MN*B
2024-06-20 21:55:24
18877文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

E.3 死赦處生

シリーズ中第17話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。
このシリーズの閲覧、ブックマーク、いいねをありがとうございます。
今回、原作の流れからしても、ちょっと小難しい話してるかもです。
あと原作程度のグロ描写とか、宿儺とか…いろいろあるんで、なんでも大丈夫な方向けです。
先に言っておくと、10P目は笑いどころです。
次回は日常回ですかね。
今回が難産すぎて、全然書けてないんでなんとも言えません。予告タイトルも変えるかもしれないです。
少し期間開けます、たぶん…。2週間以内くらいですかね。
その間に番外編をあげる予定じゃあるので、書き手の感覚的には開いた感じしないんであれですが…。
前回予告していた寿司話あげてます→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14908631
【死赦處生:ししゃそせい】当て字造語
死してなお赦されず、ならば此処で生き_。
處=処の旧字体
伏黒の思考を追うのが、書き手的にすごい難しいです。それの練習みたいな番外編もあげましたが…。
今回はなんとか落としこんだ感じです。伏黒恵ぃ…難しいぞ君。
あと青嶺の地雷踏み抜きまくることになった回とも言えます。
生得領域が閉じた際の遺体の扱いは…どうなんでしょうか。
原作の戴天ではなくなっていましたが、元からそういう仕組みなんですかね…?しかも普通の領域展開とはまた別ですし…。
あと、アニメ最新話のほうでの描写的に、生得領域が閉じても宿儺の指はそこにあったので…。呪物はまぁありかな…と思ってます。
宿儺の指が特殊な可能性もありますが(呪具は消えてますし…ただし破壊されて呪具としては終わっていた可能性も)。
逆に等級の高い呪物なら消えない可能性あるならヨシ!って書きました。
2021.10.14 ちょっとだけ推敲。わかりやすいように「…」増やしただけです。

#オリ主 #伏黒恵 #虎杖悠仁 #釘崎野薔薇 #夢術廻戦 #宿儺(呪術廻戦)
2021年3月26日 02:01



 呪いの気配は、玉犬と青嶺が察知できるはず!?
そう思って周囲を見渡すも、そばに居たはずの青嶺の姿はなく壁に埋まり、破壊された玉犬の姿だけがあった。
釘崎も床に呑まれて消えたまさかアイツも!?

「青嶺!!」

叫んだ虎杖の視線の先、高い壁の上のほう。
つられて俺もそちらに視線を向ければ

壁面に埋められかけ、標本のように、磔にされた青嶺がいた。

カシャリと、軽い音が響く。
あの日、三人で買いに行ったサングラスが。ぐしゃぐしゃになって落ち






 任務へ赴く前。
俺がタブレットで情報を閲覧していると、そこへ青嶺がやってきた。

それ、今回の任務の資料か」

そう言いながら、青嶺は画面を覗きこんでくる。
そちらへタブレットを傾けながら、俺は返事をした。

「ああ。施設内に取り残された人間のな」

『岡崎 正』

データを見て、若いなと呟く青嶺。俺らより年上だろ。
そんなツッコミは放棄することにして、俺はコイツに聞いておきたいことがあった。

「少年院だからな。お前はコイツを助ける気はあるか?」

その質問に対し、青嶺は意図がわからないと言いたげな顔をした。

「?そういう任務じゃねぇのか?」

「任務とお前の気持ちは別だろ」

「それは、そうか」

俺の指摘に納得した彼は、そのまま考え事を始めた。
そうやって考えをまとめてから、やっと口を開く。

「死にそうなら助ける」

どういう意図だ?」

「俺はソイツを助けられるのに、そうしなかったら夢見が悪くなりそうだ」

それだけを言って黙る。
説明を終えた気でいる彼を見て、俺はため息をつきそうになった。

たぶん。相手が困っていたら手を差し伸べる。それが当然だから、それをしないと悪いことをした気分になる。そう言いたいんだろう。

善人と言うには自分本位な答え。
ただ結局のところ、人を助けずにはいられないという事でもある。
相変わらず言葉の足りない彼の答えを、俺はそう解釈した。


 そして、俺の聞きたいこと本題はここからだった。

「もし助けたとして、助けたソイツがその後、人を殺したりしたらとは考えないのか?」

それはソイツの罪だ」

彼は不思議そうな顔して、考えることなく答えた。
そのあとになって、少し言葉をまとめている様子で、目線を下に向けた。
俺が黙って待っていればしばらくして彼は目線をこちらに戻し、その口を開く。

「俺がソイツを助けなかったとして、それはソイツに殺されるかもしれない命を救ったことにはならない」

いつものように真っ直ぐと見つめてくる、その眼。

「誰かを見殺しにしたってだけだ」

それはまるでこちらを責めているかのように思えた。
彼にそんな意志はないのはわかっている。
ただ、単純に純粋に、彼はそう思っただけなんだろう。

「なんでこんなこと聞くんだ?」

怪訝そうにする彼。
その視線から逃れるように、俺はタブレットに目を落とした。

俺は、助ける人間を選び、彼の言う『悪人/誰か』を『助けない/見殺しにする』。
それを良しとする。
俺に、悪人を許すことはできないから。

今回の任務は人命救助だが俺に、コイツらを助ける気はない」

そうか」

ただ一言、そう返ってきて俺は彼のほうを見た。

「お前は善悪で人を見ないんだな」

俺の選択を、悪いとも言わず責めもしない。かといって疑問も、同調もない。
そういうものだと、受け容れるだけ。否定も肯定もしない。
そんな彼は、当然のことのように話す。

「二分割できるほど、世界は簡単じゃねぇだろ」

「でもする人間はいる。お前だってそう見れないわけでもないはずだ」

善悪の区別くらいはついているだろう。
だから、悪いことをした気分つまり、罪悪感を抱けるはずなのだから。
彼はまた考えこむ様子を見せて、そして静かに口を開いた。

……そうだな。自分にとって良いか悪いかを選別するそうやって選択してる」

対象が悪人であっても、お前は自分のために良いことをするのか」

言ってから俺は、しまったと思った。
責めるように、意地の悪いことを言ったから。
俺に、彼の行動が偽善だと責めることはできないなのに彼は、納得したように頷いた。

「そうなるな

「悪い言い過ぎた」

「別に。その通りだからな」

俺の謝罪すら、気にもせず、ただ頷く彼。
そして、首を傾げて俺に尋ねてくる。

「じゃあ恵は、どんな人間なら助けるんだ?」

その質問に、俺は即答できた。
津美紀や虎杖のような、善人。だが、彼にそう言って伝わるだろうか。
視線を下に向けて、俺もまた、考えを巡らせる。

彼が虎杖を助けた理由は自分と虎杖を重ねて見た結果だ。
その人物の性格や行動は関係なく、ただ自分と似た境遇であるのに違いがでるのがおかしいと思った。そして、誰かが自分にしてくれたことを、同じように他者へ施した。それは、平等の精神。


 俺は自分の考えを、一から言葉にすることにした。
そうしなければ伝わらないと思ったから。

「この世の中は、不平等な現実だけが平等に与えられてる。因果応報は全自動なんかじゃない。悪人は、法の下に引き出して初めて、罪に問われ罰が与えられる」

日頃から思っていることを、自分の在り方を話す。

「俺は、そんな悪人を助けるくらいなら、それよりも善人を助けたい。善人が平等を享受できるように」

話しながら、俺は彼のほうを見た。

「だから、不平等に人を助ける。救う人間を選ぶ。俺は呪術師であって、万人を救うヒーローじゃないからな」

彼は、俺のことを見つめたまま、何も言わなかった。
サングラスの奥の瞳が、どこか揺らめいているように見える。
動揺してるのか。
そんな彼の様子に、俺もそれが伝播したような気がして、素っ気なくなりながら言葉を繋げた。

「別に、お前もそうであれとは言わねぇよ。お前はお前の考えで生きろ」

らしくないことを話してしまったな、と思って、つい顔を背ける。
彼がどんな顔をしているのか見れないまま、話し出す気配を感じた。

「恵それなら、お前は自分のことも優先するべきだだから」

そんな彼の言葉が、途中で途切れる。
不審に思って、また彼のほうを向いた。

サングラスのかけられた顔。
いつもはわかりやすい表情をしているが、それは人と話しているときだけで不意に見たときの彼は、まるで人形のようだと常々思っていた。
でもきっとそれはすべてを呑みこんで、何も言わない人間の顔だった。

「伏黒。ありがとう」

言葉が足りてない。話が噛み合わない。いつものことだった。
だけど今のそれは、敢えてそうしているのだとわかった。

感謝の言葉の裏に何かがあってまるで、別れの言葉のように聞こえた。