出口
2024-04-21 13:06:31
8678文字
Public 現パロ(五悠)
 

「呪~クBOX ゴジョサト出演回Archive」

アイドル系ミュージシャン悠仁のラジオ番組に事務所先輩の五条が出演した結果番組ジャックしちゃう話。
※芸能パロ
※五条のキャラ設定は呪専悟です。
※悠仁が五条のガチファンです。
※モブ視点的なお話です。
※既刊「パ-ティーがはじまる」収録作品の再録。


「呪~クBOX」

`(2018年7月23日 23時~翌1時放送回)
番組パーソナリティー 虎杖悠仁
ゲスト ミュージシャン 五条悟`
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「虎杖悠仁の! 呪~クBOX~!」
お馴染みの番組コールから始まった放送は、
「番組名微妙にダサくね?」
虎杖ファンならば過分に聞き覚えのある声で、出鼻からリスナーの耳をザワつかせた。
いつもなら番組パーソナリティーである虎杖のゲスト紹介から「はい、こんばんは~」と話し始める進行を、今夜のゲストはのっけから無視していた。

「五条さん、そーいうこと言わない! 俺もリスナーさんたちもこの番組名気に入ってんだから!」
虎杖の弱ったようでいて怒った様子ではない声が、ザワついたリスナーの耳を癒すがやはり進行はイレギュラーなまま。虎杖自身も、紹介前にゲストの名前を口にしてしまっている。

「~~ってことで、あーもうグダグダだけど! いつも聴いてくれてるリスナーの皆さんは知ってもらってッからいいよな! 今日のゲストはミュージシャンで俺の最推しする事務所先輩でもあります、五条悟さんですーー!!」

弱りつつもその声が弾んでいるのは、五条悟が真実虎杖悠仁の最推しだからだ。
前週の放送最後に虎杖が次回ゲスト予告をしてから1週間、ファンは毎日のようにSNSで浮足出つ虎杖の心境を聞かされてきた。それでなくても番組内で、五条の話をしない回は「探すのが難しい」と言われるくらい、虎杖の五条推しは浸透し切っている。
リスナーもSNS上で『#呪~クBOX』のハッシュタグを付け、続々と祝福の言葉を投稿した。

「五条悟です」
ズルいのは、そのシンプル過ぎる自己紹介をもの凄いイケボで名乗るからだ。放送時間が深夜帯なこともあり、カーステレオを除く多くのリスナーがイヤホンなど使っていたとのことだが、ここでゾクッと震えたという証言が多く出ている。
「うっわぁあ~~!! めっちゃイイ声!! みんなちゃんと聴いてた!? めっちゃイイ声!! 俺震えた!!」
虎杖ですら――と言おうか、既に五条に落ちてる虎杖が盛り上がっている後ろから、五条悟のゲラゲラ笑う声が聞こえていた。


「マジで俺、この距離で五条さんと3時間もいたら肺が潰れるかも!!」
「どーいう原理で?」
「なんか……圧で」
「圧で(笑)」


「俺、今日は番宣で来てるから~」
番組冒頭からそう言い切った五条は、初っ端から気だるげでいて、番組内で新曲を流してもらえれば後は割とどうでもいいという態度だった。
事務所の後輩の番組だからと、やりたい放題だったことも追記しておく。

「五条さん、テーブルに足乗せないで~」
虎杖の声で、そのぞんざいな様子はラジオ電波越しにも察せられたのに、
「五条さん足長いから、踏ん反り返りすぎたらマイク遠いでしょ(笑)」
呆れるというよりも笑ってしまっている虎杖に、最初はイライラさせられていたリスナーもほっこりさせられるのは、さすが我々の虎杖悠仁だった。

元来この番組は、ミュージシャンの中でもアイドル系と呼ばれる虎杖悠仁の持ち前の明るさと、それでいてどこかまったりと穏やかに癒してくれる語り口を持ち味としている。
だからいくら虎杖の事務所先輩であろうと、日ごろから虎杖がガチファンであると公表していようと、五条悟の存在はイレギュラーだ。
こちらは大概オラついた印象が強すぎるのだ。

「これ、テッペン過ぎたら下ネタOK?」
「ダメです!!」
仮にもアイドル売りをしている後輩の番組を荒らす言葉を楽し気に投げて、
「ンじゃ、何時ならいいの?」
「ずっとダメです!!」
そもそも話を聞いていない。
ついには虎杖にして、
「番組は俺が守る!!」
等と言わせてしまう始末。
ここでSNS上では「悠仁を困らせないで!」という保守派の苦情と、「いいぞもっとやれw」という煽りが飛び交った。

多少の波乱はあれど、番組はいつものプログラムに則った進行を続ける。
五条にとっては『後輩の番組』をいうバイアスがあっても所詮は数あるラジオ番組の1つに過ぎないだろうが、この番組にだって常連リスナーというものがおり、いつものメッセージの届くいつものコーナーというものが存在している。そういつまでも、五条悟のペースで引っ掻き回され続ける訳にはいかない。
それは、我々常連リスナーにとって、推しの虎杖悠仁との尊いふれあいのひと時でもある。

コーナー紹介をする虎杖の声に、
「いつも聴いてるから知ってマス」
いかにもおざなりな五条の声が聞こえるが、
「絶対嘘ですよね?」
虎杖の言葉に誰もが同じことを思っていた。
小さめのコーナーが2つほど進んで、
「いつも聴いてるから知ってマス」
また同じことを繰り返した五条に、
「絶対嘘だよね?(笑)」
今度は砕けた口調で笑っていた虎杖だが、リスナーの反応はあまり良くはなかった。「聴いてる、聴いてる」とあからさまに適当に返すから、この辺りで匿名掲示板にスレッドが立てられたようだ。

しかし流れが変わったのは、常連リスナーの間では知名度の高い古参ラジオネームのメッセージが読みあげられた時。
「もう新宿やめとけ、自分のコンパスを信じるな(笑)」
五条がチャチャ入れるよう呟いたひと言は何気ないもので、きっと彼のファンである一見リスナーには届かなかっただろうが、そのひと言で掲示板の流れは変わったし、SNSでもちらほらと言及する発言が増えた。
件の古参ラジオネームが『何度新宿ダンジョンへ挑んでも特定の店に辿り着けない』ネタは、繰り返されるたび虎杖から慰められる流れが出来上がっているもの。『自分のコンパス』を捨てきれないのも、投稿者本人の迷言が元になっている。

『ゴジョサトって本当に普段から呪Ⅹ聴いてるのでは?』

そうとなれば状況は色々と変わってくる。
五条がこの番組のリスナーであれば、我々古参でもたまにうろたえるほどの虎杖の重すぎるゴジョサト愛のあれやそれが、五条本人に認知されているということになる。
まさか多忙な彼が毎回欠かさず視聴しているとは思われないが、その10%でも常人なら胸やけを起こすレベルだと言われるあれやそれだ。

幸いなのは、虎杖本人がうっかりそのことに気づかないで流してしまったことだろう。ファンを大切にする彼が番組後にSNSの公式タグを確認すれば、さすがに気づくことになるのだろうが、番組進行中の今は気づかないままつつがなく次のコーナーに移行した。



「いつも聴いてるから知ってマス」
コーナー説明の後またも繰り返す五条の言葉に、
「絶対嘘だよね?」
「天丼しつけぇ(笑)」と受け流すことを覚えた虎杖に、『虎杖~~!!!!』SNSの番組タグでは総ツッコミが入っていたが、当然気づくはずもなく。
「だから聴いてるッてば」
平熱で言う五条の言葉には、『聴いてる!!』との投稿が乱舞する。

「五条さんこんばんは」
荒ぶるファンの声は届く術もなく、リスナーからのメッセージを読み上げる虎杖の声に、
「バンワー」
やる気無さげな五条の声が返る。このコーナーはリアルタイムのメッセージも交じるのに、
「毎週楽しく聴いてます(笑)」
半笑いで楽し気な虎杖の声が読み上げると、
「毎週出てねーから!」
既に直接五条に宛られたそのメッセージに五条は笑いながらつっこむよう言い放ったが、『毎週聴いてる!!』更につっこまれている二重構造に我々は忙しかった。

リアルタイムのメッセージの交じるその時間からは良くある恋愛相談のコーナーが始まるのだが、これはティーン向けのアイドル系番組によくあるもので。いつもなら虎杖が一緒に真剣に悩んでくれる、これまた古参視点では癒しのコーナーだった。
しかし、今回は勝手が変る。回答者がオラついた五条悟。誰もが恐れたことだったが、基本的に回答がシモ。

「とりあえず無理やりにでもヤッちゃえば?」
「それダメだから!!」

いつもの流れや雰囲気は完全に霧散して、不用意に『とりあえず』で同意のない身体の関係を勧める五条に、虎杖の悲鳴が被さる。
「ダメ!! 本気にしてないと思うけど!! 本気にしちゃダメ!! 五条さんもダメ!!」
ダメと言われた五条のケタケタと笑う声が響き、完全に遊んでいるのが分かる。

これはリスナーなら誰もが知っていることだが、メッセージを含めた番組原稿はタブレットで出演者の手元へ届けられている。
従って、リアルタイムな現場では事故も起こり得る。

「『僕はもう普通のオナニーでは満足出来なくなりました、何か良い方法はありませんか?』――とりあえずローションを使え、話はそれからだ」
完全に呪~クBOXのノリではない五条悟の独壇場が始まったのは、ちょうど深夜23時を回った頃だった。
「‪――‬待って」
絶句しかけた虎杖の声に、
「うわ悠仁、顔真っ赤なんだけど! 可愛い~! ローション知ってる?」
更に揺さぶりをかけるそれは、もはや虎杖の推しではなく後輩をからかう事務所先輩のそれだった。

ここからまた息を吹き返した保守派と煽り派で、SNS上は大いに荒れた。
常連リスナーからは、こんなの完全にラジオジャック! と批判がなされる。
引き続き、お便りメッセージを勝手に読む五条。
放送コードを気にして慌てる虎杖。
荒れる外野。

「俺、悠仁なら抱けると思う」
下ネタの後にブッ込んだ五条に、
「俺の抱いてはすげぇ!! カッコいい!! って意味だから~~」
誰もつっこんでないのに、虎杖はいつもの自分の発言をかえりみたのか、言わなくて良い言い訳までしている。

「そういやいつか言おうと思ってたんだけど、19ボックスってコスキャバあるの知ってる? 嬢が全員19歳だって(公称)。悠仁もコスプレしろよ、エロいやつ」
少なくとも、所属事務所からアイドルとして売り出している後輩に向ける言葉ではない。
「かんけーないから!! 俺まだ18だし!! 19じゃないし!!」
可哀想に、もうパニック状態だ。

そして、とうとうラジオネームじゃなくリスナーの本名を読み上げそうになった五条が、
「あぶねー!!」
やらかしそうになった自分自身にウケてる間に、ひたすらハラハラしていたのだろう虎杖は、
「もう五条さんに原稿渡しちゃダメだって!!」
とうとうタブレットを取り上げたようだった。



臆面もなく番宣のためにやって来たと言い放った五条が、それまで合いの手の如く「新曲回して」と言い続けていたのもあり、恐らく本来の進行より前倒しで五条悟の新曲は流された。
というよりも、
「俺が聴きたいです! もう俺が我慢できないんで!」
という虎杖の渾身の泣きが、番組ディレクターをうなずかせたらしい。
番組ジャックされそうなパニックもあり、虎杖の精神が限界だったこともあるのだろう。

五条悟の新曲PVは既に発表されていたが、フルで聴くことが出来たのはこの番組でのオンエアが初だった。
配信もこの明け1時からの予定だったため、今夜のリスナーには五条悟ファンが多かったことだろう。その数は元々の番組のリスナー数など遠く及ばないもので、当然のように曲明けのSNSトレンドは『五条悟 新曲』と『五条悟 神曲』が並びで上がっていた。
併せて『呪~クBOX』『虎杖がんばれ』も番組終了後までトレンドに上がり続けた。

これもまた当然のように曲明けに陶然としていた虎杖が番組進行を忘れ呆けてしまうのも、彼にしては珍しいことで。
――――――――――――――――――――――――えっ? なんでこの歌詞書けるんすか? 五条さんですよね?」
音情報のみを媒体とするラジオで、今度こそ放送事故一歩手前の空白の後言った虎杖に、
「disってんの?」
五条の低音ボイスが、ツボにはまったリスナーも多かったことだろう。虎杖の言葉に完全同意したリスナーも。恋愛相談にあの下半身先行アンサーを返していた男とは思われないような切ない作詞で、情緒をバラバラにされたという人も。
「いや、崇拝っす!!」
きっと虎杖は濁りのない純粋な目でその言葉を言ったのだと、彼を応援し続けて来たリスナーは知っている。

「いや、みんな知らないでしょ? コイツ、曲中話しかけた俺に『シッ!』て言ったんだぜ? 鼻先に指立てて『シッ!』って! 先輩に!?」

五条は不満そうに言うが、推しの新曲の初聴き中に声を掛けられたら、そうなるのも仕方のないことだろうと思うのだ。しかも、虎杖悠仁にとっての五条悟の新曲だ。いや、神曲だ。編曲構成も息継ぎのタイミングまで、全てを可能な限り聴き洩らさず集中することなど当然のことだと、我々訓練され尽くしたリスナーなら承知している。

我々の多くは虎杖悠仁を称えることに関しては誰にも遅れをとるつもりはないが、虎杖が五条悟を称えるそれには敵わないのでは? と常日頃から思わざるを得ない。
虎杖にとって五条悟本尊は神に等しい存在ではあるが、それでも福音である楽曲に心酔している時間を妨害することは許されない。

そしてここからは、虎杖に依るノンストップの五条悟語り。今度こそ虎杖悠仁の独壇場。
さすがに今夜は本人が目の前に居ることなので手心も加えられるか? と思ったが、五条悟を語ることで虎杖自身の情緒回復も図っているのか。止まらない。
途中で何度か「長ぇ!」やら、「帰って良い?」やら、「もう曲かかったし良いよな?」やら五条悟の声が挟まったが、彼の――ここまで絶賛されて他人事のように振る舞う塩加減も凄いし、ここまで塩にされて語り続ける虎杖もなかなかに据わっている。覚悟が違う。



時間進行の都合で半ば強制終了するようにフェードアウトさせられた熱い語りの後には、今夜の為に録りおろされたのだという番組ジングルが差し込まれる。

今回録られたジングルは3種あり、番組名を「呪~ク」と「BOX」に2人で分けてコールするもの(後半が五条のパート)、自由すぎる五条に声が被り過ぎたNGテイクがそのまま使われていたり、2人ともが笑ってしまいグダグダになってしまっていたものだったり。
それでも念願の推しとの持ち番組ジングルを達成した虎杖の、今までの軌跡を思うと我々古参は涙した。
あからさまに途中から五条が収録に飽きたことも、どうあってもNGテイクでしかない音源を番組に採用することを諦められなかった虎杖のいじらしさも、分かり過ぎる故に涙を禁じ得なかった。



そして虎杖の進行がようやく安定し始めた、番組終盤のことだった。
「悠仁、ちょっとコーラ買ってこい」
突然に無茶ぶりを始めた五条に、
「はっ?」
我々も同じように声を発しただろう。今は番組中だ。そして虎杖悠仁はこの番組のパーソナリティーだ。
「番組は俺が進めとくから買ってこい」
「ええっ!?」
今度も同じように声を発したに違いない。
「任せろって、オラ行け!」
声は有無を言わせない先輩のソレだ。体育会系パワハラ体質ジャイアニズム。
番組中にパーソナリティーをパシらせる……そんなことあり得ないと、誰もが思っていた。そういう企画も無いではないが、ことこの番組に至ってはあり得ない――はずだった。恐らく『虎杖がんばれ』のワードの最高風速はこの時だった。

しかし相手は虎杖の事務所先輩だ。当然芸能界でも先輩。しかもそれだけではなく、今まで五条悟が仮であってもメインパーソナリティーを務めたラジオ番組など存在しなかった。
五条悟は虎杖の推しだ。そして神。虎杖は五条悟のガチファン。つまり、わずかな時間でも五条悟が進行する番組が爆誕するという事実は、ファンの念願祈願なのだった。
この時の虎杖の行動については、我々古参も折れざるを得なかった。パシらされている間、虎杖が五条の進行を聴くことは出来なかったろうが、後に制作スタッフへ拝みこんででも音源を手に入れたはずである。

スタジオから虎杖が走り出した瞬間、五条悟に依る番組ジャックは完成した。
そしてここから彼は、我々も知りえない虎杖悠仁について語り始めたのだ。(その詳細は、別の有志のまとめたWEBサイトがあるので、文末にリンクしておく。)
そして虎杖不在なまま、スタジオ内では五条が持ち込んだアコースティックギターによる生弾き語りという、突発ライブが始まった。しかもそれは、虎杖悠仁のアイドル時代に初ソロ曲としてリリースされた曲を五条悟がアレンジしたもの。
この瞬間からSNS上では、悲鳴と虎杖の名を叫ぶ投稿がされることとなる。

後に虎杖本人の口から何度もノンブレスで語られることになるこの事件の発生時、同行マネージャを千切りつつスタジオ階段を駆け上がって来た虎杖は――スタジオ入口に突っ立ったまま、口を半開き状態で曲の後半を聴いていたのだという。
そのあと呆ける虎杖からコーラを受け取った五条が蓋を開封した音が我々にも届いたのだが、ブシュッ! と勢いよく開いた音と共に、
「テメ! マジか! くそ、振ったろ!? これ!!」
慌てたような五条の声に、「わああああああああ!!」叫ぶ虎杖の声も聞こえて来た。どうやら二段飛ばしに階段を駆け上がった際に、盛大に炭酸飲料を振っていたのは無意識だったらしく。
「あ~~、マリ×ッコみたいになってんじゃねーか! この服気に入ってたのに~! 虎杖テメー後でマジビンタだかんな!!」
ブチギレた五条に我々は笑い、虎杖は半泣きで謝り続けた。
SNS上では『マジビンタ』がトレンド入りした。

結局帰ってくるまで10分以上かかったことにも、「遅ェよ!!」と怒られていたが、これは多分うれしいやつだろうと、我々は察してもいた。
それ以前に虎杖を誉められていたため、五条の態度はツンデレにしか聞こえなかったし、常から虎杖の絶賛する歌声を電波越しに聴き惚れた直後。更にそれが推しの持ち歌。そんな奇跡のようなサプライズの後に、我々は反感を抱けるはずもない。
しかも虎杖を番組中にパシらせ、彼の不在中に突発ライブを繰り広げるという意地の悪いことをした先輩には、既に『私服がマリ×ッコ』という罰が当たったのだから。

そして彼は、更に虎杖へ無茶ぶりをした。
そのまま、2曲目に入ったのだ。
「俺のシャツ、ベタベタだからオマエ弾けよ」
と、突き出された推しのアコギ。恐らく呆然とした状態で言われるまま受け取った虎杖は、五条の曲を片っ端から完コピしている。
そして促されたのだろう、虎杖の声が五条の歌声に重なった。

我々は虎杖の至福にむせび泣いた。
虎杖本人も、そこから番組ラストまでずっと涙目だったのだろう、鼻を啜っていた。



そして番組終わりに、最近虎杖がアイドルグループ時代のメンバーと活動を始めたバンドの曲が流れ、番組はエンディングに近づく。
曲終わりの余韻に浸る間もなく、五条によるエゲツない下ネタがブチ込まれたのは、今度こそ放送コードギリギリだった。

更に番組は、五条による本域の「五条悟の呪~クBOX」コールで終わり、ここに乗っ取りは完遂した。