【スズ東】秋日が素っ気ない

東雲さんのお相手が男性の場合季節絡みのお話と「元気が出る写真を送ってほしい」ネタの二本立て。🔔🍮編。 ※この二人付き合ってないでーす。コミック三巻未収録の要素ありますご注意。


【スズ東】違う、そうじゃない




唐突だが、日下部スズは日々の任務で疲れに疲れていた。
昨日干し損ねた布団の上にうつ伏せになり、意味もなく唸るくらいには疲れが溜まっていた。
普段であれば自分磨きに精を出しているが、それをする気力体力もない。行儀悪く膝から下をバタバタさせ伸ばした。
埋めていた顔を上げ、横に置いていたスマホを掴むなり力なくメッセージを打ち込み送る。
その文書のなんと回りくどいものか。一回読んだだけでは到底スズの真意にはたどり着けず、何なら誤解一直線の内容であった。

端的に言えば日下部スズは東雲薫に「元気が出る写真送れや」とメッセージを飛ばした。

返信を期待していないが、薄っすら期待しているスズの頬がほんのり朱に染まる。
以前の調査任務から妙に意識してしまい、彼女を上手く言いくるめ連絡先を手に入れてから一定の間隔でそれっぽいメッセージのやり取りをしていた。
もっとも毎度返信が来るとは限らず、今回は特に駄目もとで送った内容だったので時間経過と共にスズの頬も熱が引いていった。

ボスンと、顔を埋めたタイミングでスマホの着信音が鳴りバッと顔を上げスマホ画面を凝視する。
表示される東雲薫の名前にスズの頬が再び朱色に染まり、期待に満ちた指先でタップした瞬間大声で叫んだ。

「そうだけど、違うッ!!」

照れ恥かしそうに撮られた自分の姉、日下部ツヅミの写真にスズはスマホを投げそうになるのを堪え──、しっかり保存ボタンを押した。

「こ、今度こそ……ッッッ」

スズはふんわり東雲薫の写真が欲しいとメッセージを送り直した。
スマホを握りしめ暫し待っていれば、手の中で震え着信音が鳴る前に画面をタップし──、柔らかい布団の上にスマホが壊れないよう力加減をして叩きつけた。

「だから違うッ!!」

なんとまあ楽し気に撮られたツヅミと東雲薫のツーショット写真にスズは頭を掻き毟る。
うがーっと吠え唸り、それでも忘れず保存ボタンを押して変な言い回しをせずシンプルなメッセージを送った。
そこそこ時間が経った後、そこはかとなく控えめに鳴る着信音にスズはスマホ画面をタップした。

「──よし」

写真から滲み出る「これの何処がいいのか分からんね」な東雲薫の表情にスズの顔がフッと和らいだ。
恐らくツヅミに撮ってもらったであろう何とも言えない表情を浮かべた東雲薫しか映っていない写真を三度目の正直で保存したのだった。