Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
鯖男
2026-07-03 22:41:01
923文字
Public
Clear cache
俺もお前もどうかしてる
イシヤシのちゅーするところだけ書いた。
都会のコインパーキングは高額だ。
地元と比べると金額は段違いで、車を使うようになってから顕著に感じられた。
だからそこで盛るこいつの心理状態がどうにもわからない。
新宿の町並みは、無数のネオンによって毒々しく彩られている。だがカーフィルム越しでは、彩りも半減し、音もどこか遠くに聞こえた。
俺は目を細め、フロントガラスから正面へ視線を戻す。
目の前には粘度を持った赤のガラス玉。いつもは眼鏡越しだったそれが、楽しげにゆるりと弧を描くのがどうにも癇に障る。
俺は腔内に差し込まれた男の舌を軽く噛んだ。少しでも動揺すればいい。それで癇の虫も収まるだろう。
しかし男は、勘違いかはたまた嫌がらせか。俺の舌をすくい取り、舌先で縁をなぞっていく。
背筋に微弱の電気が走り、ちりちりと神経が痺れた。
きもちいいのかきもちわるいのか。
頭の奥がふやけて芯がなくなっていく。
ふ、とわずかに漏れた呼吸音に、男の目は楽しげに歪む。ひどく腹立たしかった。
尖らせた舌先は男の指先のように繊細で、皮膚の薄い裏側までくると、舌同士を擦り合わせながらわざと音を立てる。
こんな下卑たやり方、男の好みから外れている。
なぜだろう、と思うが、それ以上思考は走らない。E3を打たなければ、俺の脳みそはこんなにも愚鈍だったのか。
緩慢となる頭に活を入れるため、浅く鼻で呼吸をする。
すると男の上気した身体から、仄かに甘い石鹸のような香りがした。そこに混ざるのは嗅ぎ慣れた血腥さ。
決して合わさることのないコラボだ。
倒錯してる。
E3も使ってないというのに、頭がどうにかなりそうだ。
意識は徐々に遠のき、脳の奥では痺れと疼きが混在してる。もはや夢か現実かも曖昧になってきたとき、ようやく俺は解放された。
喘ぎながら酸素を食み、虚ろな頭のまま、元凶を睨めつける。
だが性根がねじれている男は、眼鏡をかけながら事も無げに笑う。
「ふ、は。おねだりですか? かわいいですね」
「ぬかせ
……
ころす、ぞ」
「はは、怖いなあ」
一言一言が神経を逆撫でする才能がある。
嫌な奴だ。
気が済んだのか、男はシートベルトをつけ、スマホを弄る。ロックの下りる音を確認後、滑るように車は走り出した。
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内