スサ
2024-02-27 12:48:31
4524文字
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【ゲ】団地妻みずきの朝+ハプニング追加

村田さんとお話して出てきたネタの軽いまとめです。ありがとうございます!
便宜上👹が大人の姿で働いています。かるく営んでいます。
☆朝の後の配達の〓くんを追加

 起きなさい、と布団を引っ張りめくられる。寒くはない。そんなことより、その口調が昔の、子どもの頃の朝を思い出してしまい、ハイッとやたら良い返事をしてしまった。
……?」
 が、答えてから「何か変だな」と思う。もうあの頃とは背丈も違うし
「起きたか?」
 頭上からくすくす笑う声。その声は変わらず、大好きなあのひとの、
「みずきさん」
 腰に手を当て、彼は笑っていた。顔もだが、体型にも変わりがない。愛嬌のある目元が少し悪戯っ子のようで、朝からキュンとする。
「おはよう、ダンナ様。お前も水木だよ、一応」
 ふは、と息をもらすように笑う声は快活で、だからけして夜を匂わせるようなものではなかったのだけれど、気づけばその腕を引っ張って布団の上に組み敷いていた。さすがに予想外だったのか、大きな目が丸くなっている。かわいい。きっと、あまりよろしくない顔で笑っていたに違いない。尖った犬歯を見せて。手首を抑え込んだ人が、身の下でビクッと肩を揺らしたのだから。弱い所や隙を徹底的に隠す人が。
こら」
 眉間にシワをよせ、離しなさいと言うのはまさに「父」の顔だ。けれどもう、そうではない顔を知っている。
 お父さんの顔のあなたも大好きだったけど、と胸の中でつぶやいて、最近養い子から良人へ肩書を変えた鬼太郎は笑う。
「キスしてくれたら起きます」
もう起きてるだろ?」
 くだらないこと言ってないでどけ、と口調が少し荒れてくる。ただ、それが素だから気にはならない。ぐ、と手首を抑える手に力をこめれば、彼は片方の目を眇めた。
「ごめんなさい、痛かったですか」
こんなん、痛いわけあるか」
 すぐこうやって強がるのは育った時代のせい? けれど好都合でもある。
「じゃあ大丈夫ですね」
おい」
 そこでさすがに顔色が変わった。何をする気かやっと気付いたのだろう。
 甘いなぁ、と口に出さず思う。あなた本当に僕に甘い。もう小さな息子じゃないのに。
 バカにするでも、かといって自嘲するでもなく、遠慮なく唇を重ねてそのまま貪る。ん、ふ、とこぼれる吐息がたまらない。ぐり、と腰を押し付ければぎくりと固まった後バタバタ暴れだした。取りたての魚くらい元気だ。
 しかし、もう力は絶対に水木より鬼太郎の方が強い。
もう、なんでそんな暴れるんですか」
 ──ただ、力で抑え込みすぎると水木が拗ねる。負けず嫌いというか。そういうところも可愛いんだよナァこの人、ともはや惚れた弱みというもので、全てが可愛く魅力的に見えるから困る。
朝飯、冷めるだろ」
 ムスッと唇を尖らせて彼は言う。最近養父、あるいは義父から妻に肩書を変えてくれたひとが。
「朝ご飯、なんですか」
卵焼き。せっかくきれいに巻けたのに」
 むぅ、とした拗ねた顔があまりに胸にきて、鬼太郎はもう一度唇をかっさらうに留めて体を起こした。機嫌を損ねるのは本意ではないし、昨夜もお腹いっぱい食べさせてもらったし。
 お腹いっぱい食べたのは水木さんの方かもしれないけど、と言ったら確実に頭を叩かれそうなことを考えつつ、「顔洗ってこい」の厳命に従う。
 ちょっと惜しかったな、と頭の片隅で思いつつ。

 ──その30分後。
っ、ば、バカッ」
 玄関口、壁に押しあてられるような格好で、必死に袖を噛んで声を殺す「妻」の背中は震えていて、服を乱しただけで性急に繋がった体を揺する男は、荒い息の中で奥歯を噛みながら言う。
「あなたがっ、あなたがあんな、ことするからっ
 行ってらっしゃい、と見送りしな、朝してやらなかったから、なんて照れくさそうに笑って、触れるだけの可愛らしいものだったけれどキスをくれて。
 よほど照れくさったのだろう、頬を染めたまま、それでもそっと左目を覆うような前髪をかきあげ、昔は逆だったのにな、お前聞き分けは良かったのに朝は泣いて嫌がってさなんて懐かしそうに呟いた後で瞼にも口づけをくれて。
 ──あなた僕が今朝我慢したことわかってます!?
 思わずカッとなってしまったのは仕方ないのではないか?と夫としては思う。思わずにいられようか。何年あなた一筋で育ったと思ってるんだ、と訴えたかった。
 と、いう主張に情状酌量の余地があるかはわからないが。
「ち、ちこくするっ」
 額を壁にこすりつけたまま首をひねって言う顔は真っ赤だし、涙の膜も張っている。本人的には怒っているのだと思うが、ただ悩ましいだけだった。舌打ちしたくなる。
っ、も、おわり、ます、からっ」
 ずっと中にいたい。何度もしたい。だがそうもいかない。別にそれは社会人だからではなくて、この腕の中の人がそういういい加減な男は嫌いに決まっているからだ。それだけは避けたい。
 すでにやらかしてはいるのだけれど、それはともかくだ。
 ぐっと腰を押し付けて、水木のうなじに顔を近づける。真っ赤だし、汗のにおいとまじってどこか甘やかな香りがする。彼の体臭は本当に頭をおかしくさせる。
 のけぞる首に手をかけ、後ろを向かせて噛みつくように唇をを重ねる。短い舌を捕まえて、喉の奥が震えるのがわかる。
 かわいそうな人。捕まってしまって。震えながら、きっと今、きたろう、と呼んだ。かわいい人。絶対幸せだって思わせてあげますからね、と迷いなく思う。
 極めて、達して。
 がくっと崩れ落ちる体をきっかり抱きとめ、はあ、はあ、と落ち着かない息を吐く。しばらくして、ぺち、と力のない手が鬼太郎を叩いた。怒られたのだ。なんてかわいい。
ごめんなさい」
 甘んじて叱られて、口先ばかり殊勝に謝れば、遅刻したら夕飯抜き、と子どもっぽいことを言われた。
「絶対遅刻しません」
 ごめんなさい、ともう一度謝って、でも、今度は語尾に「大好きです」をくっつける。
 それで許してもらえたのかはわからないが、やり直しの行ってきますに対し、ネクタイ曲がってるぞと直してくれるサービスがあったのは確かだ。