豆炭々炬燵
5350文字
Public SSSS.GRIDMAN
 

【アン裕】停戦協定

彼が考えた最善の考え。







変なデカブツに殴られた箇所が癒えない。本来の姿と比べこの姿はダメージ回復が遅すぎる。右頬を腕で拭えば鈍く熱い痛みが走った。
……
いつ何時命令が下され出撃できるよう家の前で待機し続けた。明るい時間帯でしか家から出てこないとしてもだ。明かりが消えた窓を見上げる。変わらず出てくる気配はない。視線を玄関先に向けたまま、数時間前のことを思い返す。
「響裕太」
ずっと同じ言葉が頭の中でくり返される。
響裕太はグリッドマンだと教えてもらった。だから殺しに行った。
でも、響裕太はグリッドマンじゃない響裕太は人間だった。人間は殺さない、殺すのはグリッドマンだけだ。

『よく見ろ響裕太は人間だ!グリッドマンじゃないッ!』
『よく考えろ!ここで裕太を殺せばグリッドマンを倒せなくなるぞ!』

響裕太は人間でグリッドマンじゃない。だが、響裕太を倒すとグリッドマンを倒せなくなるのは何故だ。響裕太を殺せばグリッドマンは現れない。それは響裕太の正体がグリッドマンだからだ。
「アイツを殺すとグリッドマンを倒せなくなる……
なら何故響裕太を殺すとグリッドマンを倒せなくなる? それは響裕太が人間でグリッドマンじゃないからだ。
「アイツを殺さず見張り続ければグリッドマンは現れる……!」
未だ出てくる気配のない玄関先から視線を外し歩き始める。出てきたところで命令が下されるとは限らない。
それなら此方から動くまで。
「まずは響裕太をもう一度探さなければ」
人間を探すには高い場所から見下ろした方が効率がいい。だが、暗い時間帯の所為か人間たちの姿が疎らだ。もしかすると響裕太も同じように何処か戻っているかもしれない。当てもなく駆け回り適当に上った建物から飛び降りた瞬間、何かが目に入り地面着地したのと同時に目的の場所へ飛び上がり外壁にしがみ付いた。目に留まった白い四角と長細い黒い線に目を凝らす。
「分からない」
人間が作った文字というのは読めない。外壁から建物の外部に面している平たい足場に降り立つ。
一枚の扉の前ににじり寄り扉横にある文字を見上げ周りを見渡す。似たようなのが左右いくつかあるが何故これに興味を持ったか分からない。だが、直感的なものが此処だと言っている。
「まあいい」
他に当てもない待機するのは慣れている。この扉から響裕太が出てこなければ明るい時間帯にまた探せばいい。それだけのことだ。