鯖男
2022-12-15 17:20:39
888文字
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リンニク2

原作にあったニコルがドレス着てるときに元の姿に戻るやつ

男物の服一式持ってきてくれないか?

不意に入ったメールには意味不明な要望と、届けてほしい場所が記載されていた。
とあるショッピングモールの六階の女子トイレ。
女子トイレ。
……何やってんだ、あの男」
呆れながらも、簡素な文章には焦燥を感じられた。
救いを求める者を天使は見捨てない。
それは悪魔とて同様だ。
リンは適当なエコバックをひっつかみ、自身の服を押し込んだ。

ショッピングモール六階の女子トイレ。
三つのトイレがあり、一番窓際のトイレのみ使用中となっていた。
そこには人が──悪魔がいた。
目の覚めるようなスカイブルーのドレスは、褐色の肌にとても映えていた。
悪魔を主張する角と尻尾は赤く、その毒々しささえ魅力としている。
黒山羊の耳がふるふると振るわせているのは、そこはかとない不安からか。
トイレの個室には女が──訂正。男が一人、座り込んでいた。
「リン~リン~、頼むよ~」
手を合わせる様は神に祈りを捧げる信者そのものであった。だがニックが祈りを捧げているのは名も知れぬ神ではなく、顔も名前も性格も知っているリンという天使にだ。
身じろぎ一つするだけで、華奢なドレスは悲鳴を上げる。タイトなスカートにスリットが入ってしまい、ニックは大人しく便座に座る。
高身長であり、伊達男然とした男が着るには、スカイブルーのドレスは拘束具となってしまった。
と、不意にこつ、こつ、と窓を叩く音に顔を上げる。
「リン!」
「うわあ変態!」
「てめえこの野郎!」
天使のあまりもな物言いに思わずけんか腰になるも、見慣れたエコバックを眼前に出され、行儀良くなる。
「えへへありがと。くれ」
…………
リンの視線が滑るように上下に揺れる。
ハイヒールはサイズが合わなくなったので脱がれていた。
惜しげも無く晒された筋肉質な足は、動く度にスカートが上がってしまうので大人しく揃えられている。
「なあリン。服くれよ。なあ、ねえ……ちょっと……目、怖えんだけど……
ショッピングモール六階の女子トイレの一室の話だった。
そしてその階のトイレは、そこしか使われていなかった。