ぎん
2024-06-13 15:19:25
1851文字
Public うちよそ話
 

バレンティオンっていいよね

アイザック×ギン
リンド×ロア




「ヴァレンティオン、ねぇ〜〜」

テーブルに頬杖を付き、ギンは嬉しそうにしているロアを見る
アレンに教わりながら、恋人にチョコを作成しているのだ

文献では知っている。命を賭して純愛を貫いた古の伯爵「アラベル・ド・ヴァレンティオン」を称える祝祭日であり、アラベル伯爵の勇気にあやかり、大切な人にチョコレートなどのプレゼントを贈り、その想いを伝える特別な日だ

「だからってそんなに作る必要ある?」

目の前にはチョコの山、山山

「いつもお店に来るお客さんにも渡すのにゃ!アレン特製お酒も入ってるチョコにゃー!」
「ギンは作らなくていいの?大切な人にあげたいとか、ないの?」

アレンはそう言って手を止めてこちらをみる

「別にーーー」

恋人じゃないし、といいかけたところで、言葉が詰まる
アイツって、何が好きだったんだっけなぁ。思い出しても酒のつまみぐらいしかないなぁ
そんな事を考えながら、アレン達のチョコ作りをボーッと見守るのだった

ーーーーーーー

いつものように3人でBARで働く、この日は毎回忙しいのだ。ロアは嬉しそうにお客さんにチョコレートを配っている

「ロアちゃんありがとうね」とか常連のおっさん達が嬉しそうに受け取っていく

「ギン君はチョコくれないのかー?」
「はー?まだ食べ足りないの?ねーよ、ロアから貰えば十分だろ、欲張りすぎ」

なんて常連と軽口をいいながら話をしていると
カランとドアに取り付けているベルがなった

「あ!リンドにゃ!」

ロアの耳がぴこぴこと嬉しそうに動いて、ダッシュで駆け寄る
嬉しそうにリンドに飛びつきにいく
それをキャッチして彼も嬉しそうに笑っている

「ロアの仕事終わったから2人で遊んできていいよ」

アレンはそう言うと常連が「男2人で酒飲めってかー」「ロアちゃん居ねーとおいしくねーよ」とかブーブー言い出すが、これも毎度のことだ
ロアは常連に手を振って、リンドと店を出ていく
「あのロアちゃんが男の人とデートかぁ、寂しいなぁ」なんて呟く客もいる

「俺の酒飲めないの?」

ドン、と文句言ったテーブルに酒を出す

「酒飲めればそれでいいくせに?」

そう言うと客は何かに気がついたのかニヨニヨしながら
「なんだお前もとうとうあのバンダナ男に捨てられたか?随分刺々しいじゃないか」
「お、俺も最近彼女にフラれたばっかなんだ、じゃあ3人で傷の舐め合いしながら飲もうぜ!」

なんでそうなる!と思っていたら肩を掴まれエールをぐいっと口に当てられる

別にフラれてなんかない。捨てられてもない。行きにちょっと見ちゃっただけだ。かわいい女の子からチョコを貰っている所を

だから、俺は別に

ーーーーーーー

「久々にギン君が飲んでるところ見たわ〜、お代ここ置いとくわ!」
「マスターごちそーさん!」

そろそろ店を閉める時間になって、客も帰っていく
残ったのは大量にお酒を飲まされてヘロヘロになったギンと、食器を洗っているアレン

閉店間際にカラン、と扉が開く音がする

アレンは扉の先を見て、納得したようにギンをちょんちょんと指差した

「ロアは迎えにきたのにって拗ねてたよ」
「あー、うん。丁度仕事が入って」
「まあ、ギンも仕事だったしね。お客さんにヘロヘロになるまで飲まされてたから連れて帰ってくれる?」

多分1人で歩けないと思うし、と告げると
アイザックはギンの側による

「おせーよ、ばか」
「ごめんな」
「俺、捨てられたかと思った」

少しだけ泣き顔でアイザックの方を見て、尻尾も、耳もぺしょんと垂れ下がる
その状態のギンをみてアイザックは頭をガシガシとかいて、アレンに

「連れて帰るわ」

と告げて、アイザックはギンの荷物と本人を抱えて店を出た

ヴァレンティオンデー。好きなものに愛を伝える日
お家でディナーを楽しむカップルもいれば
2人からプレゼントを貰って、後日クガネの饅頭を届ける者
花とチョコを交換して笑い合う2人

そして
ヘロヘロに酔った彼は、きっと寂しかった想いを相手に告げるだろう
告げて、寝るだろう。彼はそういうやつだ

「おい、ギン!寝るなって、どうすんだよこの雰囲気
カクカクと揺らしても、もう起きる気配はない。深いため息をついて、アイザックは彼を見つめていた

これからどうなるのかはまた別のお話
happy Valentine