鯖男
2025-07-20 22:34:41
1084文字
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レイチォ

えっちしたあとのちょっとしたシーン。えっちしたあとだから伏せるためにぷらいべったークッション

柔らかなナイトランプだけが部屋の明かりだった。
明かりから離れた周囲の闇は深くなり、まるで大きいだけで飾り気のないベッドだけが闇に浮かんだ船のように見える。
レイホンはあまりにも幼稚な考えを一笑に付した。そして手持ち無沙汰からベッドサイドに置かれた葉巻を手に取り、一拍のちに戻す。
なにせ口寂しさならもうすぐ解消できると知っていたからだ。
シャワールームの扉が開く。薄い湯気と共に出てきたのは、今までベッドを共にしていたチォウであった。
艶やかな黒髪は珍しくも下ろされており、普段の巌のような印象が和らいでいる。そうしていれば育ちの良い子息に見えるだろう。だがよくよく見れば髪は拭かれているものの、未だ水分を含んだ状態だった。自身のケアへの大雑把さに、レイホンはチォウの内面をひとつ知った気がした。
「湯をもらった」
「おん」
返事のちにレイホンは手招きし、チォウは警戒することなくベッドへ乗った。二人の成人男性を支えるベッドは、軋みをあげるも不安なほどではない。丈夫さだけを見て購入したもので、当然だった。
レイホンは向かい合わせのまま、首にかけられていたタオルでチォウの髪を拭き始める。毛量も長さもあるので、本腰を入れなければ拭ききれないだろう。だがタオルが毛先を覆うことはない。髪を拭くなんて触れる名目なのだ。じゃれ合いの一種。触れるのに理由がいる男の情けなさだった。
そのくせレイホンは髪の隙間から覗く首筋に咲いた華に悦を感じる。頭の冷静な部分が子どものような所有欲の誇示に嘲笑するも、冷静な自分を嘲笑するレイホンもいた。
お行儀良くかっこつけていきなりかっ攫われたらたまらんわ。
「レイホン」
ふと声をかけられる。なんや、なんて返事はできなかった。
そのとき既にレイホンの唇には、チォウの唇が重ねられていたからだ。
ひやりとした唇が触れた程度で、接待やら処理で女に不自由ないレイホンにとってお遊びのようなキス。
だというのに全身の細胞が沸き立ち、体温が上がる感覚に青い頃を想起させた。
「触れたければ触れればいい」
「──は、あれだけヤッたってのにまだ触れろとか言うやん」
レイホンは嘲笑気味に口元を歪ませる。だが何度も自身の唇に触れる仕草が、青さを物語っていた。
「俺はお前を『内』に入れたぞ」
チォウはレイホンの手を取り、自身の胸元へ当てる。吸い付くような肌はしっとりとしており、情事を思い出させるには十分だった。
「どこに触れたい。どこを暴きたい。例えどこを選んだとしても俺はお前を許そう」
問いかける夜色の双眸は、どこか蠱惑的で熱を帯びていた。