冬灯夜
2017-09-20 10:36:29
1591文字
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91068

無題

優しい(?)首席
名前変換はお好みで

ナイトフェンサーSナイトフェンサーSナイトフェンサーS「おお、終わったか。シュヴァーン隊長がお待ちだぞ」
 任務という名の受診から戻ると、ルブラン小隊長に声を掛けられた。
 隊長がお待ちとは、どういうことだろうか。報告書は作成するが、まだ何も書いていないというのに。
「先程からずっと待っておられるのだ。これ以上お待たせする気か!?」
 とんでもない!
 それに隊長直々にお言葉を頂けるなど滅多にあることではない。全速力で隊室に向かうことにした。
 ノック。名乗る。声が震えてないとよいが。
「入れ」
 質素な隊室に足を踏み入れる。普段極秘任務でいらっしゃらないことの多い隊長だが、飾り立てるのを好まぬ隊長に代わり、隊室は皆で綺麗に維持している。隊長の私室もきっと、シンプルに使いやすいに違いない。
「無事に戻ったようだな、ナイトフェンサーS
 !! シュヴァーン隊長に名を呼んで頂けた! ご存じだったとは!
 嗚呼今日も落ち着いた声と佇まいである。
……報告を」
 うち震えていると、促された。
 まずは報告書が出来ていないことを謝罪し(隊長は寛容にもお許し下さった)、口頭で報告をする。
 表情は変わらぬが、時折頷きながら隊長は報告を聞いて下さる。一通りを終えると、「そうか」と隊長は溢された。
「ご苦労」
 いいえそのようなことは。
 隊長の方こそお疲れだろうに、わざわざ報告を待って下さったとは。……これは早く隊長にお休みして頂かなくてはならなきのでは!? いつまででもお傍で凛々しいお姿を拝見したいが、仕方ない……名残は尽きぬが頭を下げる。
……ナイトフェンサーS
 はいっ!
……
 反射的に返事をしたが、隊長はやや惑ったように続きを仰らない。
 ……何か粗相をしてしまったか! 叱責ならお受けします! むしろ幾らでも!
「お前は」
 などと考えている内に隊長が重々しく口を開かれた。
「お前は己を労らない気がある。以前も『罵って欲しい』などと、真面目なのは美徳だが己を責め過ぎるきらいがあるようだ」
 言った。確かに言ったがそれはその。ああそのように解釈されるとは。
「身体は労れ。俺の隊にいたいのならば、簡単に死なれては困る」
 責められたいのは隊長にです、と口走りかけた所で、真面目な声で隊長は仰った。
「理解したか?」
 青とも緑ともつかぬ隊長の目が真っ直ぐこちらを貫く。
 首をぶんぶんと振って何度も了解の意を伝えた。
……なら、いい」
 ――ふ、と。
 シュヴァーン隊長は、目許と口許を緩まされた。
「首がもげるぞ」
 そのまま極々軽く、頭に隊長の手が乗る。
 ぴたりと止まったのを見るや、すぐに離れた。
「では、ご苦労」
 籠手越しでも鍛えられているのがよく分かる固さだった。別の意味で震えだした自分に気付くことなく、隊長は椅子に座り直して書類に目をやる。
 退出しなければと意思を総動員するが、ぎこちない動きにしかならない。
「すまない、伝え忘れていたが」
 何でしょう隊長!
「もし今後、何かあれば……エ、……姫さまに治癒を求めるといい」
 いま何と仰いましたでしょうか隊長。
「直接が難しければ、フレン・シーフォ団長代行に仲介を頼め。お前のことは伝えてある」
 意味が理解できません隊長。
……以上だ」
 退出しろとの意を受けて、訓練された身体は勝手に回れ右をする。
「次に会うまで無事でいろ。いいな、ナイトフェンサーS
 扉が閉まる直前、聞こえた命令にやはり身体は敬礼をしていたのだった。