豆炭々炬燵
1486文字
Public ちいかわ
 

【ハチちい】そんなの認めない

原作者様のパラレルワールド展開で脳が焼かれてしまったもの。でかつよハチワレ×パラレルちいかわ。ねつ造ご都合主義満載。軽度暴力描写あり。ケモ×ケモ。何でも読める方向け。何でも美味しく食べれる方向け。
これの続きのお話→ https://privatter.me/page/65f8252f212ea

この世界は優しい世界。絵空事の夢の世界。もうひとつのあったかもしれない世界。
でも、本当の世界じゃない。本当の世界は楽しいことも辛いこともあるけど、全部吸われて馴染んでしまうその前に元に戻すために虫を潰したのに。

「ヤーッ、ヤーッ、ヤーッ」

ただ強くなっただけなのに、怯えながら武器を向ける姿に心がイラってした。



自分の知っている世界となにかが違うこの世界。見た目だけじゃなくて、なにかが違い始めてきている身体の変化に何も感じない。はじめからそうだったみたいに違和感がない。
大きな身体、大きな耳、長い尻尾に鋭い爪。簡単に虫が潰せる力の強さに驚きはしゃいでいたら武器を向けられちゃった。さっきまで一緒に虫、追い掛けていたのになんで? 笑って楽しそうだったじゃん。なんで、なんで?
涙浮かべてまで必死に武器向けてくるのどうして?
虫潰しただけじゃん。ヤーッて、イヤッイヤッて、ヤダーーーッて。
「言わないでしょ、そんな事ッ」
遠ざける言葉、きらい。ずっと涙ぐんで武器を下ろしてくれないの、だいきらい。
身体がうずうずする。感じたことのないなにかが身体の奥から産まれてくる。
「言わないよねェッ」
大きく振りかぶった手。鋭い爪先を振り下ろしたら当たっちゃった。遠くに飛んでいく形の違う武器がサクって地面に刺さった。
武器が無くなってびっくりして尻餅ついて、それでも後ろにざりっざりって後退るから両手を地面に付いた。
これで高さは一緒。でも、こっちの方が高いかもしれない。
わァ……と後退るのに合わせて前に進んだ。
「もう動かないの?」
小さな身体をふるふるさせて動かなくなっちゃった。頭を守るように手で抱え、こわいものを見ないよう目をぎゅっと瞑って、なんか嫌だな。
だけど、不思議と泣いている姿に背筋がぞくぞくする。大きくなった尻尾が上機嫌に揺れる。
簡単に手で包めそうな小さな身体を掴もうとしたら、大きな耳が後ろから鋏になった耳をちょきちょきさせる音を拾った。
「デヤッ!!」
「うるさいッ」
折角長く大きくなった尻尾を切ろうするから、思わず尻尾で振り払っちゃった。さっき遠くに飛ばした形の違う武器と同じくらい軽く飛んでいき地面に落ちた。鋏になった耳がサクって地面に刺さり、抜けないのか両手足あわあわさせてる。
「簡単に飛んで行っちゃった。この身体強い。力上手く使いこなさないと」
見てない間に逃げようとしていた小さな身体を鋭い爪で傷つけないよう、うっかり潰さないよう力を抑えて両手で掴み包み込んだ。
どっしり。腰を下ろして、手の中で震えて泣いている子を見下ろす。
「ねェ、あんな酷い事もう言わないよねェッ」
「ヤ、ヤー、」
「ねェッ」
もう一度聞いたらコクコクって頷いてくれた。やっぱりあれは本当の気持ちじゃなかったんだ。
なにか怖いものを見つめる目で見上げて涙ぐんでる。怖いの? なにが怖いの?
大きな舌で顔を舐めてあげた。しょっぱかった。小さく詰まった悲鳴ごと舐めてあげたら、やっと悲鳴がなくなった。よかった。
「だいじょうぶ、だからね」
スリって大きさが違う顔でほっぺたとほっぺたと合わせる。柔らかくて温かい。命の匂いがする。
小さな身体に顔を押し付けた。苦しかったみたいで、うぅって唸って小さな手が顔を押し退けようと触れてくる。小さな小さな手。なんでか懐かしさを覚える小さな手にずっと触れていて欲しくて、押し付ける力を弱めて目を閉じた。





「もう馴染んでしまったから遅いゾイ」
顔のある大きな木が心なしか残念そうにその光景を眺めていた。