相は大鎌で青嶺に斬りかかる! 青嶺の首がぎこちなく動き、正気のない顔が脹相のほうを向いた。
 ――気がつけば、大鎌は寸断されている。脹相の手元には柄しか残らない。

 脹相は相手の動きを追えなかった。そして、明らかに刃の強度や斬撃の威力も上がっている。刃が五枚だったときとは比べ物にならない。
 それを理解した脹相は、次の手を瞬時に判断した。


 脹相は、獣鉤手が斬り捨てた物に術式を発動する。……青嶺の左腕 それには脹相の血がついている!

 青嶺の胴体に拳が突き刺さる。――先ほど斬り捨てられた腕が、持ち主だった青嶺を襲った。
 打撃で青嶺の身動きが鈍り、その一瞬を脹相は捉える!

「苅祓――!」

 回転する刃を形作った血液が、青嶺の身体に叩きこまれた。
 傷つくことはなくとも、衝撃はある。……青嶺は戦い始めと同じように吹き飛ばされ、漏瑚たちの前から退かされた。

「超新星――

 青嶺の身体が飛ばされた先で、血が弾ける。青嶺を叩きながら、脹相の血が周辺に飛び散った。
 さらに追加の血液が青嶺に向かって飛ばされる。青嶺を囲む形で血液が宙を走った。

――赤縛」

 血でできた網が青嶺の身体を縛りつけた!

 金属音が擦れたような甲高い悲鳴が青嶺の全身の鋼から迸る。青嶺の身体が藻掻き抵抗するも、血の拘束が緩むことはない。
 周囲に飛び散っていた脹相の血が、青嶺をあらゆる角度から縛りつけている。

 脹相は抗おうとする獣鉤手の動きを完全に封じこめた。