鯖男
2024-02-23 22:36:17
475文字
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剥き出しの刀

剣契ムと黒雲グの戦闘開始。書きたいところだけ書きました。

裏路地特有の湿ったニオイと陰鬱な空気。本日はそれに嗅ぎ慣れた血腥さが充満していた。その正体は、作りは異なるものの、闇に潜む黒を纏った者の死体のせいだろう。乱立する雑居ビルにアートな血しぶきを残して絶命している。
雑居ビルに挟まれた大通り。少し視線を滑らせれば死体が転がっているような戦火の中。
二本の刀が向き合っていた。
方や傘を深く被り、表情は見て取れない。ただ、傘の隙間からは蒼い眼光が漏れ出ている。
方や柔和な笑みながら眼光鋭く、その双眸は飢えた獣を連想させる。
互いの手には刀があった。
月明かりのように冷たい輝きがあった。
劫火のように熱い燦めきがあった。
「──我が名はムルソー」
傘の男──剣契の頭目だった男が名乗る。
もはや壊滅した剣契であり、頭目などという役職も消え失せた。
「──我が名はグレゴール」
眼帯の男──黒雲会の副組長だった男が名乗る。
こちらも壊滅した黒雲会であり、副組長などという役職は消え失せた。
組織はなく。
肩書きもない。
そこにいるのは二本の刀であった。
「いざ──」
「尋常に──」
白刃が交差する。