鯖男
2022-09-02 22:10:40
679文字
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カリホロキス

ま〜〜じでキスしてるだけ第二弾

壊れ物に触れるような繊細な指先がたまらなく嫌だった。
もっと乱暴にしてほしかった。
もっと貪ってほしかった。
俺でなければ駄目だと求めてほしかった。
だが相手は思慮深い大人だった。後先考えない俺とは違う、しっかりとした大人だったのだ。
男の指先が腕をなぞる。そのまま手首へと移動し、指を絡め合う。俺の生白い指と男の骨太な指が絡み合う。ただそれだけだというのに下半身が重くなり、猿みたいだと自嘲する。
自嘲する。
猿みたいにまぐわえれば、この泥のような想いなど霧散するというのに。男は果たさせてはくれない。しっかりとした大人だからだ。不毛だった。
かじ、と男の唇を甘噛みする。ねだったつもりだった。逞しい首に回した両手で男の髪を弄びながら、唇を舐め、鼻を噛む。
なあ。
あんたからは何もないのか、と目で訴える。男の瞳は黒曜石のように黒々と冴えていた。やがて息を吐く。ため息ではなく、呼吸を整えるそれ。男の腹は決まったようだった。
男の厚い唇が目尻に触れる。そこから鼻、頬と下り、やがて唇に当てられた。俺は期待に膨らむ胸をどうにか抑えながら、ゆるりと唇を開く。そのまま離れることも視野に入れながら、薄らと。差し入れられた舌は男のものだった。瞬間、頭の奥でファンファーレが鳴り響く。
男の舌は唇同様に分厚く、差し入れられただけで腔内全て舐め尽くされると錯覚するほどだった。そんな舌が俺の舌を掬い上げ、唾液を塗りつけるように舌同士を擦り合わせた。溢れ出る唾液は混ざり合い、口端から垂れていく。
仔犬の鳴き声が遠くで聞こえた。
それは俺が情けなくねだる声だった。