MN*B
2024-06-23 02:23:04
11528文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

E.22 置き土産

シリーズ中第39話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。
小説の閲覧、ブックマークやいいねなど、いつもありがとうございます。
長らくお待たせしました。遅刻ですね、申し訳ない!!
 今回、オリ主不在回です。時間軸は、原作では描写されていない期間の頃です。
話を詰め込みまくっちゃってますので、ページごとに時間経過してる感じですね。
 最終ページには挿絵があります。ただの風景写真風の挿絵です。
出来としてはちょっと納得いってない部分もありますが、まぁイメージ画像ということでひとつ。
 次回、今回と並行した時系列の話です。今話後半がなぜこうなったのかの答え合わせみたいな感じですね。
今回をあげるまでに二週間も時間を開けていたのも、これを並行して書いていた部分があるからです。まだ仕上がってはいませんが…。
 次話も二週間以内の予定で書き上げたいと思ってます。またお待たせすることとなり非常に申し訳ないですが、投稿した際には読んで頂けると嬉しいです。
 金庫については、【人生一年生、街へ繰り出す。 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14733352】にて、すでに描写済みでした。
 『誕生日』付近の話については、蠱毒の日常廻戦シリーズの【寿司と供物と生き字引 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14908631】【探りか指導か休日か。https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14973758 】【誕生日 https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=15851197】にて、描写しています。
追記:8ページ目の報告内容に記載漏れがあったので、一文を追加。



#夢術廻戦 #オリ主 #オリキャラ #五条悟 #真人(呪術廻戦) #虎杖悠仁 #釘崎野薔薇 #伏黒恵
2023年10月8日 23:19



 砂浜とさざ波が立てる音に混じって、8ビットが鳴っている。

「詰みセーブってあるでしょ」

 真人が携帯ゲーム機で遊びながら話した。透坂は「いきなり何の話だ」と訝しげにして、ビーチチェアでくつろいでいる真人のことを、立ったまま見下ろしている。

「何度コンテニューしても、復活時点で敵に囲まれてたら、すぐにボコられて終了。ハイもう一回、ハイ詰み〜……って、繰り返しになるやつ。その状態になったら、もうニューゲームしかないじゃん? もしくはもっと前からやり直すか」

 さらに真人が付け加えた「リスポーンキルのほうが近いのかな」という呟きに、透坂は嫌気が差した。
 「そんな余計な知識をいつの間に蓄えたんだ」と透坂が問えば、「いつでもいいじゃん」と答えになっていない答えを真人は寄こした。

 陀艮は自身の領域内の海で揺らめいている。その横で、青嶺衛が波間に浮かんでいた。
 真夏日を模した日差しすら、彼の眠りを妨げることはできない。陀艮がちょっかいをかけても、彼は微動だにしなかった。

 本人が状況を変えることはできず、外側からの干渉がなければ、危機的状況から脱却することは叶わないだろう。

「つまり、今の彼はそれと一緒。状況が変化するまで動けないよ」

「完全防御形態ということか。だが、それも長くは続かないんじゃないのか」

「コイツがこの程度で終わるってまだ思ってんの? 術式のせいで魂と肉体の強度が桁違いなんだよ」

 透坂が言外に匂わせた「いつ頃に死ぬのか」という考えを、真人は小馬鹿にした。

「術式を中和しようとするほど、逆に術式は保とうとする働きがかかってる。意識がないのもそれに拍車をかけてるんだろうね」

 より濃い領域に入れる、もしくは術式そのものの中断をさせなければ、術式が解けることはないのだと、真人は話した。
 透坂は眉をひそめ、なぜそうしないのかと理解し難そうにする。

「いっそ濃い領域に入れてしまえばいいだろう。お前や他の奴はちゃんとした領域展開ができるんじゃないのか」

「他力本願? カッコ悪いよ」

……

 真人は陀艮のことを揶揄されたのも含めて、透坂に言い返した。だが、それで気が済んだのか、勿体ぶらずに理由 ワケを話し出す。

「獣鉤手。一気に術式を中和させると暴れ出すんだよ。彼の肉体をズタズタにした挙句、俺たちにも襲いかかるだろうね。それなら場所を選ぼうよって話」

真人は喋りながら、ゲームをプレイし続けている。

「それに、ワンチャン狙いたいじゃん。生命維持に術式をぶん回してるから、魂の拒絶までは回せてないはずさ。中和されてる分、力を余計に回さないと維持できない。俺はそうみてる」

透坂はビーチテーブルの上に置かれたファイルに目をやった。

 目が覚めるときに呪いの気配がする。それは青嶺衛が示す拒絶だ。ほかの魂本人の別の部分を拒絶している。
 彼は術式で己という存在を固定しているのだろう。逆に、それがなければ彼の魂は一つに“戻る”。真人はそう予感していた。――それは、魂の完全な回復を意味している。

 そして、今の状況は彼に拒絶 それを行わせないように抑制するものだった。
 ずっと眠らせておけば本人の意思で術式は発動できず、且つ、術式の中和が続くことによって、生命維持をするための負荷が通常よりも掛かっている。肉体や魂の回復と維持、守ることに力を割くことになっているだろう。

 真人はその予測を形にしようと目論んでいた。

「どうせ殺しちゃうにしても、万全な魂をバキバキに折った上で殺したいしね」

「悪趣味が」

「誉め言葉だね」

二人は嫌味の応酬を交わした。
 そして、真人は「これは大事なことだよ」と透坂に説く。

「だって、濃い負の感情からこそ強い呪いが産まれると思わない?」

 透坂は大きくため息をついた。次いで、「精々、足元を掬われないようにするんだな」と心底どうでも良さそうに言った。
 理解が得られなかったと感じた真人は、「この世界の摂理なのに」とブツクサ言って、不服そうにしている。

 くだらないとばかりに透坂は頭を振り、真人に背を向けた。偽物の海で揺蕩う青嶺を遠目に確認して、彼は何気なしに呟く。

「クマムシみたいな奴だ」

「はは、言えてる!」

 真人が笑い声をあげたが、透坂は振り返らずに去っていった。それを見送った真人の手元で、ゲームから嫌な音が鳴る。

「あ」

〈 GAME OVER 〉

 真人は大きく天を仰いで、ゲーム機を手からぶら下げた。
画面には選択肢が表示されている。


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