「ん? なんだあんた、フィロリアルに興味があるのかい? ならお目が高い。ここはフィロリアル牧場。だがな、そんじょそこらのフィロリアル牧場じゃないぜ。ここはあの槍の勇者がフィロリアルを購入していった由緒ある牧場なんだ。
その顔、信じてねえな? まあ槍の勇者って言ったら他の勇者に比べてお伽噺の要素多過ぎだから。『太陽と見紛うばかりの炎魔法と、フィロリアルを模した外套。その両方が相まって、戦う姿は不死鳥のようだった……。』ロックバレー国立図書館にある図書の一文だよ。これだけで神話感パンパないよな。
そんな槍の勇者、フィロリアルをこよなく愛していたらしくてな。立ち寄る村々でフィロリアルを大量購入していたらしい。……勇者なのに買ったのか。なんか親近感湧くな。
で、大量のフィロリアルを育てていき、食べるものや主人になる者で毛色が変わることに気づいたんだよ。それは歴史的発見だったな。フィロリアルの遺伝子が飼い主や食べるものによって変化するなんて誰も気づかなかった。槍の勇者は武芸だけでなく、研究者の才もあったんだな。……なんか言いたそうだな。なんでもない? ならいいか。
槍の勇者が愛するフィロリアルの中でも特に名前が挙がるのは、なんと言ってもホワイトスワンだな。
ホワイトスワンは名前の通り、全身真っ白な羽根に包まれた血統書付きのフィロリアルだ。一度走り出せば疾風の如く。音すらも置き去ってしまうと言われている。そんな疾風迅雷たるホワイトスワンに生身で追いついたのが槍の勇者だ! ……そんな顔するなよ。説明してる俺だって盛りすぎだと思ってる。でも有名な歴史書に載ってるんだよ。書いた奴、筆乗りすぎたんじゃないか?
気位が高いホワイトスワンは、自身より早い槍の勇者を主人として認め、頭を下げたと言われている。このシーンがロックバレー王国でロングヒットを叩き出してる『四聖勇者物語』で使われているんだ。あんた、見たか? あそこに出てるフィロリアルは俺の牧場から出してるんだ。
……あとよく記載されてるフィロリアルがいたな。でもこれはあまりはっきりしてなくて、物語に厚みを持たせるために記載されてるんじゃないかと俺は踏んでる。
そのフィロリアルは白地に淡いピンクの羽根を持つと言われている。全てのフィロリアルを纏めるフィロリアルの女王たる彼女は、聖女と見紛うばかりの容姿で信仰を集めていたとか。
気づいたか? 混色の羽根を持つフィロリアルはいない。どんなに食べ物を厳選しようとも、人間亜人はたまた貴族が飼い主になろうとも、単色のフィロリアルしか生まれないんだ。
……いや、これは作り話ではないと思う。混色のフィロリアルはいるし、必ず生まれるさ。なんたってフィロリアルを信仰していた槍の勇者様がそう残してるんだからさ!」
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