Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
ムクロジカ
Public
文字/Ibパロ
【失笑の歌と蒼い月】四章/前編
一ページ目必読
※Ibパロ
1
2
3
扉を開いたそこには階段
…
ではなく、また通路が伸びている。あの不気味な絵画はなく、美術品も〈作品〉らしきものも見当たらない。これまでと違う様相に、カンジは首を傾げる。
「あれ? 階段やないんや」
「そうみたいだな。もしかして、この階層が最下層なんじゃないか?」
「ならこの階に出口があるんやな! よっし、気合い入れていくで!」
頬を二度叩き、改めて意志を強く持つ。ヒロを見つけ、ソウゲツと自分と三人で外へ帰るために。ソウゲツとはここで出会ったばかりだが、これもなにかの縁だろう。帰った後にまた新しい交流が増えると、カンジは気分が良くなる。人と良い縁を結ぶのは、彼にとってとても好ましいことである。
「なぁ、カンジ」
「ん? どないしたん?」
「オマエは
…
ここが嫌いか?」
意図の見えない質問に、カンジは足を止める。ソウゲツは不安げな、しかし真面目な瞳で目の前の彼を見つめている。理由は分からないが、ここで無視するのも忍びない。カンジはしばし悩んでから、返答をゆっくりと口にする。
「ここはまぁ、悪い場所やないんちゃうかな。さっきみたいに気味悪いところもあったけど、悪い〈作品〉はおらんのやと思う。でもオレには、オレを待っとる友達が外におるんや」
「
…
友達」
「せや。ソウゲツにもおるやろ? やったら帰らなあかん」
友人や家族、他にも自分を待ってくれている存在がいる。それはカンジにとって、十二分に帰りたい理由になる。そう告げるも、何故かソウゲツは納得した顔はしない。いや、むしろ不服そうな顔をしているような気がする。
一度口を固く結んでから、ソウゲツが言葉を漏らす。ドミノを崩さないようにするような慎重さで、カンジに語りかける。
「
…
なら、オマエの────」
バキッ
突然、床が壊れる音が響き渡る。
舞う瓦礫を押しのけて現れたその『イバラ』は、
まっすぐ、カンジへと向かっていった。
1
2
3
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内