hanayasiki
2026-07-21 00:09:58
2691文字
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マサルさんとディーンを交換する話ss

これはssというよりはこういうシチュエーションでおれは妄想していますという説明のようなもの
釈然としない形で終わってるのは、ダイヤさんの引き止めが想像しきれてないため…
二次創作はご都合設定なので謎の神さまがいます
戻ろうと思えば戻れるんだと思う

神様はボクに言う。
元の世界にいるマサルと、この世界のボクを交換しないかって。
最初は意味がわからなかったけど、どうやらマサルは事故の後に異世界転生とやらをしていたらしい。そして、その行き先がボクの世界だったとか。そんなことある? あるのか。そうか。

ボクはその提案に即座に返答した。
迷う理由なんかない。答えは一つ。

「交換して!」


ーー


そんなわけで、ボクは元の世界に戻った。

神様はダイヤが寝てる時にやってきたから、ボクの独断ですべてを決めた。
寝てるダイヤのほっぺにキスをして、頭を撫でて、ずっと大好きだよって囁いた。
ダイヤは耳がいいから起きてしまうかも、と少し期待したけれど、起きなかった。ちょっと残念。
指輪を外して、枕元に置いていった。もっていきたかったけど、ダイヤはマサルと結婚したいだろうし。離婚してあげないと可哀想だ。

結婚して7年、出逢ってからは15年。ボクも28歳になっていた。何度か大喧嘩をしたけれど、それ以外は穏やかで幸せな日々だった。
手放したくないなあ、とか。ずっと一緒にいたいよ、とか。未練は残る。でも、ダメだ。相手がマサルならば譲るべきだ。マサルだけがダイヤの本当の幸せ。ボクがあげられる幸せは偽物なのだから。

いまごろ、マサルと仲良くしていることだろう。考えると泣きそうになった。でも、いい。ダイヤが本当に幸せならボクはいくらでも我慢できる。

ーー

戻ってすることはもちろんない。生きる気もない。とっとと死のうと思ってた。
でも、生家の様子はさすがに気になったのでそれだけ見に行くことにした。リギア語がいくらも不便になっていた困った。母国語なのに。
戻った時にいた場所は都市の酒場だった。マサルがここにいたのだろうか? 特に興味はないのでなにも探らない。
女の一人旅は危険かなあと思いつつ、まあもしもがあっても別にいいか、という気持ちだったので、特になにも考えずに故郷を目指すことにする。

すると、ポケットでスマホが震えていることに気づいた。どうやら、そのままもってきてしまったみたい。でも、繋がるわけないんだけどな。電波とかないだろうし。そう思いながらも画面を確認する。ダイヤだ。出てみる。

「ダイヤ?」
ディーンか?』
「わ、すごい。どうなってるんだろう。これも神様の奇跡なのかな」
『ディーン!!なにしてる、早く戻ってこい』
「マサルは?ちゃんと戻ってる?」
……戻ってる。ディーン、それより』
「そっか、よかった。じゃあ、お幸せにね。大好きだったよ。バイバイ」

ダイヤがなにか言いかけていたけど構わず切った。マサルとの惚気を聞かされならさすがどうにかなってしまいそうだったから。
声が聞けて嬉しかったな。そのことだけに意識を集中した。君が幸せならボクは嬉しい。絶対に。絶対に。

ーー

やっぱりボクの故郷はど田舎だった。
帰るまでには時間がかかりそうだったけど、特に急ぐ予定もない。列車をなん度も乗り継いで、あとは馬車とか……まあ、その時その時で考えよう。女の体で戻ってきたことは少し後悔した。体力が少ない。超能力が切れてるのか、男に戻ることもできなかった。
ぼんやりと列車を待つ。するとまた電話がかかってきた。ダイヤだ。出る。

『聞いてくれ、ディーン!俺はマ』
「お前と話すことはないです」

切った。列車に乗るので電源を落とした。マナー違反はよくない。

ーー

列車に揺られながらうたたねをする。
夢を見た。子供の頃の夢。ダイヤに抱きしめてもらいながら、微睡む夢。幸せだった。泣きそうなくらいに。
でもどこかでずっと不安だった。マサルだったらよかったのに、って思われてないかって。怖くて、怖くて、不安だった。

ーー

お金はどういうわけかいくらか持っていた。
マサルの所持品だったのかもしれない。
遠慮なく使わせてもらうことにする。
宿に泊まった。ボクの年齢でも、女であれば誰かをひっかけて一泊くらいはできるかもしれない。
ただ、どうせ事が済んだら死ぬ気でいるのだから、最後の人はダイヤのままにして置きたかった。
また、電話。一瞬迷う。でも、まあ、出ることにした。

『俺だ。切らないでくれ』
「ダイヤだ。ねー、もう夜遅いよ」
『こっちは夜じゃない』
「え、そうなの」
『お前はなにをしてるんだ。無事なのか。一人でいるのか』
「なにもしてない。実家見てこようかな〜って。今はもう寝るとこ」
『ディーン、戻ってこい』
「おやすみ、ダイヤ」
『待て、切るな』

大好きだったよ、と。
最後に伝えて電話を切った。
またかかってきたら嬉しい。けど、もうかかってこなくても嬉しい。
ダイヤは優しいからまだボクを気にしてくれている。
でも、ボクが気にならないくらいにマサルとの日常が回り出したのなら、ボクもダイヤを手放した甲斐があるというものだ。
それにしても戻ってこいだなんて。
ダイヤのことだから、あれかな。
マサルのこともボクのことも幸せにする気でいるのかな。
そんなの無理だよ。ボク、絶対嫉妬しちゃうもの。いまだって、こんなに苦しい。
空いている薬指を撫でる。
涙を堪え、安宿の硬いベッドで体を丸めた。

明日も朝は早い。早く寝てしまおう。

ーー

何度か列車を乗り継ぎ、見知った土地までたどり着いた。
まだ実家は遠い。けれど、ここからならば馬車と徒歩でどうにかなるだろう。
宿を探して街を歩いているとスマホが震える。
街中でスマホを出すのは抵抗があったから、無視をした。しばらくするとスマホは静かになる。
宿に入ってから掛け直そうとすると繋がらなかった。どうやら一方的なものらしい。
残念。ダイヤの声を聞きそびれてしまった。
もしかしたらこれが最後になっていたかもしれないのに。
まあ、仕方ない。最初から永遠の別れをしたつもりできたんだし。それにしては随分ダイヤと話せている。嬉しい。神様って結構優しいかも。
でも、もし。次またかかってきたら、最後にお願いしてみようかな。嘘でもいいから、好きって言ってって。そしたら思い残すことが本当になくなる。
安心して死ねる。
ダイヤのいない世界で、生きるつもりはない。

ーー

山道を辿り、生家に到着した。
なんともぬけの空だった。お父さんはもちろん、スージーたちもいない。家の中もからっぽ。家具もない。ただ、朽ち果てた家そのものだけがあった。
驚いたのはボクのお墓だけはあったこと。
じゃあ、つまり、それって。

ーー電話がかかってきた。