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戌丸アット
2022-05-29 23:23:21
3130文字
Public
戦国basara
二度目の挨拶
三家(戦国basara)
1
2
今日も家康がせっせと他の黒服(店員)と閉店後の掃除をしている時だった
共に掃除をしていた黒服の1人である孫市が家康を見つめていた
それはもう食い入るように見つめてきていた為に流石の家康も無視が出来ないレベルである
「
…
」
「えっと、孫市
…
ワシの顔に何か付いてるか?」
「別に
…
目と鼻と口が付いている」
「はは!お前でも、そんな事を言うんだなぁ、意外だ!
…
で、本当はなんなんだ?」
「ふっ
…
言わない方が良い事もある」
「えー気になるじゃないか!何か気付いているなら言ってくれ、悪い事なら直した方が良いし!」
孫市のらしくないジョークにも笑いながらテーブルを拭きつつ、教えてほしいと素直に尋ねる
自分では気付かない事も第三者から見れば一目瞭然の事もあると彼女が教えてくれたのだ
ならば意識して直す事も大切だと考え、家康はバケツに浸した雑巾を入れた後、視線を孫市に向けた
そんな家康からの視線に分かっていたかのようにニヤリと一瞬、微笑んだ孫市はいつもの表情でコップを拭きながら話す
「そうか?ならば話すが
…
此処のところ随分と浮ついているように見える、何か嬉しい事でもあったか?」
「え、う、浮ついて
…
いただろうか?」
まさか浮ついていると言われるとは思ってもみなかった家康は、カウンター越しの孫市の微笑みに冷や汗が止まらない
孫市の言う通り、嬉しい事はあったのだ
それは勿論、常連の弁当屋
…
もとい三成の事である
何処で聞いたのか孫市は情報通である為、心なしか家康が固まっていると孫市が家康の様子を気にすることなく続ける
「あぁ、殆どの者が好奇の目で見ていたが
…
気付いていなかったのか?どうやら見事に上の空だったらしいな」
「ま、全く気付かなかった
…
ならお客さんにも悪い事をしたなぁ
…
」
「接客に問題はなかった、ただ妙にテンションが高かったように思え、気になっただけだ
…
いちいち落ち込むな」
「
…
あぁ、ありがとう」
掃除を終えたばかりだと言うのに、孫市がウイスキーが少量入ったグラスを差し出してくれる
孫市の分もあるので掃除を終えた一服と言った所だ
いくら三成と話せた事が嬉しかったとはいえ仕事に支障が出ては、プロ失格である
そう考えている家康は一口も呑んでいないグラスの氷を見つめながら、改めて支障は本当になかったかと思い返そうとした
がしかし、そこで入り口のドアがベルを鳴らしながら開いたので、咄嗟に孫市が声をかける
だがそこに居たのは、今の今まで家康が浮かれていた元凶であった
「すまないがもう閉店だ、それと此処はBARではなくホストクラブなんだが?」
「
…
え!?み、三成!」
「家康っ!?
…
あぁ、お前は此処で働いているのか」
「
…
徳川、知り合いか?」
「えっと
…
店の近くの弁当屋さんの店員さんなんだが
…
どうかしたのか?」
孫市になんとか説明をしながらも、まさか職場に現れるとは考えていなかった家康は、しどろもどろになりながら三成に用件を尋ねる
反対に三成は初めての来店の筈でありながら、全く緊張する様子もなく質問に答える
「半兵衛様のお迎えにあがったまでだ」
「店長
…
半兵衛殿の?と言うか、半兵衛殿の知り合いだったのか」
「竹中の迎えなど初めて見たが
…
?」
「今日はたまたまだ、いつもは私などの体調までもご心配なさる為に迎えは必要ないとおっしゃるのだ」
「ふむ、そうか」
孫市と三成が会話をしている間、家康は黙って二人を見つめた後、何処か我に返ったような顔になると、慌てたように呼びに行くと名乗りを上げた
「あ!ならワシが呼んで来よう、少し話したい事もあるから三成は休んでいてくれ!」
「あ
…
あぁ」
疲れているであろう三成に気を使ったように見えるが、これは家康が三成を意識し、尚且つ何故かある程度の距離を離しているのは明らかであった
と、なると原因はやはりソファでボーッとしている三成にあるのだろうと推測できた
「改めて名を何と言うんだ?」
「
…
なんだ突然」
「呼び方が無ければ話しづらいのでな」
「ふん、石田三成だ」
「そうか、覚えておこう
…
」
大事な稼ぎ頭の一大事なので少しずつ慎重に情報を集めるべきと判断した孫市は、とりあえず自然な形で名前を入手した
しかし手短く話したせいか、意外と家康が戻ってこない
もしや家康が最近、悩んでいた濃姫からの誘いについて話し合っているのかもしれなかった
濃姫とはオーナーの秀吉の元上司の妻であり、家康とも何やら縁のある女性であった
実はその濃姫、個人的趣味でスナックを経営しており、うちで家康に働かないかと誘っていたのだ
しかも給料は家康の言い値で構わないとはで言っているらしく、半兵衛も手をこまねいていた
「どうやら立て込んでいるようだ、お茶でも飲んで待っておけ」
「お茶なのか」
「お前は送るのだろ?当然だ」
「いや、酒に見えただけだ
………
もらう」
「ふっ、好きにしろ」
そろそろ寒くなるからと中は少々暖房が効いていた為、喉が乾くだろうと孫市は、氷のない麦茶を入れて出す
麦茶は酔っ払ってしまった客に追加の酒だと騙す為に置いてある物だが、意外と水の代わりにと職場で飲まれていたのだ
すると三成が一息ついていると、奥から半兵衛と家康が何やら話しながら出てくる
「はぁ
…
とりあえず今は僕に任せておいてくれていいから、ね?」
「分かりました、お世話をおかけします
…
」
「気にしないで、君が悪い訳じゃないんだからさ
…
お、三成君、飲んでるの?」
「え?あ、いえ、これは
…
」
「ならもう今日は家康君と帰って泊まらせて貰いなさい、その方が君も楽だろう?それに僕はまだ仕事が残ってるんでね」
「
……
はっ、了解しました」
まさか半兵衛が麦茶をお酒と勘違いするとは思わなかった3人は訂正しようかとも考えたが、孫市は関係ないと思い
三成は半兵衛の命令なのだからと黙り
家康は完全に口を挟むタイミングを見失っていた
そもそも急に決まった宿主の家康はそれどころではなかった
「え、わ、ワシの家に泊まるのか?じゃない、ですか?」
「大丈夫だよ、前、綺麗だったじゃない」
「あれは掃除しましたし、それに今日昨日知り合ったばかりなのに
…
」
「三成君、問題ある?」
「
…
いえ、ありません」
「ね?」
「ぇええー!!!」
「じゃ、決まりだね!ほら、そうと決まればさっさと帰る!」
「うわっ!?」
「失礼します」
知り合って間もないと言っても何故か半ば強引に二人は半兵衛に決められたと思えば、さっさと店から追い出されていた
むろん追い出されるようにしたのは荷物を丁度持っていた着替えていない家康だけで、三成は半兵衛に対して礼儀正しく出て行った
その後は何やらドアの向こうで騒いでいたがそれも数秒で小さくなっていったのを確認して孫市は半兵衛に話しかけた
「
…
気付いていてわざとか?」
「当然さ!あぁでもしないときっかけ無いだろうからね」
「
……
ふっ
…
確かに」
などと密かに交わされているとも知らず、家康と三成はライトで眩しい道を共に帰って行った
ーーあとがきーー
スピード感と言うかテンポみたいなのを重視したら、また短くなりました
こりゃ完全にスランプかも( ´'ω'` )
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