Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
ひろっぷ
2022-01-19 17:01:23
4163文字
Public
第五 探探
探探(雀モグ)まとめ
走り書きまとめ。雀モグしかないです。
1
2
3
4
5
6
▼
「いた!モグラ!」
どうして。どうしてここにいるのか。咄嗟の声を出したくても出せなかった。泥に塗れ、殴打され生理現象で出た涙でグシャグシャになった顔のままなど、振り替えられるはずがない。
やっとの思いで絞り出せた声は、己が耳で聞いてもなんとも情けない震えた声。
「ど、うして
…
ここに、いるのです
…
雀!逃げなさい。貴方は、こんな所にいては
…
!」
しゃがんだ足が見える。随分と逞しい体つきになったものだ。瓜二つの顔をしながら、生まれも育ちも違うという不思議な関係で巡り合った彼は、自分とは違う恵まれた環境で、余計にこんな場所にいてはいけないのだ。
「あなたを助けるために来たんだ!」
「馬鹿なことを!これ以上私と関わらないで!死にますよ!」
悲しい気持ちに嘘はない。しかし、別れを惜しむより怖いのは死を見ることだ。モグラは常に死と隣り合わせの世界に生きている。だから同業者こそいるものの仲間を、家族を、作らなかった。
だがこの「雀舌」は諦めが悪く、モグラの住処に足繁く通ってきた。門前払いしようとも、必ず抜け道を見つけ侵入する。諦めたモグラは商売相手だと思うことにして彼に侵入を許したのだった。
それが、この様か。
必ずしも雀舌が原因ではない。それだけは自身の胸に誓ってもいいぐらいだ。全ては己の油断、ただそれだけである。
動く気のない雀舌を急かすように、モグラは彼の胸を押した。
雨音が激しさを増す中、それでもはっきりと聞こえるように伝える。
「私を見つけた事は評価しますよ
…
ゲホ
…
。行きなさい雀。貴方に会えたのは幸運でした」
それが届いた瞬間、雀舌は激昂した。
「最後の別れみたいに言わないでくれる!!?」
「!?」
抱きしめられたと分かったのはしばらくしてからだった。時が止まったように感じ、雨粒が見えるような気さえ。
「
……
雀?」
「あなたが
…
いや、あんたが!あんたが助けてくれたから僕がいるって事、忘れた訳じゃないだろ!!」
「覚えが
…
ありませんよ
…
そんなもの」
「僕はある!あんたが諦めるって言うなら
…
」
耳元で息を吸う音が聞こえる。一拍置いて、モグラが目を見張る台詞を吐き捨てたのだ。
「あんたが諦めるって言うなら、僕も今ここで死んでやる!!」
「なっ
……
」
とんでもない。何故。やめなさい。浮かぶ言葉は色々あった。感情も目まぐるしくまわった。
だが実際に出る事はなく、唯一体だけが反応を示した。生きたいと強張ったのだ。彼を死なせてはならないと。
「許されるのですか、私が」
「当然!」
信じてみてもいいのではないか。賭けてみようと思えたのは生まれて初めての事だ。彼が運命を共にしようとするのなら足掻いてみてもいいと。
「
……
雀、契約を」
「今!?何!!」
抱きしめたまま、敵に睨みをきかせて雀舌は返事する。こんな時まで元気だな彼は、などと呑気な事を思うぐらいには。
「私を守りなさい。未来永劫、わたしのこの身果てるまで」
「へ!?」
「聞こえませんでしたか。ではお終いです。逃げ、」
「聞こえてる!聞こえてるから!!あぁもう!ママ!!」
「はあい」
ママ。
返事が聞こえると同時、雀舌が相対していた敵が一瞬にして倒れ伏していく。それに連なるように長身の男性も追撃していき、形も残らないほどに霧散していった。自分は、人ではない何かを相手にしていたのか。
驚異が去り落ち着いて彼を見る。なるほどこれが彼のいる環境か。モグラは朦朧としながらも羨ましいと思った。そこに席を置く自分など想像できないが。
「返事、聞いてない!」
「何の話です」
やはり無かった事にしよう。彼の環境を知れば知るほど自分には不似合いなのだ。モグラという者は孤独であればいい。飛ばされていた帽子を受け取り、悟られないように目深に被り素っ気ない態度を出していく。
「
…
助けてくれた事は感謝します」
「もう!そうじゃない!」
「!」
女性と男性は少し離れた場所で野次馬達を散らそうとしているようだ。見て見ぬ振りなだけかもしれないが。
「じゃあこうする。ねぇママ!」
「はいはい」
「モグラ、こっちに籍置かせていい?」
「は?」
「
……
おや」
何を言っているのだ、とそんな空気が漂ったが、さすがは雀舌の身内か。
そんなものは当然というように笑っているではないか。こんな人間がいるのかとモグラは心底感心していた。
「雀」
「なに」
「馬鹿なんですか?」
「どうしてそうなるの」
「
……
いや、馬鹿なのは私ですか」
嬉しく思う自分が嫌になる。こんなはずではなかったのだ。本当に、こんなはずでは。
「またそんな事言って!ママ、いいでしょう!?」
「ええよ」
「早いな」
嬉しさの余りママと呼ばれている女性に抱きついている雀舌を遠目に、長身の男性が横から耳打ちしてくる。
「この方、雀には甘いので。諦めていただければ」
「はぁ
……
」
「やった!式はいつにする?ねぇねぇ!」
「え、そんな話でした?」
「雀
………
」
1
2
3
4
5
6
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color