MN*B
2024-06-20 21:48:46
17127文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

E.1 原点と器

シリーズ中第15話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。
このシリーズの閲覧、ブックマーク、いいねをいつもありがとうございます。
お久しぶりです。
書き始めたけど、思ったより難しいぞ…となっている書き手です。
そして文字数。これからもキリがいいとこまで書くと、こんな感じになるかと思います。
表紙は結局思いつかなかったんで、適当に作りました。これからも試行錯誤していくかと…。
原作と台詞違ったり削ってあるところは、あえてそうしてます。
同じことを書くのもあれだしと思いまして。
そう…実は、五条さんは青嶺に『封印してあった特級呪物』のことは話していますが、それが『両面宿儺の指』であったこと、『呪霊が取り込んでいた』ということは話していませんでした。
青嶺が、呪霊が指を食べたことを見ていたのを、五条さんが聞いていたがゆえの言葉足らずですね。
経験と知識がやっと結びついた感じです。
【校舎内での時系列】
青嶺:呪霊発見、戦闘開始 伏黒:捜索中
青嶺:戦闘中 伏黒:人&呪物発見→虎杖来襲、呪霊祓除
伏黒:(青嶺遅いな)→呪霊が上からドーン
くらいのイメージです。
もし合流してたら虎杖ポジションになったかもしれませんが、腕力がないので人は助けられません。
青嶺には呪物の取り込みを防ぐくらいしかできないです。
実は番外編を描いてるシリーズを別に作りました。
一作目はこちらです→ https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=14807510
思ったよりリアルが忙しいせいで、呪術師になりそびれてます…原作とファンブックを読んでたせいでもありますけど。
まだ読み終わってないし、のろのろしてるとアニメも毎週あるし…って感じで、嬉しい悲鳴ですね。

#オリ主 #夢術廻戦 #伏黒恵 #パンダ(呪術廻戦) #禪院真希 #五条悟 #虎杖悠仁
2021年3月12日 00:01



 6月。梅雨の時期。
外では土砂降りの大雨。
俺は、真希先輩とパンダ先輩たち二人と、合同で任務にあたっていた。


野外にある小さめのコンサートホール。
コンクリートで出来た小さなステージに、それを囲むようなすり鉢状の段差。
その外周では、雨に打たれる芝生たちが水没しかかっている。
そこで俺もまた、同じように雨に打たれていた。

「おい、そっち行ったぞ!」

レインコートとそれを叩く雨音で耳が遮られるなか、そんな声が届いた。

 奇怪な鳴き声を上げながら、パースの狂ったシチメンチョウのようなソレがこちらへ向かってきている。
その呪霊が近づいてくれば、雨音でも遮れないほどの負の感情も聞こえてくるガラガラとした嫉妬の声だ。
滑る地面に足を取られつつも、向かってきた呪霊の突進をなんとか躱す。そのすれ違いざまに俺は腕を一線させ、相手に4本の切り傷が入った。

ギェエエ!!とまさしく怪鳥のような悲鳴をあげて、呪霊はビシャアと芝生の上を滑りながら倒れ込む。
さらに激しくなったその負の叫びにトドメを刺すため、俺は顔をしかめながら足早に近づいた。

俺はギッと歯を食いしばって、袖から刃をできるだけ伸ばす。
制服とコートが重なっていて、いつもより刃が外に出難くなっている。おかげでレインコートの袖口も一緒に切れてズタズタだ。
そう思いながらまた腕を一線し、相手を確実に祓う。

目の前からその姿と声が消えたときそれとはまた別の声が近くからすることに、俺は気がついたッ
ビニールの音を立てながら俺がそちらを振り返れば、デカい靴裏から蹴り飛ばされてしまう
もう一体がすぐ近くに居たのに気付くのが遅れた!!

地面を転がって衝撃を逃しつつ、勢いが落ちたところでそのまま立ち上がる。
先ほど俺を吹き飛ばしたデカいスニーカーみたいな見た目の呪霊が、バチャバチャと地面を蹴りつけながら近づいてくる。
俺も走りよって勢いで切るか?だが足場が悪く、身に着けたレインコートも俺の動きを阻害している

そう考えてしまいながらも、俺が走りだす構えを取ったとき呪霊の横から、手袋をはめた拳がソイツを殴りつける。

「オラァ!!」

パンダ先輩の雄叫びとともに、呪霊は歪みながら吹っ飛んでいく。
ピンボールのように飛んだ先では真希先輩が待ち構えており、それを真正面から斬りつけて滅した。

「よし、これで全部祓い終わったな。大丈夫か?」

レインコートと防水手袋、長靴で完全防備のパンダ先輩は、そう言いながら俺のほうへ近づいてくる。
俺は顔についた水滴と泥を拭って、大丈夫だと頷いてみせた。

「油断してんじゃねーぞ、衛。それにお前、やっぱ雨降ってっとダメだな」

同じように近づいて来ていた真希先輩が、呆れたようにそう言ってくるが俺は何も言い返せなかった。


 俺には呪霊の気配がわからない。それを聴覚で補っている部分がある便利だが、こういう日は集中して聞かないと聞き分けが難しい。
周りに音が溢れているとき。そして、相手をする呪霊が複数体で且つ音が似ている場合、聞き逃したりしてしまうのだ。
俺の、聞こえるがゆえの弱点で、油断でもあった。



 帰り支度をして、三人で雨の中を歩く。
離れた場所にいる補助監督さんが、俺たちを待っているはずだ。

二人が何か話をしているのがわかるが、集中しなければ聞こえにくかった。
そこら中に降っている雨音と、着ているレインコートのビニール音ノイズが酷い。雨音は嫌いじゃないが、人の声を遮ってしまう。
天気が悪いぶん薄暗くなるので、サングラスを外していられるのだけがマシな点だった。

おい、聞いてるか?」

顔を上げれば、二人がこちらを見てきている何か話しかけられていたらしい。

「すんません聞いてなかったっス」

先輩の話はちゃんと聞いとけ。と、真希先輩が小言を言ってくるが、パンダ先輩がそれを宥めた。

「仕方ないって、衛も疲れてるんだよ。まぁそれも無理ないけど」

衛の等級にあってない任務だしと、フォローを入れてくれるパンダ先輩。
その言葉を聞いても、真希先輩は納得できないようにツンとして言った。

「もともと衛は私らのオマケみたいなもんだろ。この状態はまだまだ続くぞ、もっと気張れ」

真希先輩はもっともなことを言って、そう俺に発破をかけた。

同級生の伏黒は2級だから単独で任務へ行けるが、俺はそうではない。
だから状況によっては、こうやって二年生の任務についていくこともある。足手纏い感は否めないが。

それに今の季節は、呪術師にとっての繁忙期に当たる。
夏頃になるとそれが落ち着いてくるらしいのだがまだまだ先の話だ。


「あの、それでなんの話だったんスか?」

俺が話を戻せば、ケータイを見ていた真希先輩は顔をあげた。ながらスマホは危ないと思う。
そう思いながら彼女を見れば、真希先輩は水滴をうざったそうに払いながら、ケータイをポケットにしまいこんだ。

「今日の夕飯どうすっかって話だよ。補助監督の人に頼んでどっか寄るか?」

それを聞いたパンダ先輩は、ショックを受けたように口を大きく開いた。

「それってもしかして俺を置いてけぼりにするのか!?ハッ!むしろ置いてってくれ!」

俺は後輩も応援するぜ!と、開いた口を閉じたかと思えば、親指をグッと立ててくるパンダ先輩。どうしてそうなったのか意味がわからない。

「何言ってんだクソパンダ。今日の夜は寮に棘も恵も居るって連絡取れたんだよ。材料買って帰って、全員でなんか作って食べるかって話だ」

それか持ち帰り用の惣菜とか、ピザとかと続ける真希先輩。
そういえば。寮のほうで申告すれば食事は用意してもらえるのだが、今日はそれが休みの日だったなと俺は思い出した。
それに、食事に関して意外とみんな好きにしているようだから、俺みたいにいつも頼むのは少数派のようだった。

そんなことを考えながら、真希先輩の話に乗っかる。

「全員でってなるとなんになるんスか」

任務が終わって時間のある俺らが、今日の夕飯の買い出し班ということになったのだろう。
なぜ全員まとめての食事になったのかはわからないが狗巻先輩と恵伏黒は、了承したのか。

鍋、とかか?雨降ったせいか、気温も低いしな~」

パンダ先輩が、大人数でと言えばこれみたいな意見を出す。
それに真希先輩は難色を示す。

「鍋はこの間もやっただろ普通になんか買って帰るか」

それはそれで俺が困るな。惣菜はどれも味が濃くて参ってしまう。
なんかないかと俺が記憶を漁って思いついたのは、

たこパ。食堂のデカいホットプレートの付属で、たこ焼き用あったはず」

ホットケーキ生地を焼くのもイケるはずだ。と、俺は自分のアイデアに頷いた。
それを聞いたパンダ先輩は、俄然乗り気になってくれる。

「おっ、いいんじゃないかそれ!なぁ真希?」

じゃあ材料買うためにスーパー寄ってもらうか。衛は荷物持ちな」

俺は真希先輩の言葉に頷いた。
そのやり取りを見たパンダ先輩は、余計な一言を言う。

「絶対、真希のほうが腕力あるくせに」

「あ?ずぶ濡れにして風呂に入らせてやろうか、クサパンダ」

「俺は臭くない!っていうか今日はもう風呂入らなきゃダメだこれ、湿気てるし衛~乾かすの手伝ってくれ~」

「後輩アゴで使ってんじゃねーよ」

真希だってそうだろと言い返すパンダ先輩。
そんな言い合いが、気がつけばクリアに聞こえていた。

「雨止んでる」

見上げれば、灰色の雲の切れ目から、日が暮れ始めた空が覗いていた。