しゅう as 猫田しゅうぞう
2020-03-21 19:44:27
823文字
Public ID:INVADED
 

無題

ID:INVADED 墓掘りのこと書きたくてうまく書けなかったが出しておくやつ

時々視線がぶつかるたびに、どちらともなく慌てたみたいに目を逸らした。たとえば夜の車窓に映りこむ姿をお互い盗み見るような距離は縮まらなかった。二人きりで喋ることさえなかった。
だから真正面で向き合って、お互いに目を逸らさないのははじめてだった。数田は夢に見たかもしれないと思うぐらいの自惚れはあっても、井波はそれを夢にさえ見たことはなかった。
数年ぶりに顔を合わせたところで急に改まることはなく、二人はやっぱり苗字で呼び合った。きれいになったね、と手元に視線を落とした数田は言った。記憶より数田は少し大人びていた。
室内だからと帽子を脱がせれば消毒液の匂いがして、頭には穴。くぼみなんかじゃない、貫通したものが開いていた。
視線を受けて数田が帽子をかぶりなおそうとするので、井波は咄嗟に手を出して止めた。
皮膚の触れあいに、数田のほうが驚いたようだった。はっとして見開かれる目に井波は思わず笑った。面白く思って甘えた声を出す。昔ならこんな声は出さなかった自覚があった。
「だーめ、隠さないで」
「でも、」
帽子を取り上げて、もう片手で触れる。額に触れる指先、頬に沿うてのひら。
「これ、どうしたの?事故?」
「いや、人に――開けられた」
井波は彼の穴を覗く。指先より小さくて細い穴には陰が落ちていたが、入口を見れば内側の色だった。塞がって盛り上がるピンク色。まだ新しい傷跡だ。
「痛いの?」
「もう痛くない」
数田の視線は縫い止められたように井波だけを写している。だから穴じゃなく彼の目を見れば、ガラス越しじゃなく直接視線が噛み合う。
そういうのは嫌いだ。嫌いだけれど、井波は頬が緩むのをこらえられなかった。
彼の瞳から穴の向こうに視線を移してうっとりと目を細める。
――そうなんだ」
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ここまで書いたけど数田と井波が触れあうのまじで自分と解釈違いでなんとかならんかな、と思っていじっていて、でもどうにもならないのであきらめて出しておく