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無窓居室
2023-07-17 08:05:43
9001文字
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カフェデートネタ
😈👹がカフェでデートするだけの話…にする予定だったのに何かややこしい関係性の話になってしまって申し訳ないです。
こんなもんに1週間もかかってしまった。
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「撮れましたか?カメラちゃん」
地下鉄のホームで、アカネの乗った車両を見送ってからブラックは呟いた。すぐに「じっ」という返事と共に助手が姿を見せる。ビルの陰での告白シーンを再生してもらい、ブラックは薄く笑った。
二人の長年のコンビネーションにかかれば、アカネに気付かれないように一部始終を撮影することはわけもない。勿論アップなどせず個人的に収集しておく用だ。
撮影の首尾を確認し終えると、次にブラックはYouTuberの話題が多く語られる掲示板のトピックを開いた。延々と続く文字列の中に見覚えのある名前がある。
〝YouTuberのブラックが○○駅前で女とイチャついてた〟
〝アカネチャンネルのアカネ?〟
〝変装してたけどそうだったかも〟
〝またか、一途だね〟
〝その近くのカフェでも目撃されてたし隠す気なさそう〟
〝どっちも若くて見た目いいけどガチ恋勢大丈夫?〟
〝昔から匂わせ激しいし織り込み済みのファンしか残ってないと思う〟
〝てか最初に騒がれてから何年目よもう。逆に好感あるよ〟
外堀はとっくに埋まっている。鈍いアカネには効果が薄かった──というより、気付いてすらいないようだが。これから役に立つこともあるだろうと満足げにスマホの画面を落とす。
「今日はなかなか上手くいきました。
……
ま、これからが肝心ですけどね」
最初から自分に好意を抱いていたアカネと恋愛関係の筋道を立てること自体は難しくない。きっとここからだ。微妙な判断が要求され続けるのは。それ以上に忍耐が問われるのも。
(好きなところが多過ぎて、ちゃんと恋人になれるかどうか分からないんだ!!)
アカネに言われた言葉を思い出すと、胸骨の奥深くが疼くような気がする。悪魔にあるまじきことと思っていた、甘く柔らかな感情。
「オレちゃんにとってもアナタは後輩で妹で、教え子でもありますよ。同じ気持ちでいてくれて、とっても嬉しいです。でもオレちゃん、それだけでは
……
」
本当はアカネの父親にも弟にも息子にもなりたい。アカネが結婚するなら夫は自分でなければならないし、子を産むならその父は自分でありたいと思う。欲深くなっていくばかりの想いに歯止めをかけるためにも、早く「恋人」としての位置は固めたいところだった。
それは、アカネが今すぐ恋人という関係になることを恐れる気持ちとまるで背中合わせだ。
「悪魔ですから」
優しげだった笑みを怪しく歪めて囁く。結局のところ、悪魔がひとを想うとはこういうことなのだ。アカネの骨の髄まで、魂の底まで食べ尽くしてしまわないように。早く自分を恋という檻の中へ入れてしまわなければならない。
次にやって来た車両に乗り込まず、エスカレーターへ戻ったブラックは地上と地下の境を魔界へ繋ぎ、カメラちゃんと共にその場を後にした。
2023/07/17
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