【凶星を穿つ】7

一ページ目必読
※MHパロ1nd.


…………ねん少年。ほら、もう痛みはないだろう? 目を覚ませ、少年」


ゆっくりと意識を揺らされ、重いまぶたを上げる。ぼやけた視界が写したのは、背の高い黒髪の男。視野がはっきりし始めた頃には、その奥に金髪の男も見える。どちらもソウゲツには見覚えのない、武具は確りとした印象の見知らぬハンターだ。
そこで漸く、自分が生きていることに気付く。確実に致命的な傷をおったはずの身体は、今では自力で動ける程度に回復していた。


「よし。問題なさそうだぞ、ロルくん」

「良かった。特殊手術お疲れ、メル殿」


二人は自身を確認するソウゲツを見て、彼の状況を把握する。どうやらメルと呼ばれた黒髪の男が、ソウゲツの傷を塞ぎ骨を溶接したらしかった。何とも滅茶苦茶な技術だが、優先的に問うべきことはそれではない。


「カンジは、何処に」

「キミの仲間なら、この先でまだ狩猟中だ」

「!!」

「おっと」


思わず立ち上がり、ソウゲツは駆け出そうとする。しかし太刀を黒髪の男が持っていることに気付き、立ち往生してしまった。何とか奪おうとするが、男は長身を活かしソウゲツの手に武器を渡さない。


「コラコラ。まだ傷は塞いだばかりだ、動くと後が怖いぞ」

「ダメだ。オレは、オレがアイツを!」


ロルと呼ばれた金髪の方が、ソウゲツを宥めようとした。しかしソウゲツは興奮するばかりで、まともに話を聞こうとはしない。鋭い眼光に睨みつけられても、黒髪の男はその表情を崩さなかった。しかし何か通じるものはあったのだろうか、困った顔をする金髪の男に助言をする。


「やめておけ、ロルくん」

「しかしだな、メル殿」

「この眼は死んでも止まらないぞ」


相変わらず太刀は渡そうとはせず、しかし黒髪の男はソウゲツを真っ直ぐに見据えた。品定めされているような感覚で、ソウゲツは不快感を隠さずに舌打ちする。金髪の男はしばらく悩み、小さくため息を吐いた。


「ハァ。随分厄介な子供だな……
まぁ、見える位置には連れて行ってやろう。狩猟への参加は許可できないが」

「おや、珍しいな。天下の参謀殿が根負けするとは」

「いや、キミが言ったんだろ。死んでも止まらないって」

「それはそうだが、了承されるとは思わなかった」

「ボクを何だと思ってるんだい、まったく」

「ああ、こっちだぞ少年。狩場まではそこそこ距離があるから、下手に走らないようにな」


ソウゲツの太刀を握る男の手からは、絶対に渡さないという意志を感じられる。目覚めたばかりで本調子ではないソウゲツに、この男から無理矢理に奪い返すという手段はとれなかった。渋々と言った様子で、ソウゲツは先を行く二人に続いて歩く。


「うぅ、後処理を考えるだけでお腹が痛くなってきた。帰ったら薬を貰うからね」

「ん、任せろ。最近作ったジャーキー味の特製胃薬があるぞ」


よく分からない会話に思考力を奪われかけたが、すんでのところで聞かなかったことにした。