しゅう as 猫田しゅうぞう
2022-05-26 07:44:05
527文字
Public ソーロキ
 

無題

ラブサン予告の背中の刺青をどう処理していいのかわからなくて書いた

背中はまだ熱を帯びている。ソーはうつぶせに眠ったことを思い出しながら身体を起こした。つぎはぎのソファの縫い目が頬に跡をつけている気がして頬を掻き、その現実を確認する。だが酒を控えたぶん、むくんではいないはずだ。贅肉も皮膚のたるみも残っていない今なら、すぐに消えるだろう。
朝陽の溢れるワンルームで数歩も歩かずたどり着く冷蔵庫からビールの瓶に吸いつく指先をどうにか剥がし、昨晩押し入れた水のボトルを取り出す。口をつけると喉の渇きが自覚できた。
昨晩は刺青の図案を手にタトゥーショップに行ったのだ。背に大きく入れろと依頼し、肩甲骨を掠める針に呻いてきた。色は入れず、ぼかしまで。背中に入れるのは初めてだ。シンプルな図案でも腕よりずいぶん時間を要した。それに鏡越しにみた背中の赤みにはぎょっとしたものだ。やりすぎたと思わなくもなかった。だが、目覚めても後悔はない。むしろやってやったぞという達成感すらある。
それにしてもまだ熱く、痛みがある。冷やすのが足りていないのか。
――今こそお前がいたらよかったのにな」
ソーは呟いて、自分の背中の熱に目を閉じた。
皮膚をいたずらになぞる冷たい手の記憶はずいぶん遠い。それこそ「安らかに」などと彫ったぐらいには。