鯖男
2022-10-04 22:19:39
1453文字
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大人ピノホロ

モブ視点。深夜のコンビニでコンドーム買う話

深夜のコンビニは随分と閑散としていた。
なにせ周囲に民家はほぼなし。ビジネスホテルとラブホが数軒といったところか。時たまそこで働く人やそこから帰りの人が立ち寄るが、それまでである。
それにビジホもラブホも食べ物飲み物完備してたりするからなあ。わざわざコンビニ寄らないかあ。まあその方がコンビニバイトとしては楽だからいいけど。
ホットスナックの残量を確認し、レジ金の集計を取る。聴き慣れた店内放送が眠気を誘うが我慢である。あと数分もすれば休憩中の先輩も戻ってくるだろう。我慢である。
と言っても船を漕ぐのは我慢できなかった。立っていても眠いのだから相当である。
いっそのことお客さんも来てないことだし、レジで寝ちゃおうかな……
悪魔のささやきに耳を貸そうとした瞬間、軽快な入店音で現実に引き戻される。
「おあっ!……っしゃせー……
時計を見れば午前二時。丑三つ時だった。そりゃ眠くもなるわ。つーか丑三つ時とか客も幽霊だったらどうしよう。ラブホとか怪談話多いもんなあ。
客は男二人だった。
一人は白シャツにカーゴパンツ。ぱっと見ガテン系に見える。入店早々一直線で酒コーナーに向かっていくところを見ると、今夜はビジホで酒持ち帰るのかな。
そんなガテン系を止めることなく、買い物カゴをぶら下げるのは連れの方だ。連れは薄手の上着にジーパンの外国人だった。つーかスタイルいいな。股下何センチ、いや最早メートルあるんだ。
「何買うの?」
「ストゼロ」
「バカの酒じゃん」
「ば、バカじゃねえよ。350ミリに詰まった元気の源だろ」
「んな元気捨てちまえ」
うーん、外国人正論。ガテン系喋りながらストゼロ、カゴに流し入れるな戻されてるぞ。
結局ガテン系に許されたストゼロは三本だった。三本許してくれるんだ。大概甘いな。あれ、ほぼアルコール飲んでるようなもんじゃねえ?
「お願いしまーす。あと55番一つ」
煙草購入時に番号で伝えてくれる客は良い客だ。例えストゼロ中毒でもそう思う。変なとロコでガテン系の好感度が上がってしまった。
購入したのはストゼロとビールとおつまみ数点。やっぱりビジホで呑みかな。
「ホロホロ、これも」
流暢な日本語で外国人はそう言う。カゴに放り込まれたのは小さな箱だった。キャラメルかな。んなわけない。そうだよアレだよ。
コンドーム。
そりゃ場所が場所だから、他のコンビニよりコンドームの種類は豊富だよ自負してるよ。でもこんな堂々と買う? いや買うわ。レジやってわかったけど、この外国人顔がいい~。堂々と買うよ俺だってこの顔持ってたら買うよ。でも知り合いのカゴにコンドーム放り込むのはできねえや!
「てめ、なに入れてんだよ」
「必要なもんだろうが。あ、でもサイズ小せえかな」
小さいの!? これLLなんだけど!? 小さいの!?
俺もコンビニバイト始めて短くないんでね。動揺とか胸に仕舞っておけるんだけどね。驚愕するでしょ。でもこれ、うちで置いてある一番でかいサイズなんだけどな。
でも小さいかもな。だってこの人めっちゃ身長ある。お国柄なの? 股下も長けりゃタッパもあってアレもでかいってか。
「サイズとか知らねえよ。てめえのちんこだろ」
「いや、お前は知ってんだろ」
知ってんの???
ねえ、なんでガテン系の兄ちゃん目泳いでんの? 耳とか真っ赤じゃん。
ねえ、なんで外国人の兄ちゃんにやついてんの? 俺、なんか見せつけられてる? 深夜の妖精が見せた夢か?
深夜のコンビニバイト、魔境すぎるだろ。