MN*B
2024-06-20 01:39:12
6840文字
Public 蠱毒な夢術廻戦:pixivバックアップ
 

人生一年生、特訓する。

シリーズ中第11話になります。
注意書きは1ページ目、もしくはシリーズ概要の方にあります。

このシリーズの閲覧、ブックマーク、いいね。いつもありがとうございます。
シリーズ累計閲覧数が4000超えました。
本当、ありがとうございます…読んで頂けて嬉しいです。

 
 今回は説明多めの短い話です。
ちょっと微妙な位置でしか切れなかったんで終わり方がこれですが、次も含めると1万6千字くらいになるのでここで一度切っておきました。
青嶺と五条先生はこれで二か月ぶりの再会になります。お互いの性格的に挨拶がすっごい軽いですね。

 次回は、ちょい重めの話です。
またかよって感じですが、書き手からしてもまたかよって感じです。
でも最初想定していたよりもずっと明るめというか、雰囲気がマシに仕上がりました。
まぁ飛ばしても問題ない内容ではあります…その場合、飛ばして次の話を読んでもらっても構わないかもな~と思ってます。

 そのまた次の回は、伏黒恵ィ!お前を待ってたんだよ!!って感じの予定です。

 
話が想定より増えたせいで、表紙を作るのが大変で困ります。
実質この回と次回は同じタイトルだったんですよね…そのせいで、次回がちょっとタイトル詐欺になってる気がします。



#オリ主 #夜蛾正道 #夢術廻戦 #五条悟
2021年2月18日 22:30



 俺と夜蛾学長は、面談を行ったあのお堂のような場所で向かい合っていた。
彼は俺が静聴する姿勢なのを確認すると、俺の腕から生える刃について説明を始めた。

「それは呪具 獣鉤手。呪いがこもった道具それを使えば呪力がなくても、呪いを祓うことが可能だ」

今の君には呪力がないから、好都合だなと学長は付け加える。
その言葉に俺は頷きながらも、ん?と疑問がよぎった。
俺が控えめに手をあげると、彼は、質問があるなら自由に発言していい。と許可をくれる。

「呪いって呪力がないと祓えないし、見えないんですよね?俺ってないのに見えてるんスか?」

学んだはずの情報と食い違っていて、俺は不可解な面持ちで尋ねた。
そこからの説明が必要かと学長は呟いた。

「本来なら一般人でも、呪力というものは少なからず流れている。だから、死に際や命に危険が迫ったときには見える。呪力なしとは、呪術師にはなれないくらいの意味合いだ」

なるほど。特殊な場なんかでも見えるって聞いたな一応持っているから、そういうときには見えるようになるのか。
そして呪力なしの意味パンダ先輩が俺のこと、あと真希先輩のことをそう言っていたことを思い出す。ん?あれ?それでも呪術師になれる、んだよな?
混乱しかかった俺は一旦思考を打ち切って、学長の話に意識を戻した。

「だが今の君は、その一般人レベルの呪力すらない。全くのゼロそういった人間は今までにいたが、それはまた別の話になる」

学長は考えるように間を空け、そして再開する。

「君は生まれつきゼロなのではなく、呪力がないように自ら封じているだけいざとなったら呪力が流れ始める」

そうなのか
全く自覚できていないが、ここまで断言されてるんだから、きっとそうなんだろう。
封じているというのも、縛りという現象が関係している話のはずだ。

「君は呪力がないことと呪霊が見えることを両立させている。君の術式がそれを可能にしていると悟は考えているが

術式。生まれたときから刻まれているというそれを、俺は無意識に使っているらしい。
五条さんの推論によると、環境に適応するためのものだと聞いたがなんでこんなややこしいことになっているんだ。

「呪術師として手解きを受けたわけでもなく、自身でも制御をしている意識がない。その術式を意識的に使いこなせるようになれれば、君にも呪力が扱えるようになるかもしれないな」

呪力を扱えるようになれば、できることが増えたはずだ。
身体能力の向上とか、防御なんかに使えて単純な攻撃手段としても使えると聞いている。
俺が頷いていると、学長は不思議でならないといった風に話す。

「通常は術式を使用できるのなら、すでに呪力を扱えるようになっているはずなんだが」

「それに君は、呪法を使用することもできるようだ単純な呪力による攻撃ができないだけで、不便はあまりないだろう」

じゅ呪法?俺ってそんなの使えたっけ
俺の理解が遅れ始めたのを感じ取ったのか、彼は話を元に戻すことにしたようだった。

「呪法についてはまた後で説明しよう。とりあえず、その呪具についての話だ」

あ、はい。
素直に頷いて、真面目に学長の話を聞く。


「それは獣鉤手という、本来なら籠手のように腕に装着して使う武器だ。例えるのなら、忍者が壁を登るときに使う鉤手に似ているな」

「なかなか古い代物で、伝承では大岩を裂き、山を崩して崖を創ったなんて話もあるが、所詮伝承にすぎない。確認できているなかで最大の規模は、建物の一部を切り崩す、くらいだ」

コンクリートでできた壁くらいなら、相性と呪力によって可能だった。と、なんでもないかのように話す学長。
それを聞いた俺は、思わずたじろいだ。
伝承のせいで霞んで聞こえるが、一部とはいえ建物切ってるぞ
なんかすごいのが俺の腕から生えているというのを、改めて突き付けられた感じだ。

「使い手との相性によって、装着時にその形を変化させる特性を持っている。君の場合は、刃の部分を見る限り相性はいい方だろう」

俺の拳から生える刃は四枚。
長さはそこそこあって、先端が鉤爪のように緩くカーブしている。

「元は三本の鉤爪であり、その刃は鈍らだ。未装着または相性が悪いと、その刃は鈍らのままで、何かを切るどころか傷をつけることもできん」

学長の呪骸を切り裂いているし、刃の数も増えている。
確かに相性はいいのだろう喜んでいいのかわからないが。

「それに呪力を食わせれば、ある程度刃の長さや数を調節することも可能だった。君は現状流せないし、その状態で元の特性が残っているかも不明だがな」

食わせるって例え、だよな。
出したとき腕に絡みつくように浮き出す鋼を思い出して、ゾッとした。


 学長はそこで、少し考えるように顎に手を当てる。
少しそうやって言葉を止めたあと、話を再開した。

「君の証言だとまず呪霊に取り込まれた呪具を、君はさらに取り込んだ状態だと考えられる。呪霊を取り込んだともいえるのかもしれない」

呪霊を取り込んでるってマジで?
道具と一体化してるのもあれだけど、呪霊と言われるとちょっとな
まぁ呪具だから、元々呪いがこもってるものじゃあるんだけど。

「術式や体質によって、そういったことを行える者たちがいた。それの類だといえるが人に見られることがないように」

強く、言い聞かせるように学長はそう言った。
その様子に、俺は嫌な感覚がした。キモいから迫害されるとか、そういう話ではないような。
言い方からして、やっぱり呪術師でも普通はできないことのようだししかも過去形、か。
このことについて深く聞くことは、俺にはためらわれた。


 なので俺は話題を変えることにした。

「なんで夜蛾学長は、これの名前を知ってたんです?」

俺は手をさすりながら、彼に尋ねた。
家入さんからある程度の説明を受けたが、学長はもっと詳しいことを知っていると言われたのだ。
それに俺が初めて出したとき、彼は名称まで言っていた。

元は、私が使おうとしていたものだからだ」

気まず。
話題を変えても微妙な雰囲気になんのかよ。
そんな俺の動揺が伝わったのか、彼は否定するように、手を身体の前で振った。

「私が使うといっても、武器として装備する予定ではなかった。元々それは、腕の細い者にしか装着できない大きさだ女、子ども、小柄か細身のような呪術師は限られる」

「ある程度は呪力でカバーできるとはいえ、そういった人間は素の筋力が低い。そして、装備する人間を選ぶ武具の価値は下がる」

近接武器なのに、筋力が低い人間にしかまず装備することもできなくて、且つそこからさらに人を選ぶとなるとほとんどの人には使えないのでは。
価値が下がってしまうのも納得だった。

「しかし、それは人間に限った話だ。私が得意とするのは傀儡呪術学呪骸。それに組み込む、もしくは装備させることができればいいと考えた」

かいらいじゅじゅつがくって響きヤベェな。
でも確かに、人が装備できないなら人形とかの装備にできれば有用だ。
しかし、これはヒイラギさんから生えてたし、今は俺の腕に生える

できなかったってこと、ですか?」

「そうだ。私の呪力との相性が悪かったそして、人形が悪かったのかもしれない」

人形が悪かった?
俺は言葉の意図がわからず首を傾げた。
学長は身体を横に向けて、彼の後ろに積み上がっているぬいぐるみたちを指し示しながら、話を続ける。

「私が造る呪骸は、見ての通り動物やそれに近いものを模している。組み込もうとしていた呪骸も、動物の見た目だった呪具からして、動物に近い方がいいかと思ったんだが」

獣鉤手だしな。見た目も名前も、獣が元だって言ってる感じするし
でも、そんな人形の姿形が合わなかったかもってことか。

その研究は失敗に終わった。そして獣鉤手を扱える人間が見つかったことにより、そちらへ受け渡したというわけだ」

そこから今は俺のところに行きついたって流れらしい。


 納得した俺が頷いてみせていると、学長は気を取り直すようにこちらへ向き直った。

「話はこれくらいにして君はそれを扱えるようになりたいんだろう?」

「はい。勝手に出てくるの嫌だし、武器として使えるのなら使いこなしたいです」

使えるものは使うべきだし、この刃に振り回されたくもなかった。
俺がそう思いながら学長のことを見つめると、彼は、いいだろうと重々しく頷いた。

「それは、今までに確認された中では最大六枚の刃が出る。枚数を増やすには、基本的に長く使い込むこと練度によって成せる技だ。そこへ辿り着くくらいの意気込みでやれ」

わかりました」

俺は神妙に頷いた。
その内心では、六枚も出る余裕が手のどこにあるんだ!?と思っていた