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鯖男
2022-05-27 19:01:18
1908文字
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ハオホロif5
カリムとおしゃべりして葉くんと初対面
東京都米軍横茶基地。
そこから飛行機でシャーマンファイト本戦場所まで移動する。
ハオはなんでもないように告げた。
そこで「なんでそんなことを知っている」と言う者はいなかった。ハオの配下は皆、ハオの言葉をそのまま飲み込む。そういった集団の集まりだった。
「なんでそんなこと知ってんだ」
だが。
ホロホロだけが疑問を口にした。
一同は睥睨するものの、黙ったままだった。ホロホロの他の者とは違う行動は、これが初めてではないからだ。
初めはペヨーテを皮切りに、ハオへの信仰が深い配下からの折檻があった。なにせ神に成ることが決定づけられている者への疑問である。時代が時代なら死刑も免れまい。
それら全てを黙らせたのは力だった。
スピリット・オブ・レインと圧倒的な巫力差。
とはいえ、ホロホロとしては争いたいわけでも、仲間内で序列を決めたいわけではない。ただ疑問を。質問を。会話をしたいだけなのだ。
それからは鋭い視線を向けられるときもあるが、それだけで収まるようになった。
ハオはホロホロの疑問に、ゆるりと笑みを浮かべる。まるで生徒の質問に答える教師のように優しく教えた。
「僕が未来王、だからね」
「なんだそれ」
「口を慎みたまえ、ホロホロ」
言葉に圧はなかったが、ラキストの停止には抗えない何かがあった。ホロホロは両手を挙げ、口を閉じる。
「じゃあ明日、横茶基地に着いたら各自自由行動ということで」
「御意に」
ラキストの声に合わせ、皆頭を下げる。ホロホロを除いては。
「うっわー
……
」
正午を少し越えた辺りに着いた横茶基地は、ホロホロの想像とは異なっていた。
例えるならば広い公園を貸し切っての小規模な祭り。例えるならば地元の都会の方の学校での文化祭。所々見えるチープさがそう思わせるのか。
「つーかカリム!」
「うむ。らっしゃい」
フランクフルト、たこ焼き、チョコバナナと出店が軒を並べる中、見知った人物を発見する。それは予選にて、ホロホロの担当となったカリムだった。
「何やってんだ!?」
「シャーマンファイト運営資金調達活動に決まっているだろう」
「パトロンとかいねえの?」
そもそもシャーマンファイトとは、紀元前から始まった神を決める戦いである。それほど歴史があるものなら、パトロンなり資金源なりあるだろう。ホロホロは漠然と思っていた。
「シャーマンファイトはパッチ族の十祭司のみで運営されるからな。一民族にそんな資金、あると思うか?」
「
……
悪ぃ」
謝罪ついでにチョコバナナを購入する。出店価格の少々割高だった。
「そーいや十祭司のみで運営してるって言ってたけど、試験とかも十祭司だけでやってんのか?」
「手分けしてな。だから俺の担当はホロホロのみではないぞ」
「この人数を掛け持ち
……
」
集合時刻にはまだ早いが、ここには随分な人数が集まっていた。更に集まるとしたら果たして十祭司一人につき、何人担当しているのか。ホロホロは想像するだけでげんなりと肩を落とす。
「じゃあカリムの担当って他にどんな奴いんの?」
「おいおい、それは情報漏洩になるだろう」
「ヒントヒント!」
「駄目だ」
ぴしゃりと言われれば、こちらとて深追いはできない。まあホロホロとしては、相手の情報を知らなくとも倒すだけなので問題はない。ただの会話の糸口探しだった。
カリムはチョコバナナにカラースプレーをかけながら、小さく、それこそ隣にいなければ聞こえないほどの声で囁いた。
「
……
まあ、氷使いは珍しくもない、ということだけ」
「はあん?」
「さーて、次の準備に移らなくてはな!」
カリムは忙しなく作った数本のチョコバナナをホロホロに押しつけ、出店に『休業中』の札をかける。そして小走りで格納庫へと向かった。恐らくそこがハオの言っていた飛行機がある場所だろう。
もしかして飛行機の操縦もパッチ族、ないし十祭司がやってんのか。
『ブラック企業』という言葉が頭をよぎるが、首を振って気にしないことにする。それはもうホロホロの手には負えない。
「うへえ~~」
なんとも情けない声に思わず振り向く。見れば財布を落としたようで、小銭が散らばっていた。
「何やってんだよ」
「おお、すまん」
ホロホロが手伝ったのは単なる気まぐれだった。それに同い年ぐらいで、親近感が湧いたのだ。ただそれだけ。
「いやー、ありがとうな」
「もう落とすな
……
」
よ、と最後まで言い切れなかった。動揺したのだ。それは少年の顔にある。
眠そうだが柔和な顔つきは好感が持たれるだろう。琥珀色の双眸は綺麗に透き通っている。
だがそれ以上に。
ある男に、ハオに相似していた。
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