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いまち
2021-12-18 11:43:16
5565文字
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人魚と、靴と
かきなおし
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いまいち集中しきれないまま、補習が終わった。なんとなく寮に帰る気分にならなくて、部活に顔を出すことにした。
「おはようございまーす」
「やぁ、マドモアゼル雛鳥(プサン)、今日も愛らしいね」
「えと、ありがとうございます」
入室早々、ルークさんがにこやかな笑顔を向けてくれた。ルークさんの人の呼び方はなんかこう、独特だよね。リドルさんがバラとか、レオナさんがライオンとか、その辺は分からなくはないんだけど、なんで私はひよこなんだろう? そんなに子供っぽいかな。
「ふむ、どうやらムシュー愉快犯の靴はマドモアゼルの足にぴったり合ったようだね」
え、今なんて言った? 靴が私の足に? フロイドさんからもらった靴のことだよね? なんでルークさんが知ってるんだろ?
「えっと、ルークさん、この靴のこと知ってたんですか?」
「ウィ、なんせムシューにマドモアゼルの愛らしい足のサイズを教えたのは他ならぬ私だからね! いやぁ、合っていてよかったよ。あぁ、マドモアゼルにもお礼を言わないとね、おかげでムシューと楽しいひとときを過ごすことが出来るんだ」
「え? え? どういうことですか?」
「実はムシューからマドモアセルの足のサイズを調べるよう頼まれてね、その対価としてムシューと、ふふ、デートの約束を取り付けたんだ。なんせほら、陸で活動する人魚なんて珍しいだろう? 前々から興味はあったんだがなかなか尻尾
……
いや尾びれだね、掴ませてくれなくてね。観察の機会を設けさせてくれたマドアゼルには感謝しているんだ」
フロイドさんの「企業ヒミツ」ってルークさんのことだったんだ。なんていうか、こんなにペラペラ喋っていいのかなって思うんだけど、ルークさんだし、いいのかな?
それにしても、ルークさんと付き合ってまで私に靴を用意するフロイドさんか。なんだか余計分からなくなってきたよ。フロイドさん、ルークさんのことってそんなに好きじゃないと思ってたんだけどなぁ。
でも、フロイドさんのことより気になるのがルークさんのことだ。なんでルークさんは私の足のサイズを知ってるんだろ。靴のフィット感を思えばかなり正確に分かってるってことだよね。本当に覚えがないから、ちょっと怖い。まさか、私が寝てる間に部屋に入って測ったなんてことはない、だろう、とは思う。ディアソムニア、マレウスさんがいるから厳重に警備されてるはずだし
……
うーん、謎だ。
「えと、私、ルークさんに足の大きさとか教えてないですよ?」
「ふふ、狩人の目を侮ってもらっては困るよ」
「えぇ
……
」
いつものにこやかな笑顔で一言。うん、答えになってないです。相変わらずなにを考えているか分からない人だなぁ
……
。でもなぁ、ルークさんのことだから、詳しく聞こうとしてもはぐらかされそうなんだよね。とっても気になるけど、あまり深追いしないでおこう。
それから何人かの人に靴を誉めてもらった。かわいい、とか似合ってる、とか。褒められて悪い気はしないし、履き心地もいいものだから、寮に帰る頃にはすっかりこの靴がお気に入りになってしまった。
(今度会ったらちゃんとお礼言わないとなぁ)
色々気になることはあるけれど、今はこの素敵な靴をもらえたことをただただ喜んでおこうと思った。
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