【凶星を穿つ】4

一ページ目必読
※MHパロ1nd.


バルファルクは大気を変換して得た強い龍気を放出することで飛行し、空も地も関係なく通過した道を『煤けさせる』ことが知られる。奇しき赫耀のバルファルクは自身の龍気により暴走状態となっており、過熱され剥がれた古い鱗が何枚も地に堕ちていた。それは赤い彗星から飛来した隕石にも見え、各地で起こる『赤い彗星』の噂の正体はかのモンスターだとも言われる。


「アサヒ、こっちの残骸はどうだ」

「剥がれてそんなに経ってない。確実に近付いてるよ」


なので実のところ、それが『いる』ことさえ知覚していれば足取りを追うことは容易だった。堕ちた鱗は大地に衝突し、それだけでも龍気により周囲を蝕む。鱗の残存期間は決して長くないが、その欠片だけでも本体の場所は大まかに把握できたのだ。

既に溶け始めた鱗を採取しつつ、アサヒは思考する。自身は弓、ソウゲツは太刀。実力のないハンターの狩猟参加は逆に作戦に支障を与える可能性があるからと、現在村にいたG級ハンターのみで構成された二人だけのチーム。
増援の到着にはまだ時間が必要なため、それまでの繋ぎとしてバルファルクの相手をする予定ではある。が、古龍の変異体は(G級ハンターとはいえ)たった二人で狩猟できる程甘くはなかった。それはアサヒもソウゲツも、他のハンターや人々も理解している。だから二人の任務は狩猟ではなく、バルファルクの発見時速やかに情報を伝達することだった。


「飛行は不運、歩行は幸運、墜落したら何より最悪。あの速度は、千里眼でも追いきれないからね、地道に追うのが一番安定して安全さ」

…………

「(そんなに気になるなら、何か言ってくればよかったのに)」


ソウゲツがバルファルクの警戒と同時に、カンジのいる観測所に意識を割いているのがアサヒには分かる。狩猟時には集中できるのがソウゲツだが、万が一にでも怪我をすれば悲しむのはカンジだろうことは理解できた。ただそれを指摘したとしても無意味に終わることも知っていたため、アサヒは何も言わず痕跡探しを続ける。

────キィン
空気を裂く不快な音が、二人の耳に届いた。咄嗟にとった回避行動はほぼ無意識で、けれど有用なものである。何故ならその行動がなければ、二人は確実に命を落としていた。
彗星が大地を揺らし、二人の前に堕ちる。赤い龍気と震える大気が、狩猟の開始を告げた。