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匣舟
2024-06-18 20:58:51
13289文字
Public
東リベ
Utopia for me is you.
最終決戦後のまた一人で🎍がタイムリープをした
謎世界線の話です。自分でもよくわかってないので大目に見てください...(?)(🥥くんだけが🎍のことを思い出す世界線です。
※キャラの死ありなので苦手な方はお控えください。
1
2
3
Utopia for me is you.
"
―
ココくんッ!"
"また"夢の中でオレを呼ぶ声が聞こえた。金色に染まった髪の毛が風に吹かれてユラユラと揺れている。金髪になっている髪色も印象には残っているが、一番鮮烈に脳内に残っているのは、海のように透き通っている綺麗な青色の瞳だった。ソイツの蒼い瞳がこちらを向く度に、眩しくて目眩がしそうな程に。
「なあ、オマエは誰なんだ。なんで、オレを知っている?」
そんな問いかけに答えることも無く、金髪の知らない奴がだんだんと遠ざかっていく。
夢の中の自分はがむしゃらに"なぜか"ソイツに手を伸ばしていたが"いつも"通り届くことはなく、いつの間にかソイツは目の前から消えていく。
"
―
ごめんね、ココくん。"
と一言言い残して。なんで、なんでそんなに悲しい顔をするんだ、なんで謝るんだ。と考えずにはいられなかった。謝られる筋合いは今のところ無い。
……
だって誰か知らないし。そんなことを考えているうちに、瞼に微かな光を感じた。
…
多分朝が来たのだろう。
仕方なく起き上がるとするか。と涙を流して少しカピカピになった開けづらい瞼を強引に開く。
…
それが最近のオレの毎朝のルーティン。
「
…
だから、オマエは、誰なんだよ
……
ッ!」
自分の涙で少し濡れた枕に拳を落とした。ぼふっと音を立てて枕に沈んだ拳は、なぜか、自分がどこかに置いていってしまったであろうソイツとの記憶を早く思い出せよ!という意味合いも添えられているような気がした。
―
最近、やけに現実のような夢を見る。最初の夢は、イヌピーの家が火事になる夢だった。ただ、イヌピーの家がぼうっと炎に包まれていくところを見ることしか出来ない夢。それから、赤音さんが全身やけどを負って目を覚まさなくなって、イヌピーの顔にも火傷のあとができる夢。
そっからオレがどんどん悪に手を染めていって金稼ぎに奔走する夢。やけにリアル過ぎて飛び起きて隣の家にイヌピーを迎えに行く体を装って突撃し、まだランドセルに教科書を詰めているイヌピーと、それを見て微笑んでいる赤音さんを見ても、昨日となんら変わりない綺麗な姿だし、火傷なんて負ってないしましてや火事なんてものも起こってはいない。
(
…
じゃあ、あれは夢だったんだな、そうだよな。現実なはずがない。)
自分が現実主義者なのを盾にしてそう自己暗示を唱えながら、赤音さんとイヌピーをまじまじと交互に見つめるもんだから、イヌピーにココ、頭おかしくなったのか。なんて言われたこともあったっけな。そのときは余計なお世話だよ!と突っぱねていたが、今思えば自分の行動がおかしく見えてくる。だけれど、あんなリアルな夢を見させられた後なんだから仕方ねェよな、とどこか自分を納得させている。あれは、夢なんだから、と。
それからまた寝る度にどんどんと現実のような夢は夢を見たくないというオレの意思に関係なく、物語が進展していった。夢を見て起きて、また寝てを繰り返していく度に、夢が進展すればするほどに物語はバットエンドに向かっていった。こんなもの、小学生に見せる夢じゃねェだろ。というオレの戯言と共に。だから、その夢の結末を今も鮮明に覚えている。
結局、赤音さんは火事があってから病院のベットから起き上がることもおろか目を覚ますこともなく亡くなり、唯一のマブだったイヌピーとも縁を切ってどんどんと闇に真っ逆さまに落ちてゆくというひとつの物語の顛末が流れていき、時は流れ、大人になった自分が映し出される。
白髪にチャイナ服を着て頭の剃り込んだ所のどこかに刺青のようなものを入れている自分。
……
どこからどう見ても真っ当に生きていないということがわかった。
それもそのはず。物語の最後は自分が反社になっていて、セーフティハウスかどこかで、パソコンと睨めっこをしていると、仕事のBGMとして聞いていたテレビが慌ただしくなる。テレビに焦点を合わせてその画面を瞳に映すと、緊急速報!とテロップが書かれたテレビの画面が映る。
「
―
え、先程入ってきたニュースです。日本の裏社会を牛耳っていると言っても過言では無い反社会的勢力の梵天の実質トップと言われている佐野万次郎が東京都内の廃ボーリング場から転落死したというニュースが入ってきました。死亡者は佐野万次郎と、一般人であるえー、花垣武道さんが巻き込まれた可能性があるということです。花垣さんの体には銃で撃たれたような跡があるとのことで、詳しい原因を調べているとのことです。
……
詳しいことがわかり次第またお伝え致します。
…
繰り返します
―
、」
そのニュース速報を聞いた瞬間、自分が座ってた椅子から崩れ落ちた。は
…
?は
……
?と状況が理解できないのか、床に手を着いたまま、またテレビの画面を見ようと目線を映す。
…
さっきの緊急速報を読み上げる無表情のアナウンサーの声を聞いて、絶叫のような声が部屋中に響き渡った。そんな自分が泣き叫んでいるところを見てから、ぱちりと目が覚めた。
「
…
ヤな夢。」
夢の中で自分が泣き叫んでいた姿が鮮明に思い浮かぶ。あんなに取り乱した自分見たことがなかったし、半狂乱になんで、なんで
……
!と机の上にある紙を破っている自分の姿を見て、ちょっと驚きというか、なんというか。放心状態になってしまったのは内緒である。
―
なんで、オマエは、いつもッ
……
!
そう言ってテレビに向かって泣き叫ぶ未来(仮)の自分。
この佐野万次郎というヤツと一緒に死んだ花垣武道という人物は夢の中のオレにとって余程親しかった人間なのだろう。そうじゃなきゃこんなに自分が取り乱すわけがないと考えるからだ。
劈くような自分の泣き声がまだ脳内に残り続けている。あれは、本当に夢だったのだろうか?と何故か疑問を抱いている自分がいた。なんで、そんな疑問を持っているんだろうか。と思ったが、オレの思考は夢をもう見なくていいんだ!という考えにシフトチェンジをした。
まあいいや、何はともあれこれでこの物語は終わったし、もうこんな夢金輪際見ねェだろうな〜と思っていたがところがどっこい、次は違う物語の夢のような現実が始まったのである。勘弁してくれ!と言いたい。
次の夢は暴走族になっている夢だった。
…
いや、ここ数年でオレの身に何があった!?とツッコみたくなったが、そこは憶測でしか分からないのでスルーしておいた。
というかオレ、大人じゃなくて高校生になってんじゃね
……
?これは、"別の"世界の話なんだろうか。なんて今日見た夢を反芻しながら突拍子もない考えをしていると、イヌピーの顔が至近距離にあってビクッと体が震えた。
「ウオッ
……
!」
「
…
ココ、ずっと呼んでるのに反応がなかった。」
「ゴメン、イヌピー。ちょっと考え事してて。」
「そうか。ココ、最近ちゃんと眠れてるのか?」
隈が酷いぞ。というイヌピーの心配そうな声にまあ、色々あってな。と少し誤魔化しておくことにした。夢の事を話せばいいんだろうけど話したところで何も解決する訳では無いし、イヌピーや赤音さんが出てきていてしかも道を違ったり、赤音さんが死んでいる夢を見るんだというのを実の弟にというか本人に聞かせるのもなあ
…
。というオレの考えだ。イヌピーは頼って貰えず少し寂しそうな顔をしていたがそれに気付かないふりをして、各々の家に入っていった。
(ああ、またこの感覚。)
パチ、と線香花火が弾けるような火花が脳内を伝う合図と共に、また夢か現実か分からない物語は進展していった。次に見た夢はオレは腕をガムテープで縛られて囚われの身になっていて、ボロボロになっていた。
が、それよりもボロボロになってオレのことを身を呈して守っているやつにやめろ、もういい!と叫んでいる場面だった。後ろ姿からも分かるボロボロさで、どこもかしこも服は血に染まっている。
残念ながら声は聞こえなくて、その場面の情景でしか何も情報が得られなかったが、唯一わかったことといえば、ソイツの金色の髪の毛が揺れる後ろ姿を見ただけでも何故か心が暖かくなるような気分になっているということだろうか。結局、その後の結末は分かることはなく、それっきり見ることは出来ず、また物語は進んでいく。
「
…
はァ、もうそろそろいいだろ、安眠させてくれねェかなァ
……
。」
と、額に汗をかきながら独りごちた。そろそろ、夢を見ずに寝たいところだ。睡眠不足は小学生の体に少し負荷がかかる。優等生を演じきっている自分にとって授業中に寝るなんて以ての外なので、授業中に来る睡魔に耐えながらいつも腕の肉を抓っている。
今日はそんなことをしていたら先生に見つかって、体調が悪いなら保健室に行ってきてもらってもいいよ。と言われた。
本当に限界だったオレは有難く保健室のベットを使わせてもらい、寝させてもらった。
……
何故か、その時はいつも見ている夢を見なかった。だからこそ、今日はもう見ないだろう!やった!これでオレの安眠は確保された!と喜んでいたのに、またバチッと微かな衝撃が脳を伝った。
「
…
起きろ!起きろよ!タケミチ!!」
意識がはっきりしてきて、最初に脳が受け取ったのは劈くような怒号のような泣き叫ぶ声だった。こんなにリアルで声の聞こえた夢は生まれて初めてかもしれないと思って真っ暗だった視界を目を開けることで解消していくと、泣き叫んでいる男のそばに日本刀が突き刺さって絶命したと思われる男の姿があった。思わず、ヒュッと息を呑む。いくつの夢を見てきて人の死を体験したことはあった。だけど、それは間接的に体験したというか、死んでしまってから随分たった後だったから、こんな事後でしかもこんな間近で人が死んでいる姿を見るのは初めてだった。
「はな、がき
……
はながき
……
ッ!」
そんな日本刀が突き刺さった男のそばに、イヌピーが駆け出す。
…
また、花垣だ。今まで見てきた夢に必ずといっていいほど出てきている人物。
イヌピーは必死におきろ、起きてくれ!とその男の肩を揺するが日本刀が刺さっている所からジワジワと血が広がっているだけで、彼が目を覚ますことは無かった。
ただ、その場から動けずに立ち尽くすオレとその他大勢に、誰かが「
…
タイムリープしたんだな、タケミッち。」と呟いた瞬間、その夢は無かったかのように崩れ落ちて、目が覚めた。
「
…
ッ、ぁっ、はっ、は
……
」
息をするのを忘れそうになる程の夢だった。小学生に見せる夢じゃねェだろ、と気持ち悪いぐらい滲んでいる額の汗を拭いながら時計を見たら、まだ時計は2時を指していた。それにしても。
「タイムリープ、ってなんなんだよ
…
。」
あんな雑踏にまみれた中でやけにはっきりと聞こえた声とその言葉がオレを悩ませる。夢なはずなのに、どこかで引っかかっている自分がいる。でも、悩んだところで何も解決はしないのだ。これは"夢"なのだから。
はあ、もういいや、寝よう。と布団を掛け直してまた眠りにつくと、それからは一切そんな夢を見なくなった。
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