「審神者の復帰」本文サンプル
プロローグ
時の政府と多くの
審神者が運用する本丸がほぼ壊滅状態になったのは記憶に新しい。
――時間遡行軍による、本丸襲撃。
大侵寇。
現役で活躍する審神者と刀剣男士、政府職員らの活躍により、防衛ラインがオールグリーンになり、防衛に成功した。
それが昨日のことのように思い出せる。
今は、政府と本丸の修復作業にあたっている。あれから数ヶ月は経っただろうか。それでも、修復作業は終わらない。それほどまでに、時間遡行軍の
爪痕はそう簡単に消えはしない
――いうなれば
呪とでもいってもいいかもしれない。
政府内にも、刀剣男士は存在する。最近は、政府の刀も命令により、各本丸に異動所属になることも増えてきた。しかし、政府の元で残る者もいれば
――例外として、政府の元に居ざるを得ない者もいる。
――所属するはずの本丸が襲撃され、運用不能。もしくは審神者の死亡、能力低下や諸事情により『審神者』から身を引いた者の本丸や刀剣男士などである。
目の前にいる政府の人間の話を聞いている振りをしつつ、資料を読みながら数ヶ月前の出来事を思い出している刀剣男士がいた。
「
――――ぎ! おい、聞いてるのか?」
「!
……何かな?」
「はぁ
……やっぱり聞いていなかったか。いいか、もう一度言う。今度は聞き逃すなよ」
そう言って、目の前の人間
――政府職員がペラペラと説明をする。また聞き逃すといろいろと五月蠅いだろうから、少し集中しよう。
政府に所属する刀剣男士
――山姥切長義は、本来ならば与えられた審神者の本丸に所属しているはずの刀剣男士だった。その山姥切長義が何故今でも政府に留まっているのか。それは、先ほどの後者の刀剣男士だからだ。
――審神者の死亡、能力低下や諸事情により『審神者』から身を引いた者。
この山姥切長義は、その者の本丸に所属するはずだった。しかし、特命調査の時には審神者はいなかった。そのため、他の山姥切長義は各本丸へ監査官として向かっていたが、この山姥切長義はずっと、政府で働いている。
審神者の刀として出陣をし、力を全うしたい気持ちはないわけではない。しかし、その審神者が存在しないというのだから、どうしようもないのだ。
なぜ、このような話をするのかというと、数ヶ月前に遡行軍による政府と本丸への大侵寇
――。この出来事により、戦力が大幅に削られたのが今の政府、そして本丸だ。
政府内で、これからの運用について長期間会議をしていた。その会議の中で決まったことが、政府職員が説明している内容だ。
「戦力を補充したいということで、修復チームと、審神者候補者の大量募集だ。で、俺たちがやることは、それ以外の仕事だ」
「
……それ以外?」
「ああ。新規の審神者を入れると同時に、これまで活躍され引退した審神者をはじめ、現役を退いた元審神者などをできる限り連れ戻すようにとの命令だ。俺たちはその任務に当たることになった」
「なるほど」
それならば、ここに呼ばれた理由も納得がいく。仕事場に入った途端に彼に呼ばれ、資料を持たされ、現在に至るのだ。一体何が何だか分からなかったのが、合点がいった。
「で、俺は何をしたらいいのかな?」
「こんのすけを連れて、現代に飛んで、ある元審神者を説得しに向かってほしい」
これが人物の資料だ、と一枚の資料を渡され、受け取った。それは、履歴書のような文書だ。
「これは?」
「山姥切長義が説得する相手の元審神者だ」
「
……女性の審神者」
男だと思っていただけに、内心驚いた。審神者にも男女関係なくいる。女性の審神者に所属した違う固体の自分もいる。だが何故か、所属するはずの主は〝男〟だと勝手に思い込んでいた。目の前にいる職員
――上司が男だからかもしれない。
軽く履歴を目で読む。見るからにどこにでもいる普通の女性だ。特に惹かれるような美女でもなく、地味すぎるわけでもなく、普通だ。しかし、経歴を読むと思わず声を上げてしまった。
「待ってくれ、これは一体どういうことかな?」
「あ? 何がだ?」
「『とある事情で政府側の判断により審神者を辞職させた』とは?」
「あー、それな」
やっぱりそこ突いてくるか、とケラケラ笑いながら軽く頭をさすっている。こういうときは大抵いい返事が返ってこない。歯切れが悪いと言っていいだろう。
「まぁ、詳しくは話せないんだが、その人は不祥事があって、裁判やらなんやらとかけられて、審神者を無理矢理辞めさせたんだよ
――彼女自身は、全然能力はあるし、審神者の中でも上位の霊力の持ち主だったんだがね」
「
……だが、本丸は顕在?」
政府から辞めさせたにも関わらず、本丸と共に戦った刀剣男士は今も顕在すると履歴書に書かれている。
審神者がいなくなると、新しい審神者へ引き継ぐか、解体することになっている。そんな損害を与えている相手ならば本丸を解体し、刀剣男士も刀解してもおかしくない。しかし、政府側が残しているのだ。明らかに矛盾している。
「訳が分からないな」
「俺も同意見だ。上の人間が審神者を下ろさせたのに、今頃戻ってこいって随分と勝手な幹部だ」
はぁ、とため息をつきながら煙草に火をつけてふぅ、と一息ついている。仕事中なんだが、と指摘すれば「少しくらい休憩してもいいだろうが、二度も説明したんだからよ」と返されて山姥切長義は何も言えなかった。
「この任務はいつからなんだ?」
「準備が出来次第、頼むわ」
「分かった」
話がついたので、部屋を出て身支度を整える。基本的に物はないが、整理はしておきたい。場所が『現代』というのならなおさらだ。時間がかかるだろうことは想像できる。
「では、失礼する」
「ああ。準備ができたらこんのすけと一緒に行くといい。連絡は端末と、こんのすけを通じてすれば構わん」
「ああ」
「山姥切長義」
「今度は何かな?」
ドアノブに手を伸ばそうとしたところを、職員に呼び止められ、顔だけ振り返って答える。
職員は何かを口に出そうと動かすが、声にならずにきゅっと口元を閉じた。
「いや、何でもねぇ。現代は基本的に平和的だが、何回か遡行軍が現れる報告も聞いている。気を引き締めてな」
「
――ああ」
数秒待って、何もないと分かると今度こそ、ドアノブをカチャッとひねり、扉を開けた。
背後で何か聞こえた気がしたが、山姥切長義は、気にしない振りをして部屋を後にした。
部屋に残った男性職員は、悔しそうに頭をガシガシとかく。
「もし、『その審神者が今も続けていたならば、お前は彼女の本丸に所属する予定だった』と言ったら、どんな気持ちだったろうな」
何故わざわざ彼に任務を投げつけたか。
本来は、男性職員の仕事だ。刀剣男士の仕事ではない。だが、〝一つの賭け〟にすがり、山姥切長義に任務を任せたのだ。
審神者に戻ってくるよう説得できれば、お前の望みである〝本丸所属〟に繋がるかもしれない
――。
男性職員は、あの山姥切長義の上司だ。本来ならすでに審神者の元へ行っているはずだったが、審神者が存在しないため、仕方なく引き取り部下として面倒を見ている。
ふぅ、と口をあけた。煙がもくもくと出ては消えていく。
「どうでるか、見物かね」
そう言った男性職員は、期待と不安を入り交じったような複雑な表情を浮かべていた。
* * * * * *
山姥切長義は、ロッカールームで必要な物をまとめていた。といっても、必要な物はさほどない。彼は人間ではなく、刀の付喪神で、軽く金銭的なものと軽食程度で事足りるからだ。後は、現代でどうにかすればいいだろう。
腰に肌身離さず持っている、本刀に手を添える。現代の、特に日本では比較的平和だ。そのため、刀剣男士が現代に飛ぶことは滅多にない。だからこそ、刀が必要なのか少し疑問がある。現代は、刀や銃など持ってはいけないらしい。つまり、現代を歩くには、刀を隠して行かないといけない。そして、時の政府の仕事を、表の世界に一切見せてはいけないという、現代より過去の時代に飛ぶとは違った難しい問題がある。
政府に所属する他の刀剣男士は、いつも苦労して戻ってくる姿を見ている。彼もまた何回か任務で出向いたことがあるが、現代より過去に飛ぶ方がよほど楽だ。
「これくらいでいいか」
ここにくるまでに購買部に足を運び、いくつか買い出していた。生ものは少なめに、あとは非常食をいくつか。
そして、連絡用として端末機。これがなければ、政府側がここに戻るためのゲートを開けてくれない。つまり、基本は任務を遂行するまで帰ってくることは許されない。予想外の展開
――例えば、遡行軍の本隊がやってきた、などといった非常事態は体制を整えるために戻る事は可能だが、滅多にない。本丸の刀剣男士はその分、審神者の判断により帰還ゲートを開けて体制を整えることが出来る。
長義にとって、本丸にいる刀剣男士を少し羨ましく思う。政府の刀剣男士は、一部を除いて、刀剣男士を共に戦う仲間とは思っていない。中には見捨てる職員もいる。政府とは、いつの時代も腐っていると思う。
だからといって、今の生活を不満だとも思っていない。政府の補充のために顕現された刀だ。そのために活かされ、利用価値がなくなれば刀解されるのだろう。それでいいと思う。
――だが、もし可能ならば。
どこかの本丸に配属し、審神者の指揮の下で活動し、貢献をしたかったと思う。
荷物の再確認を済ませば、ロッカーの扉を閉める。部屋を出ると、ちょこんと座る白い管狐がいた。
――こんのすけ。政府が作ったAIを搭載したロボットらしい。人間とはこういった技術を作るまでに進歩しているというのだから、驚きを隠せない。たまに、刀剣男士など必要ないんじゃないかとさえ思ってしまう。
「山姥切長義」
「こんのすけ、準備はできたかな?」
「はい。といいましても、私は身一つしかありませんので」
「はは、それもそうだったな」
管狐のサポーターなのだから、何も用意することなどない。道案内や探索などを中心に助け、もし仮に遡行軍が襲ってくることがあれば長義が対峙する。しいていうなら、現代に行く覚悟をするだけ、だろうか。
「では、行こうか」
「はい、よろしくお願いします」
「こちらこそ」
一振と一匹は、現代へ向かうゲートへ向かう。機関を出て、離れたところにゲートがある。そこまで徒歩で行くしかない。
向かう間、長義はこんのすけに話しかける。
「今回の任務について、どこまで把握している?」
「場所は現代。元審神者だった女性を審神者に復帰するよう、山姥切長義が説得することです」
「遡行軍が現れる確率はどのくらいかな?」
ゲートの近くまでたどり着き、こんのすけは足を止めると端末を呼び出し、ポンポンと何やら検索をしているようだ。しばらく待っていると、ポンポンと端末を閉じて言う。
「今のところ、遡行軍が現代を襲う確率は低いです。ですが、可能性はゼロではないことも考慮するところですね」
「ま、遡行軍も審神者と刀剣男士が量産されたら困るだろうから、邪魔してくる可能性はあるだろうな」
だが、現代は表の世界では一切こちら側の事情を出さないことを義務としている。それがたとえ遡行軍側でも、
検非違使側でも通用している。理屈は分からないが、時の政府は、そう説明をしているらしい。確かに、遡行軍も検非違使も表に現れないように仕掛けてくる。ならば、こちらも裏で動くしかないのだろう。
長義は、ゲートに近づいて端末を操作する。時代を『現代』に焦点を合わせる。
ゲートの中に入ると、こんのすけがちょこんと長義の肩の上に乗る。長義はこんのすけを横目で確認すると、奥へと進んでいく。ゲートは、次第に閉じられていく。
元審神者がどんな人物なのか、想像しながら
――。
* * 中 略 * *
しかし、事が事だ。そうも言っていられない。
霊力供給の方法。簡単にいえば『審神者と刀剣男士の接触』だ。お互いの肌が触れればいい。つながりが無ければ繋がれるようにすればいい。その代わり、お互いの気持ちが合わなければいけないのだが。相性が悪ければ、この方法は難しいだろう。
だから引き継いだ刀剣男士と審神者が霊力供給する時は大抵苦戦する、と昔師匠が説明していたのを思い出す。まぁこの場合、お互いがお互いのことを知らないし、警戒しているから余計成功しづらいだけなのだろう。
私はベッドで横たわっている好青年を見る。
私は、〝ある力〟を使う。
ある力
――それは
洞察眼だ。相手の気持ちや雰囲気、そしてどういう人物かというのを少しだけ情報を探ることができる。
私が審神者時代に政府からも審神者仲間からも一目置かれていた部分はこういう力にある。師匠にもそう言った力を独自に持っている。師匠には勝てないけれど。
以前、山姥切長義とファミレスで出会った時。彼が口説いてきたときに私は警戒心をむき出していた。実は、密かに洞察眼を使ったからだ。
どういった了見で、どんな目的で、この人はどういう人物か、それらを読んだ。しかし、
彼には何も読めなかった。
だから、警戒をしたのだ。この人は何者だと。普通の人ではないことだけは分かったのだが、その後刀剣男士だと分かったらなるほど、と納得した私がいた。もしかしたら、彼もまた警戒していたのかもしれない。
こうしている今も、彼がどうなのか見えない。これは審神者と契約していないからなのか。それとも、彼自身が心を閉ざしているのか。
私にとって彼は、いい友達だと思う。以前も思ったが、友達というのはこういうものなんだと教えてくれた人だ。こういう存在をもっと早く作っていれば楽しい人生を歩んでいたかもしれない。そう言う面では彼と出会って良かったと思っている。それ以上でもそれ以下でもない。
しかし、彼にとっては私はどういう存在なのだろう
――。
「
……どうしたらいいの?」
「!
……では、霊力供給をしてくれるのですね!」
「あまり期待はしないで。私もこういったことは初めてだから」
「はい
……! はい
……! ありがとうございます!」
こんのすけは、涙ぐみながらそう言った。
成功する保証はない。私もそういったことはやったことがない。軽く座学で学んだ程度でしかない。
「貴女と彼の肌を触れあえばいいのです。手を繋いだり、抱き合ったり、あとは
……その、二人の世界に入るなり
……」
最後の方は、性行為と言いたいのだろうか。珍しく顔を赤く染めてもごもご、と言いづらそうにしている。
「分かった。こんのすけ、しばらく外に出てくれる?」
「はい
……! 山姥切長義を、よろしくお願いします!」
さすがに管狐の前であれやこれや触れあう所をじーっと見つめられるのは困る。まだ付き合っているカップルなら恥ずかしくないのかも知れないが、私たちは生憎そういう関係じゃない。
考えるな、これは応急処置だ。友達が倒れているのだから、友達として助けるのは当然のこと。そう、海で溺れた人に人工呼吸するようなもんだ。何もおかしなことはない。
などと、私は頭の中で何度も言い訳をする。
こんのすけは小さな時空の歪みを発生させると、どこかへ消えていく。それを見届けると、改めて彼を見る。
静まりかえった部屋。改めて二人きりなのだと認識させる。そして、辺に緊張が走る。
師匠相手にさえしたことないのに
……簡単に引き受けて大丈夫なのだろうか、私。
だが、引き受けてしまったのは後の祭りだ。これも何かの縁なんだろう、後は神に結果を委ねるしかない。
私は、ベッドの横に座る。ふわりとベッドが揺れる。
彼はまだ起きる様子はない。ならば起きる前に終わらせるしかない。そして、何でもないといつも通りに振る舞えばいい。ただ熱を出してたみたいだから看病してただけ、とでも言って。あ、後でこんのすけに合わせておくように言っておかなければ。
「これはあくまで、助けるためだから」
聞いているのか聞いてないないのか分からないが、一応断りを入れておく。
まずは、緊張をほぐすことから始めることにした。どうしたらいいか迷ったが、私自身も慣れるために彼の頭に手を触れた。
サラサラな青髪が、私の手に絡まる。髪の手入れを念入りにしているのだろうか。少し妬けるくらい綺麗な髪だ。
「大丈夫だからね。もう少しだけ頑張って」
私は子どものように彼の手を優しく撫でてあげる。
手から霊力が渡っていくのが分かる。少し、疲れが私の体にかけてくる。霊力は彼の方へ何とか渡っているようだ。次は頬、手、と触ってみる。手を握れば、効果があるのか彼の表情が回復していくのが分かる。
人と触れあう機会なんて何年ぶりだろうか。もしかしたらこれが初めてなのかもしれない。それくらい、記憶がない。
手を握ったり、手と手を合わせてみたりしてみる。男と女
――やはり手の大きさは私の方が負ける。この手で、刀を持って戦っているのだと思うと、何ともいえない気持ちになる。
もちろん、歴史を守るために戦ってくれてありがとうという気持ちもあれば、彼らも人の形を取った神だ、顕現して戦わせられて申し訳ない気持ちにもなった。今はもう審神者じゃないけれど。
あまり無茶はしないでほしい
――。これが彼の仕事なのも分かっているが、そう思ってしまう。
審神者は刀の付喪神を顕現化する。逆に言えばそれだけと行っていい。戦うのは彼らであり、審神者は最後の砦、戦うことはあまりないのだ。
この戦いが終わったらどうなるのだろう、彼らは刀に還り人間達を見守るのだろうか、それとももう少し人の形の体験をしておきたいといって留まるのだろうか。彼ならどうするのだろう。
「少しは自分のこと心配しなさいよ、長義君」
私はそう言って、疲れがどっと来てしまい、意識を失ってしまう。力加減が分からず、やりすぎたのかもしれない。
私は、彼の上に乗りかかる感じになり、深く目を閉じてしまった。
待って、このまま寝てしまったら最悪な事態になっちゃう。
まるで私が彼を襲ってるみたいじゃないか、断じて違う! 違うんだから! と動けと頭の中で指示を飛ばすも、体が言うことがきかなかった。そのまま、視界が見えなくなった。
* * * * * *
ふと目を開けた。
ぼやけた視界が次第に見えるようになり、天井が見えた。久しぶりに見たその天井に見覚えがあった。
ぼーっとする。今まで何をしていたのか。記憶を思い返して見るも、少し頭が痛む。
そして、体を動かそうにもどうにも動きづらい。それに、何か重いものが乗せられているような感覚だ。
視界が暗いため、周囲の雰囲気をみる。そして、目の前には意外な人物がそこにいた。
「
……何で、貴女が」
彼女が、自分を抱きしめるように上に乗っかって眠っていた。酔っ払いか? しかし、お酒の独特なにおいを彼女からしない。彼女は、寝込みを襲うような軽い女性とはとうてい思えなかったのだが、素はそうだったのか? いや、違う。
ファミレスで軽く口説いてみたことがあった。彼女はすごく警戒をしていた。まるで異性とは関わってこなかったのか、初々しい反応だったからだ。成人女性にしては珍しいタイプだと、あの時は調査対象だけでなく、個人的にも興味が湧いていた。
「こんのすけ」
「
……はい」
管狐の気配を感じたので、小さく呼んだ。すると、そっと顔を出す。眠る彼女を気にしているのか、普段とは違い、慎重だ。
*製本版を購入の上、お楽しみください。*