しゅう as 猫田しゅうぞう
2025-12-20 20:59:47
1482文字
Public GQX
 

証言

GQX シャリア・ブルについて 第三者からみたやつ
「それこそ、大佐のはしゃぎようときたら熱烈でしたよ」

 シャリア・ブル中佐のことですか? 残念ながら、大尉の頃しか面識がないのです。それで構わない? はあ、それならお答えできますが、大したことはなにも。特に親しいわけでもありませんでしたからね。
 そうですね――第一印象から、記憶に残る方でした。いえ、悪い意味ではないですよ。ずいぶん独特な雰囲気の男だなと、思いました。華々しく旅立った時の写真とは印象が違う、とも。しかし四年の木星任務から戻られたばかりでしたので、お疲れだったのかもしれません。それに、俺たちはいつもあの人の眼差しに、妙にドキリとさせられたものでした。勘がいいだけだとおっしゃっていましたが――少なくとも俺は、勘で知らない単語を言い当てることなんかできませんからね。いやね、時折自分が口にしたか覚えのないことも、大尉は拾ってくださるようなところがおありでした。え? 怖いと思わなかったか? どちらかといえば、助かる部分が多かったですよ。それこそメカニックなんかは喜んでいました。生真面目な人でしたから、物事を伝えるにも言葉を選ぶところがおありだったんですかね。
 ああ、しかし船団をまとめていたというにはずいぶん穏やかな物腰の方ですから、最初はパイロットたちになめられていたようでした。しかし着任早々に大佐に気に入られるだけの実力がおありでしたから、やっかみも長くは続きませんでしたね。そもそも、シャア大佐についていけるパイロットはそれまでいませんでしたから。
 それこそ、大佐のはしゃぎようときたら熱烈でしたよ。はは、大尉ご本人よりも、そちらの印象の方が強いかもしれません。
 まあ、初陣で連邦の艦を落として、大佐と一緒に帰投してみせた方ですから。
 あれはすごかったな。帰投するなり、コックピットから飛び出してきた大佐がね、リック・ドムのコックピットが開くと同時に大尉を中へ押し戻すように飛びついて。熱烈としか言いようがないでしょう? ああ、そういえば大尉とおられると時折、大佐にも年相応なところがおありなのだなと気づかされもしたものでした。
 まあ大尉はどなたに対しても態度の変わらない様子でしたが、シャア大佐のほうは一目で気に入られていたようでしたね。半ば手を引くのように艦内を案内されて、初日からあちこちで足を止めては二人で話し込んでおられました。てっきりお知り合いだったのかと思いましたが、初対面だったと後で聞いて驚きましたよ。それぐらい、最初からお二人は親密に見えました。
 それでも、意外でした。ゼクノヴァで大佐が行方不明になられて、隊も解散になって。それでもう五年ですよ? シャリア・ブル大尉がいまだにシャア大佐を探しておられるとは。いえ、もう中佐になられたのでしたね。そう思えばたった五年ともいえますか……シャア大佐もずいぶん昇進の早い方でしたが、似ておられますね。
 しかしまあニュータイプというものがどんなものなのかなんてのは、俺には結局よくわかりませんでしたが――二人ぼっちの同胞でおられたお二人ですから。意外でも、驚きはしませんでした。それに、大尉が着任される前の大佐を思い出そうとすると、なんだか欠けているような気がするぐらいです。だからまあ……納得したというのが、一番近い感想ですね。
 ああそうだ、先日のイズマコロニーでの中佐の無茶、聞きましたよ。あれじゃまるで大佐だ。
 ハハハ、そうですか。そうでしょうね。たぶんあの頃のソドンに乗っていた奴ならみんな、そんな風に思ったはずですよ。あの頃は大尉こそ、俺たちと一緒にシャア大佐に振り回されていたはずなのにって。