納豆
2021-12-31 16:35:59
9454文字
Public
 

忘じに所望

一緒に年越ししたい🐉と👑


「ねーねー、ルリナぁ」
「なぁに、ソニア」
コテージを貸し切って相棒達も表にみんな出してやる年越しは、私とソニアがする年に一回の贅沢な遊び。
ソファに腰掛けたソニアの左右に懐く姿が二匹。
カジリガメは頭だけソファに乗せ、ヌオーははみ出しながらもうつ伏せに、そんなあの子達に左右を固められたソニアは慣れた様子で撫でてやっていた。
カムカメとウパーの時から彼女と仲良しなもので、ソニアがいるとなればちょこちょこついて回る姿をよく見せる。
それを動画に撮るのが密かな楽しみであることは、誰にも言っていない。
ワインとつまみを準備した私の足元に元気よくぱたぱた回っていたワンパチもぱたたっとソニアに向かう。
ソニアはふよふよ浮かぶスマホロトムを見つめて、にまぁと笑っていた。
ちょいちょい手招きされるから、私も近くに寄っていく。
ソニアの前のローテーブルにワインとグラス、つまみを置いてしまう。
ヌオーは私が近づくと、座れるだけの隙間を作ってくれる。
それに、ありがとうと返してぺったりうつ伏せになってる彼の頭を撫でてやる。
そうしてソニアの隣に腰掛けて一緒に画面を覗き込む。
そこに並んだ投稿に、私はやれやれと肩を竦めた。
ソニアはそんな私の反応にうふうふ笑って画面を突くのだった。
「これで付き合ってないんだもんねぇ」
「時間の問題とも言えないのが変なところよね」
大きなベッドの上、これまた大きな男達が二人、寝転がって上から撮られた写真がある。
今夜は寝かせないぜ、の文字並びにダンデを抱き込むキバナがいる。
ダンデはダンデで楽しそうに腕に収まっているものだから、全く毎年恒例のこの光景には呆れ返るものだ。
こういうおふざけはいくらでもできる癖、本気で迫るとなれば途端に及び腰になるのだからよくわからない。
毎年毎年、愛しい人のためせっせと手を回す、我らがトップジムリーダーを思う。
今年もどうにか捕まえられたようだけれど、来年はどうなるのかしら。
さっさと言ってしまいなさい。
思いながらも、この意気地無しに昔馴染みをくれてやるのもちょっぴり癪だ。
来年はソニアと二人で囲い込んでやろうかしらなんて画策してみる。
そんな私にソニアは悪い顔してるなんてけらけら笑って肩に寄りかかってくる。
そうして指を立ててはくるくる回すのだった。
「ダンデくんが自覚したら時間の問題なんだけどね」
「それが一番大変」
二人、肩を揺らしてふふっと笑ってしまった。
いつまでも平行線をずるずる歩む二人を思って、おかしくなる。
自覚のある片思いと、自覚のない片思いのぶつかりあい。
ガラルの頂上を競い合う最強を冠した彼らが、まさかこんな幼稚な恋に勤しんでるだなんて、不思議な関係もあるものだ。
なんとも不恰好な男達。
そんな彼らの年末を片手間に小さく笑ってしまいながら、私たちはワイングラスへ手を伸ばした。
とくとく互いに注ぎ合い、私たちはちぃんっと乾杯の音を立てたのだった。