戌丸アット
2022-05-29 23:19:20
3393文字
Public 戦国basara
 

おやすみの挨拶

三家(戦国basara)



家康と言う男は、売上が上位のホストでありながらオーナーに拾われた恩を返すと言って、閉店した内を他の店員と掃除したり店長やオーナーから頼まれた雑用をこなすなどお人好しな男であった
しかしそのお陰か同僚とも上手くやれているし、性格から溢れ出る親しみやすさがホストとしてはギャップがあると反響を得ている

だが、そんな彼には悩みがある
その悩みとは、恋愛対象、性的対象の殆どが男性だと言う事である
試しに女性と関係を持った事もあったが満足する事はなかった
それが悩みを深刻化させた理由の1つであった

悩みはオーナーの秀吉、店長の半兵衛、そして理解ある同僚や友人数名と信頼している人間にのみ打ち明けている
そして時々女性を紹介して貰い、女性にも慣らしながら性癖について日々悩んでいた

そんな悩める彼にはホストを始めた頃からの朝の楽しみがあった
ただ朝、と言っても家康とっては寝る前であり、帰って寝た後に出勤の為に起きる夕方のご飯を買いに行く弁当屋に、彼の楽しみはあった

「おはようございますご注文は?」
「えっと、じゃあシャケ弁1つ」
ご注文は以上ですね、暫くお待ち下さい」

一人前になって弁当を買えるようになった頃から通い出した働いているホストクラブの近くの弁当屋なのだが、必ず朝のレジに無愛想ではあるが切れ長の目と白い肌、誰が見ても美形だと頷くであろう店員が居る

そしてどんなに無愛想で、どんなに低い声でも必ず答えてくれる彼と顔を合わせる事が、家康の朝のちょっとした楽しみとなっていたのだ
やましい気持ちが無いかと言われると答えに困るが、眠い朝から誰かと顔を合わせるのに男だろうと女だろうと、やはり美形や美人であった方が悪い気はしないものなのだ

そんな風にちょっと言い訳に近い事を改めて考えて自分を納得させていたが、深夜まで働いていた体は睡眠を欲しており、いつの間にかうたた寝をしてしまっていた
だからだろう、近付いてくる気配にも全く気付く事はない

い」
「んー
「おい!!!貴様、寝てるのか!!!」
「わっ!?え、え?」

微睡んでいた頭に突然、ドスの効いた大声を耳元で聞いた家康はそれなりの鍛えられた体型にも関わらず、飛び跳ねるように体をびくつかせ
何が起こったのか分からぬまま、自分以外の客は居ないフロアを見渡した後、吃驚した表情のまま自分を起こした無愛想な店員を見つめた

大声で起こされたせいでタメ口も気にならない
するとすぐ、レジの奥から活気のある声が聞こえてくる

「あ、三成様ー!口調、気を付けないとまた刑部さんに怒られちゃいますよー!すいませんね、お客さん」
「黙れ、左近!お前は大人しく作っていろ!………これをやる」
「えいよう、どりんく?えっと
「サービスだ、貴様、ホストだろう?」
「え?あぁ、よく分かったな」

店員同士の会話にも反応しない寝惚けた頭は、まだボーッとしており、店員から渡されたドリンクをマジマジと見ながら店員の顔を見る
するとタメ口のまま、店員は手短に説明してくる

普通は店員がタメ口ならば気分も悪くなるが、この無愛想な店員だと不思議と嫌な気分にはならず、むしろ顔を覚えてもらえたのだろうかと内心嬉しく思いながら自然と家康もタメ口で答えていた

いつもの癖で笑顔で答えていると寝起きで余程見るに耐えなかったのか一瞬、店員は顔を歪めたかと思うと起こした事に対して謝罪してきた

「気付いたのは今、弁当を作っている者だ………起こして悪かったな」
「いや、店で寝るワシが悪いんだあ、ドリンクありがとう」
「っ!あぁ」

ようやく働き出した頭で理解し、今度は上手く笑えたのか無愛想な店員は一瞬だが目を見開き驚いた表情をした後、すぐにレジの奥へと戻っていてしまった
しかし家康は、表情が変わったのを見れた事、言葉を少しでも交わせた事が嬉しくて堪らなかった

すっかり嬉しさで目が覚めてしまった家康は栄養ドリンクを握り締め、眺めていると再びあの無愛想な店員が袋を持って現れた

「待たせたな、注文の品だ」
「ありがとうあ、口調、怒られないか?」
お前が気にする事はない」
「そうか?それなら良いんだがえっと貴方は」

もはやタメ口を改めるつもりは全く無いのか、またもやタメ口で袋を渡してくる店員にもう1人の店員の言っていた事を思い出した家康は心配そうに話しかけた
タメ口で話している所を見つかって、この無愛想な店員が叱られるのは偲びなかったのだ

すると店員は相変わらずの無愛想な表情で答えてくれたので、また嬉しく思いながら続けて喋ろうとしようとしたが店員に阻まれた

私の名前は石田三成だ」
「石田、さん?」
三成で良い」
「っそうか!なら三成、ワシの名前は徳川家康と言う、これも何かの縁だ、三成も名前で呼んでくれ!」
……家康、か分かった」

まさか名前を知る所か下の名前で呼べると思わなかった家康は、ニコニコと付きそうな程に笑顔になりながら答えた
すると店員、もとい三成も家康に釣られたのか僅かに口元を綻ばせた
その事に気付いた家康は今日は良い日だと思いながら、受け取った袋を掲げ改めて声をかけた

「はは、なんか本名の自己紹介とか久しぶりだから照れるなぁこれからも此処を利用させて貰うだろうから宜しく頼む」
「いちいち言わなくとも、そのつもりなのは分かっているさっさと帰れ」
「手厳しいなぁ、でも確かにワシみたいな派手な格好の人間が居ても迷惑だし帰るよ、じゃあこの後も頑張ってな!」

帰れと言う言葉にショックを受けて、折角仲良くなったのに何かしてしまったかと慌てそうになったが、すぐに今の自分の格好を自覚すると納得出来た
今からサラリーマンなどの客が来るであろうに、如何にも水商売、ホストと言った風貌の人間が居ては入りづらくて客足が遠のいてしまうだろう
そう思い家康は内心、三成が機嫌を悪くしなければ良いと思いながら、そそくさと店を後にした

しかし外を出た後、すぐに三成の呼び止めるような声に何か忘れ物をしただろうかと、不思議そうな表情で家康は足を止め、自分の鞄やポケットを押しながら確認する

「っ家康!」
「ん?どうした?ワシ、何か忘れ物をし
たか?」
「いや………ちゃんと寝ておけよ、その、体に障る」
「っ!ありがとう、三成!ふふ、おやすみ」
あぁ」

まさかわざわざ自分の体を心配してくれる言葉を言いに来てくれると思っていなかった家康は、自然と微笑み礼を言っていた
そんな家康の気持ちが伝わったのか、何処か安心したような雰囲気で三成は店内へと戻っていた

その後ろ姿に今日はゆっくり眠れそうだと思いながら、家康も足を進めた



end





ーーあとがきーー

これ、実は三成の方も気になってて、この話で笑顔に一目惚れしてます
なのでやけに絡んでくる←

余談ですが、ホストの時は高級スーツ、オフの時はゆったりパーカーな家康さんです
あとまだ男性とは関係を持った事がありません(おい

とりあえずこの後、実は半兵衛と面識があると言うか戸籍上保護者だから三成が弁当宅配したり、時々臨時でお手伝いに来るようになったり、弁当屋は秀吉経営だったり
次第に親しくなるけど家康は自覚しちゃって距離を置こうとして、信長との縁で濃姫のスナックに逃げちゃって
焦った三成が告白する為にスナックに通い始めるって感じでしょうか
あ、合間にギャグっぽく濃姫様発案の女装デーとかあっても楽しいでしょうね☆←
あと裏設定に家康は金持ちの坊ちゃんだった、とか考え出したら止まらない_(:3 」∠)_

ま、書く予定はないんですが、書くのは楽しかったです|*‘ω‘ )
でも需要もないのに書き散らせないので、此処で満足しときます

ともかく、ここまで読んで下さり、ありがとうございました!