鯖男
2022-05-31 22:23:12
1070文字
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短いピノホロ

駄目な日ピノを慰めるホロホロくん

今日は駄目な日だった。
誰にでもあると思うが、何をやっても駄目な日というのは存在する。
結果が駄目なわけではなく、自分が納得できない駄目というのが最悪。
なにせ周りにはわからないのだ。いや、わからない方がいいんだが、自分だけが納得していないみたいで嫌だった。ガキの癇癪そのものである。

天井から落ちる雫が顔に当たり、意識が戻ってくる。
どうやら風呂に入りながらぼんやりしていたようだ。そこまで駄目日だったのか、オレ。
「んあ? どーしたんだよ、ピノ」
オレの脚の間に座るホロホロが、振り向きながら顔を覗いてくる。なんでもねえよ、と手で追い払えば、なんでもなくねえだろ、と距離を詰めてきた。面倒くせえな。
正直な話、聞かれても説明できないのだ。気圧のせいか、気分のせいか。はたまた星の巡りかシャーマンキング様の気まぐれか。なんとなく駄目な日なんてそんなもんだ。
大人はそれを『なんとなく』で切り抜ける。大体は日を跨げばどうにかなるもんさ。
だがまだ子供であるホロホロには理解できないんだろ。オレだってこのぐらいの年齢のときはどうにかしようと足掻いたもんさ。
懐かしさに目を細めていたら、ホロホロの目も細くなる。ただホロホロの目には疑惑やらがまざまざと滲んでいた。そんなにオレの「なんでもねえ」を疑ってんのか、こいつ。信用を揺らがせるな。
……仕方ねえなあ」
ホロホロは小さく息を吐き、膝立ちとなる。そして振り返った。なだらかな上半身が眼前に晒される。そしていつもなら日に焼けていない真白な肌が、温められ赤く染まっていた。それがどうにも欲情的で、オレの下半身が元気になりそうだった。勘弁しろ、思春期か。
「ダメダメなピノお兄ちゃんを慰めてやるよ」
にい、と口元を歪ませる。それは悪戯を仕掛けるクソガキのものであり、下がいる兄特有の笑みでもある。
ホロホロの両手が、オレの後頭部へと回される。そして髪を梳きながら自身の胸元に押し当てたのだ。成人男性が未成年の胸元に顔を埋めるの、やばくないか? そして情けなくないか?
「なにしてんの……?」
「んー、落ち着かねえ?」
声質からすると本気でやってるを理解する。だけどこういうのって服着てるときやらない? 決して全裸のときにやるものではないと思うが。
だがホロホロの髪を梳く手つきが堂に入っており、言うことを躊躇われる。いや、冗談抜きで気持ちいいな?
「どうよ? 落ち着く?」
「あー……いいかも」
……今日はすけべ禁止な」
「なんでだよ。このまますけべしようぜ」
「禁止でーす。ふひひ」