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冬灯夜
2017-09-20 10:36:29
1591文字
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2
ナイトフェンサーS
ナイトフェンサーS
ナイトフェンサーS
「おお、終わったか。シュヴァーン隊長がお待ちだぞ」
任務という名の受診から戻ると、ルブラン小隊長に声を掛けられた。
隊長がお待ちとは、どういうことだろうか。報告書は作成するが、まだ何も書いていないというのに。
「先程からずっと待っておられるのだ。これ以上お待たせする気か!?」
とんでもない!
それに隊長直々にお言葉を頂けるなど滅多にあることではない。全速力で隊室に向かうことにした。
ノック。名乗る。声が震えてないとよいが。
「入れ」
質素な隊室に足を踏み入れる。普段極秘任務でいらっしゃらないことの多い隊長だが、飾り立てるのを好まぬ隊長に代わり、隊室は皆で綺麗に維持している。隊長の私室もきっと、シンプルに使いやすいに違いない。
「無事に戻ったようだな、
ナイトフェンサーS
」
!! シュヴァーン隊長に名を呼んで頂けた! ご存じだったとは!
嗚呼今日も落ち着いた声と佇まいである。
「
……
報告を」
うち震えていると、促された。
まずは報告書が出来ていないことを謝罪し(隊長は寛容にもお許し下さった)、口頭で報告をする。
表情は変わらぬが、時折頷きながら隊長は報告を聞いて下さる。一通りを終えると、「そうか」と隊長は溢された。
「ご苦労」
いいえそのようなことは。
隊長の方こそお疲れだろうに、わざわざ報告を待って下さったとは。
……
これは早く隊長にお休みして頂かなくてはならなきのでは!? いつまででもお傍で凛々しいお姿を拝見したいが、仕方ない
……
名残は尽きぬが頭を下げる。
「
……
ナイトフェンサーS
」
はいっ!
「
……
」
反射的に返事をしたが、隊長はやや惑ったように続きを仰らない。
……
何か粗相をしてしまったか! 叱責ならお受けします! むしろ幾らでも!
「お前は」
などと考えている内に隊長が重々しく口を開かれた。
「お前は己を労らない気がある。以前も『罵って欲しい』などと、真面目なのは美徳だが己を責め過ぎるきらいがあるようだ」
言った。確かに言ったがそれはその。ああそのように解釈されるとは。
「身体は労れ。俺の隊にいたいのならば、簡単に死なれては困る」
責められたいのは隊長にです、と口走りかけた所で、真面目な声で隊長は仰った。
「理解したか?」
青とも緑ともつかぬ隊長の目が真っ直ぐこちらを貫く。
首をぶんぶんと振って何度も了解の意を伝えた。
「
……
なら、いい」
――
ふ、と。
シュヴァーン隊長は、目許と口許を緩まされた。
「首がもげるぞ」
そのまま極々軽く、頭に隊長の手が乗る。
ぴたりと止まったのを見るや、すぐに離れた。
「では、ご苦労」
籠手越しでも鍛えられているのがよく分かる固さだった。別の意味で震えだした自分に気付くことなく、隊長は椅子に座り直して書類に目をやる。
退出しなければと意思を総動員するが、ぎこちない動きにしかならない。
「すまない、伝え忘れていたが」
何でしょう隊長!
「もし今後、何かあれば
……
エ、
……
姫さまに治癒を求めるといい」
いま何と仰いましたでしょうか隊長。
「直接が難しければ、フレン・シーフォ団長代行に仲介を頼め。お前のことは伝えてある」
意味が理解できません隊長。
「
……
以上だ」
退出しろとの意を受けて、訓練された身体は勝手に回れ右をする。
「次に会うまで無事でいろ。いいな、
ナイトフェンサーS
」
扉が閉まる直前、聞こえた命令にやはり身体は敬礼をしていたのだった。
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