Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
ムクロジカ
Public
文字/夜廻パロ
【可惜夜廻】肆
『「すみません、よくわかりません。」』現行未通過×
※夜廻パロ
1
2
カンジは一人立ち尽くし、夜空をボンヤリと見上げている。数多の星が瞬き、自らを主張する。存在を世界に焼き付けるように輝く姿に、幼いカンジはいつも勇気を貰っていた。だというのに、今ではすっかり一番の畏怖対象である。
背後から近付く唸り声に、ゆっくりと振り返る。幼い頃に見た赤い流れ星が、こちらの喉笛を狙っている。あの鋭い牙は、肉と骨を裂くためにあるのだろう。あの尖った爪は、獲物が逃げぬよう突き刺すためにあるのだろう。そしてそれは全て、自分を殺すために在るのだろうとカンジは思考する。
「
…
ごめんな、ソウゲツ」
オレも好きって、言いたかったなぁ。その言葉を飲み込んで、カンジは飛びかかってきた獣を受け入れようとして
…
「カンジッ!!」
ドンッ! 突然訪れた強い衝撃で、カンジの体が地面を転がる。間一髪でカンジの首から逸れた牙が、ギチギチと不快な音で軋む。
「
……
ソージ?」
「よかった、間に合った!」
彼は、ソウゲツは心底嬉しそうに微笑む。これは夢か、幻か。いや、きっとそのどちらかに違いない。だって彼がここにいる筈がない。それはあまりにも自分に都合が良すぎるのだから。混乱から立ち直りつつ、カンジは目の前のソウゲツに言葉を紡ぐ。
「なんでここにおるん。はやく帰りぃや」
「ああ、帰る。オマエも連れてな」
「
…
オレは帰れん。あの神様に喰われるから」
「これがあってもか?」
そう言って、ソウゲツは懐から骨を取り出す。もう片手には、ひょうたん水筒が下がっている。カンジはソウゲツが大まかな事情を把握していることを知り、しかしそれでも食い下がらない。
「あかん。それは危険や。オマエまで〈アマイヌさま〉に喰われる可能性だって捨てきれんやろ」
「助かる可能性だってある」
「そんな細い骨で、あれが満足すると本気で思っとんのか? 笑わせんなや」
低い唸り声。見れば〈アマイヌさま〉が再びカンジに襲いかかろうと、足に力を込めている。離さないよう傷付けさせないよう、ソウゲツはカンジを抱き締める。カンジはそれを拒絶しようとして、体が震えて動かない。
「
…
堪忍して。オレのせいで誰かが害を得るのは、見たくないんや」
ポツリと溢れた呟き。しかし、ソウゲツは決してカンジを離さない。片手に酒、片手に骨、胸には一番愛する男。そして、目の前では飢えた獣が歯を剥き出している。選択肢は無数にあるが、手繰り寄せられるのは一つだけ。ソウゲツが選んだ方法は──────
1
2
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内