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薙屋のと
2024-05-04 15:37:28
471文字
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エルフの耳は口ほどにものを言う
250字では収められなかったSS
髪を耳にかけているだけ
薬指で彼の目の下の隈をそっとなぞり、輪郭を確かめるように白い頬を撫でて、細くて柔らかな銀糸を手櫛で梳きながら耳に掛ける。
普段は髪に隠れている欠けた耳が露わになって、ぴるりと揺れた。
「お前はいつもそうやって私に触れる」
光を吸い込む蝋色の瞳が、ゆっくりと瞬きをしながらカブルーに告げた。
「嫌でしたか?」
「嫌ではない」
だが、分らない。小さな呟きと共に伏せられた長い睫毛が影を落とす。
「お前は私に、何を欲している」
左右非対称の面貌が、カブルーを見上げている。
両耳、右目、欲求。悪魔に数多のものを喰われ食べ残された男が、何が欲しいと問いかけている。
「俺はあなたから、何も奪うつもりはありませんよ」
カブルーはそう告げて、親指でミスルンの薄くかさついた唇に触れた。
「俺はただあなたの思ったこと、感じていること、望んでいることを取りこぼしたくないだけです」
冗談めかしてぱちりと一つウインクをする。
「
……
お前は強欲で知りたがりだな」
そう言ってミスルンは目を細め、微かに笑った。
その笑顔が好きだと思った。
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