冬灯夜
2022-07-23 22:47:12
8189文字
Public ルミナリア
 

「なあ、これってさ、」

ルミナリア ガスリゼ
過去~未来それぞれの二人の会話
大体いつも肩透かしを食らうガスパルなガスリゼ




「ガスパル」
 あれはまだクレヴス村に住んでいた頃のこと。普段スパスパと物を言うリゼットが、珍しく躊躇いながら声を掛けてきた。
「どうした?」
「あー、うん……
 歯切れ悪く言い淀み、無意味に両手を握ったり、こちらを伺っている。
「あの、な。ちょっと……お願いが、あって」
「な、何だよ?」
 普段とあまりに違うものだから、こちらも声が上擦ったりして。
 リゼットは視線を俺と地面とで往復させて、恥じらうようにほんのりと頬が染まっていて。
 なに。え、何だこの雰囲気。あのガサツなリゼットが。何だかんだと口煩いこいつが。
 勝手に心臓がバクバクして、いやこれじゃまるで俺が何か期待してるみたいな、いや、いやいや。
「ガスパル」
 遂に意を決したようにリゼットはこちらを真っ直ぐ見た。
 知らず、手を握り込んでリゼットの言葉を待つ。
「アニエスにプレゼントするから、行商人のとこに付き合って」
 ――うん?
……うん?」
「よし! じゃあ行こう!」
「いやちょっと待て」
 今の“うん”は了承の“うん”じゃないんだけど。
 アニエスへのプレゼント。それはいい。むしろいつも通り。
「なに? 早く行かないといいのがなくなる」
 それを何で無駄に言い淀んだんだよお前!!
 口に出すと何かに負ける気がして呑み込む。代わりにため息を吐いた。
「何のプレゼント?」
「この前リボン失くしちゃったし、かくれんぼでまた見つけられなかったって拗ねてたから。行商人が来るって聞いたし、丁度いいかなって」
「あ、そう……
 特に記念日ではない、と。
 雪と氷のこの国では、行商人は生命線だ。村にも店はあるけど、遠くの品物は行商人頼りだし、真冬で往来がし難くなる前は特に、冬籠りの準備も兼ねて多くの行商人が行き交う。
「あ、そうだ、はい。ガスパルの分」
 小さな布袋を差し出される。
「俺の分って」
「昨日までのお手伝いの分。私と半分」
 ……村の畑の雑草を抜いたり、パン屋の手伝いをしたり、リゼットの家のお使いをしたり?
 でもそれは半分リゼットに付き合わされてのことだし、パン屋は……手伝うならこれまでのことはいいって言うし余り物くれるし……。リゼットの家には父親と離されてからは確かに世話になっているけど、リゼットが村長から貰ったものなら俺のものじゃないし。
 貰う理由がなくて受け取らずにいると、リゼットの眼光が鋭くなった。
……じゃあいい! ガスパルの分も私が貰うんだから! 新しい手袋買ってやるんだから!」
「ちょ、おい!」
 さっと身を翻して早足で歩きだすリゼットを追いかける。
 新しい手袋、とはアニエスの物でもリゼットの物でもなくて、俺の物に違いない。前も似たようなことをして、結局自分の小遣いも含めて俺の髪紐やらを買おうとしてた。びっくりして思わず怒ると、逆ギレされたのは記憶に新しい。
「ん」
 横に並ぶと胸に布袋を押し付けられる。
……分かったよ」
 行商人の前で同じことするのは憚られて、渋々受け取った。そもそもアニエスへのプレゼントを買いに行くのに俺の物を買っては意味がない。
 満足そうに笑ったリゼットは、何を買おうかな、なんてご機嫌に呟いている。
「何がいいと思う?」
「そうだなあ……花のモチーフのあったらいいんじゃないか」
「やっぱりそっか」
「っていうか、俺の意見必要?」
 特に記念日というわけでもない、姉から妹へのプレゼントなのに。
 む、とリゼットは口を尖らせる。
「だって、私だけよりガスパルからもっていう方が喜ぶし」
 ご機嫌から一転、面白くないと顔にでかでかと書いてリゼットは言う。
……それであんなに言い淀んだわけか」
 呟くと、聞こえなかったらしいリゼットが首を傾げた。
 妹大好きだよなあ、こいつ。 
 ……まだ昼前なのにどっと疲れた気がする。
「あ、もうあんなに集まってる。ほら、早く、ガスパル!」
「分ーかったってば! 引っ張るなよリゼット!」





「ガスパル」
 連邦軍に入って幾らかした頃、野外のベンチに座って休んでいると、リゼットが声を掛けて来た。
「おう」
……お前、疲れてるか?」
 眉をひそめてリゼットは言う。
「そりゃな。お前だって訓練から即任務とかよくやってるだろ。……とりあえず座れば?」
 疲れてるなら、と用件を言わずにいそうだったリゼットを促す。暗部に配属されたことや帝国への潜入をしていることも知ってるから、そこら辺の気遣いなんだろうが、何だかくすぐったい。
 リゼットだって入隊一年も経たずにすっかり“問題児”として知れ渡って、同時に群を抜いて有能なもんだから、扱いに困りながら前線に投入されるという忙しい日々を送っているのに。
「で、どうした?」
「ああ……
 リゼットは隣に腰を下ろし、何かを言いあぐねている。
……何だよ?」
「ああ……うん。ちょっとな。言おうかどうか迷ったんだが」
 あれ。前にもこんなことなかったっけか。
 記憶を探ってる間にリゼットがこちらを見る。
「やっぱり、お前だと思って」
「え」
 真っ直ぐに見つめられると意味もなく動揺してしまう。
 いや、意味、ない、よな?
 一瞬リゼットは目を伏せて、再び俺を貫いて。
「ガスパル。その、よかったら一緒に」
 リゼットはすぅ、と息を吸う。
 俺は思わず息を止める。
「拠点を一つ落としに行かないか?」
 …………
 ゆっくりと息を吐いた。
……任務?」
「そうだ。私の他に適当に連れてっていいと言うから」
「ああ……そう……
 脱力する。
 ばっちり思い出した。昔もこんなことがあった。別に何も期待してないし。
「でもお前も忙しいだろうし。それに最近モテてるようだし」
「何だそりゃ」
 急に何の話だ。
「デートで忙しいんじゃないのか。最近締まりない顔で笑ってる」
 リゼットは揶揄うような口調で言う。……が、少し面白くないと言いたげな表情に見えるのは、俺がそうあって欲しいからだろうか。馬鹿馬鹿しい。予断を挟むなと散々言われてるのに。
「まあ、任務の一環かね……
 潜入任務にはどこにでも溶け込めることや違和感を感じさせないことが重要だ。やり方はそれぞれだが、軽く見られるようになるのもその一つだ。あの能力は潜入には便利だが、それ一本で出来るものでもない。
「とにかく、大丈夫だ。行くさ」
「そうか」
 リゼットは小さく息を吐いて立ち上がった。
「で、いつ?」
「これから」
「だと思ったぜ」
 立ち上がって伸びをする。
 単なる問題児ならよかったものを、下手に有能だから時折こんな嫌がらせじみた任務も振られる。こいつもこいつでそれを受けて達成するのだから、色んな意味で厄介なことこの上ない。
 それでも頼られたことに安堵しているのだから、全く厄介なのはどっちだという話で。
 ……いや間違いなくこいつの方が厄介だ。明らかに。どう考えても。
「あとはグレースに声を掛けてみるつもりだ。準備が出来たら西門に集合で」
「はいよ」
 リゼットはすたすたと歩いていく。振り返りもしないその背中を見送って、ため息を溢した。
「さぁて。こき使われに行きますかね」
 下準備はしっかりしておこう。どうせあいつは全部薙ぎ払うんだろうから。





……ガスパル」
 リゼットが二十歳を越えてから――マイシュが帝国に降ってから、三年程した頃のこと。
 酒場の片隅で酒を飲みながら、言いにくそうにリゼットは呟いた。
「なんだ?」
 昔とは随分関係が変わった。あの村の惨劇以降。そしてマイシュが占領されて、また俺がここに舞い戻って以降。
 リゼットは人前では殊更俺を雑に扱うようになった。俺はそれに甘んじて、同時にどうでもいい話こそ人前でするようになった。俺の“任務”に有効だからという面もあるが、リゼットの中では俺と近しい様を見せるのは弱みになると思っているからだろう。
 幼い頃とは違う。軍に入った頃とも違う。互いに手を汚して、同じではいられなくなった。
 そんなことさせる為にここに来たんじゃないのに。
 結局、俺もこいつも、世の中を知らないどうしようもなく甘いガキだったのだ。
「お前、明日は暇か?」
「さあどうだろな。厄介事か?」
 リゼットは曖昧に頷く。
「お前にとってはそうかもしれないな」
「俺にとっては?」
 リゼットにとってはそうじゃない、ということなのか。
「お前以外じゃダメだと思った」
 ことり、とグラスを置く音がやけに耳についた。
 ここ数年ですっかり冷たく見せる術を覚えた筈の薄鈍色の瞳が、遠くのランプの灯を映して揺れている。
 それに一瞬、惑いそうになって、いや待てこのパターンは知ってる。
「明日、本陣まで含めて拠点を数か所、落としに行かないか?」
 ほらな!
 踏み止めた自分を褒める。何回こんなことがあったと思ってるんだ。
「つーか何だよ、その任務。どこぞの狼将かよ」
「一騎駆けするほど無謀じゃないからお前を誘ってるんだ」
 一騎駆けも二騎駆けも変わらない、というか。
「俺にお前くらいの戦闘能力期待されても困るんだがなあ」
「そっちも期待してないことはない。違う方面での期待はしてる」
 つまり下準備なり偵察なり、リゼットが囮になった隙の敵将や情報の確保なりと。力押しはガラじゃないが、そういう方面なら手慣れたものだ。
「分かったよ。明日だな?」
「ああ」
 場所と時間を確認する。この後、日付が変わる前に出発。ならこれが最後だなと、もう一杯グラスに注ぐ。リゼットも同じように注いだ。
 確かにあの方面は落としておきたい情勢ではある。……が、マイシュが陥落して以降、はっきりと嫌がらせの任務は増えた。俺が把握出来てないとなると、決定された直後か俺が手を伸ばしあぐねてるルートからの任務か。
 まあ、こいつなら戦闘任務で簡単に死ぬことはないだろう、という信頼はある。そんな任務を振ってくる上に苛立ちこそすれど、それだけなら単なる無茶振りにしかならないと上も分かっている筈なのだが。
「誰でもいいから」
 グラスを持つ手に力を入れてリゼットは言う。
「現場の部隊でもブレイズでも使って、一日で落として来いと」
……なるほどな」
 これは本当の意味で“嫌がらせ”だ。そんなものにリゼットが生徒を巻き込むわけはない。
 教職に就いたこいつが、穏やかな表情でいる瞬間がどれほど増えたことか。鬼教官の顔をして、笑って。
……巻き込むなら、お前しかなかった」
 呟いたリゼットの声色には、迷いと苦渋があった。
 生徒を含めた他人を巻き込まない為には、短期決戦で落とすのが手っ取り早い。一人でもやれるだろうが、俺を使えばより短時間で落とすことができるし、現場の部隊を止める方向に使ってもいい。だというのに、俺という安全策を取ったことを既に悔やんでいるわけだ、こいつは。
「なら明日は、お前を守る騎士役でも全うしてやるさ」
 お姫様を守る騎士なんてのは、パタラに乗った王子様と同じくらい類型の物語が沢山ある。アニエスに読み聞かせた絵本の中にもあった。
 軽い口調で言ってやれば、リゼットは眉根を寄せて――そのままふと、口許を緩めた。怒っているようなおかしいような、不格好な笑み。
「似合わんな」
「この男前に対してひっでえ言い草だな」
「言ってろ」
 リゼットはグラスを干して硬貨を置く。
「仮眠後さっきの場所で」
「あいよ」
 立ち上がったリゼットの横顔は、いつもの平静さを取り戻していた。そのまま酒場を後にする背中を見送り、グラスを呷って残りの代金を置く。
 ――知らない所で危険に晒されるより、巻き込まれた方がいい。まだ、お前の中で俺が頼っていい対象であることを喜んでいる。
 そんな本音を口にすれば、またあいつは苦い顔をするのだから、言ったことはない。俺とリゼットが近しいと知れて、それが誰の弱味になるかと言えば、俺の方だとあいつは思っているだろう。……だから俺が任務に絡んでくることにいい顔をしない。
 分かっている。そうでなければ互いに質になったりなどしない。
 分かっていても、分からない。
……行くか」
 落とすべき拠点の情報に頭を切り替える。
 物語のような騎士なんて似合わない。全くもってその通りだ。
 でも、たまには。そんな“役”を貰ったって、いいだろう?





「よう。疲れてんな、リゼット」
 専用の教官室に入って声を掛けると、リゼットは机に凭れていた頭を上げた。
「お前な……いい加減、普通に入って来い」
「ああ、まあ、癖になってんだよな」
 呆れ顔のリゼットに肩を竦める。
 もう見られてどうこうということを警戒することもない。ただそれでも、情報を流したりリゼットに会いに来る時には能力を使うことが多かった、その長年の癖と習慣は簡単に抜けない。
 コーヒーを机に置く。
……ありがとう」
 ため息を吐きつつ、素直にリゼットはコーヒーに口を付けた。
 九九八年から約三年の間、本当に色々なことがあった。それこそ世界中に影響を及ぼす、激動と言っていい事態が次々と。
 どうにかこうにか形は落ち着いて、今は事後処理と今後の為の仕事の時間だ。騎士学校はその中核の一つであり、リゼットも当然の如く忙しい。
 近くの椅子に座り、自分のコーヒーを口にした。
「お前、飯食ってる?」
「食べてる。お前こそあちこち飛び回っているくせに」
「食ってるっての、出来る男なので」
 さてはツマミで済ませてるな、こいつ。
 俺は勿論食ってる。サンドイッチは移動中も食えるし味もいいし栄養もあるしで完璧だ。
「ちゃんと食えよ。つーか休めよ」
 何なら手を回して無理矢理休暇を捻じ込んでやるか、と思案してると、リゼットが微妙な顔をしていた。変に図星を突かれたような、困惑のような。よく分からず首を傾げる。
……なら、お前、明日は休みにしろ」
「あ?」
 唐突な提案、もとい命令に思わず声を上げる。
「何だそりゃ。今はお前の休みの話を」
「私を休ませたいならお前も休め」
 どういう理屈だよ。
 しかし、こういう我が儘らしい我が儘を言われるのは随分と久しぶりな気がする。懐かしささえ感じる自分に内心苦笑した。
「にしたって、明日って無茶言えよ」
「は?」
 氷のような声。せめて数日後、という提案すら憚れる圧。
 ……おかしい。数秒前までの感傷が一瞬で吹き飛ばされる。
「いや、あのな、俺だって」
「やれ」
…………へーい」
 負けた。そもそも勝った記憶もないが。
 明日を休みにするとなると、これは今日中に終わらせて、あれは朝に手配して、残りは明後日まで伸ばして……いや無茶振りしてくれるな、本当。
 リゼットが本当に休みを取るなら、律儀に俺まで取ってやることもないのだが、今の人脈を考慮するとほぼ確実にバレる。
 ため息を吐いて立ち上がる。とっととやろう。
 リゼットが空になったカップを渡してくる。返して来いと。はいはい。
「ガスパル」
「何だよ?」
 振り返るとリゼットはまた微妙な顔をしていた。
 ぐ、と一度目を閉じてからこちらを見る。むしろ睨んでいる。何でだ。
「明日の朝、西門。近くの湖まで出かけるから、今日の夕方はその買い出し。マーケット前」
 いいな、と低い声で問われる。……圧を感じるが、まあ、問いだろう。一応。
「マーケット前な。分かったよ」
 ならば、そう答える以外にあるというのだろうか。
 リゼットは、眉間のしわを緩めた。小さく口角が上がる。
「遅刻するなよ」
 言ってリゼットは再び書類に向かう。了解を返して部屋を出た。
 食堂へ向かいつつ、再び頭の中で仕事の算段をつける。
 しかし休み、休みか。ちゃんとした休暇なんぞいつ振りだろう。まあその休暇も勝手に予定を決められたわけだが。
「ん?」
 何かが引っかかって首を傾げる。
 今日の買い出しは荷物持ちにでもされるんだろう。きっと。そうに違いない。
 ……明日は?
 湖に出かける、と言った。休みを取れと言ったその口で。
 足を止める。
 獣退治、なんてことは、まあ道中あるだろうけど、それが目的ならわざわざ休みと銘打った意味が。
……んん?」
 休みの日に、二人で、特に任務でもなく、湖に出かける?
 いや言ってない。俺と出かけるとは一言も。言ってないが、あれは、あの圧はお前も行くのが当然と言わんばかりというか決定事項というか。
 それじゃあまるで――デートのような。
……
 いや。いやいやいや。
 そんなわけ。
………………マジで?」
 思い至った可能性に、暫し放心し――とりあえず、俺は考えるのを止めた。



*****



……それでは、明日は私とセリア、イェルシィとミシェルでそれぞれ任務に当たるということで」
「ああ、そうしてくれ」
「りょーです」
「では失礼します、リゼット教官」
「ああ、お前達」
「はい?」
「その、少し訊きたいことがあるのだが」
「何ですか?」
……この近辺で、静かに過ごせるような場所を知らないか」
「静かに? ルディロームでですか?」
「いや、街の外で」
「えー、どこだろ」
「ですが教官、ここら辺の地理はよくご存じでは?」
「地理はな。雰囲気は地元民の方がよく知ってるだろう」
「セリア、どこかありますか?」
「え、私? シルヴェーア出身って言っても、私もルディロームの出身じゃないですし……
「ああ、そうだな。……すまない、忘れてくれ」
「ほほーう? ね、きょーかん、要するに、雰囲気のいいトコってことですよね?」
「まあ、そうなるか……
「人もいない方がいいっていうならー、そうだなー」
「あ、そういう……
「? どういう? イェルシィ? ミシェル?」
「いや、私は単にだな、落ち着いて休める場所を」
「あの人、リゼット教官とならどこでもいいんじゃないかな、と思いますけど」
「あー、そんな感じするわよね」
「そうそう! でもきょーかんは拘りたいわけですよね!」
……!? つ、つまり、これは、そ、そういう……?」
「そうだよヴァネッさん」
「いやそうじゃないが」
「無駄な抵抗だと思いますよ、教官」
「おい」
「うーん、それならやっぱり森林浴ですかね。湖畔とかお勧めですよ。獣さえ落ち着いてれば、しっかり休めるし雰囲気もいいし」
「やっぱりシルヴェーアの人って森林浴、好きなんですね」
「うん、そうね。だからミシェルも誘ってみたら?」
「! わ、私は別にそういうつもりじゃ」
「おっ、こっちも進展するー? しちゃうー?」
「い、イェルシィ先輩!」
「あの、大丈夫ですか、ヴァネッサさん」
……気にするな。それに教官も彼も大人なのだから、そう、子どもではないのだし……だいじょうぶ……
「(まだこんなに免疫なくて大丈夫なんですか?)」
「(うーん、まあ向こうが何とかするんじゃない?)」
「(頑張ってください……とお祈りだけしておきます)」
……色々と言いたいことはあるが。お前達の意見は感謝する」
「ゆっくりしてきてくださいね」
「ばっちり任務達成してきちゃいまーす」
「大丈夫ですよ、見に行ったりなんてしませんから」
「ご武運を、リゼット教官」
……(ため息)」