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鯖男
2022-05-10 17:12:33
1086文字
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くじびきピノホロ
くじ引き堂衣装でパロ。とある国の祭司ピノ×次期族長のホロホロ
ほんのりと藍を混ぜ込んだ夜色の空は、徐々に朝を連れてくる。
藍と朱が混じり合う境界線は、菖蒲を思わせる紫へと変化していた。
もう暫く経てば空は白ずみ、藍も朱も姿を消すのだろう。
本日は晴天の予報だった。
国の外れに一軒家があった。
平屋のそれは大分古いものだったが、手入れが行き届いているのか、重厚さを感じさせる。瓦造りの屋根はこの国特有で珍しい。家の持ち主である青年は幼年の頃の移民であり、未だに家から出るところを見られると、同僚から「馴染んでねえな」と揶揄される。そこに悪意など含まれていないのを知っている青年は、成人の祝いに買ったキセルを吸いながら煙を吹きかけるのだった。勿論そこには特別な意味などはない。
青年は簡素なベッドの上で静かに寝息を立てていたが、異様な肌寒さに毛布を掴む手が強くなる。だが次の瞬間、両手でしっかと握った毛布を離すやいなや、布団の至る所を手を伸ばし始めた。まるで何かを探しているような仕草に、喉元を鳴らすような小さな笑い声が青年の耳を擽った。
「
……
なんでそんなとこいるんだよ」
「悪いな。朝が早いもんで」
窓際に置かれた椅子に立て膝をつきながら座る少年は、愉しげに口元を歪ませる。よくよく見れば少年の身支度は完了しており、後は愛用の額の当て布とカフスをつければ終了である。
「窓開けんなよ。さみいじゃん」
「暖めてやろうか」
両手を広げる少年の申し出は、ひどく蠱惑的だ。夜の色を滲ませる空色の双眸が細くなる。耐性がなければ、昨晩からの延長を願うところだ。
「馬鹿言え。そういうのは夜やるって決めてんだ」
青年は観念したようにベッドから身体を起こす。澄み切った朝の空気を気持ちいいが、布団の温もりすら取り払ってしまうのは頂けない。すぐさま上着を羽織り、窓を閉める。
「節操あるんだな」
「まあ祭司サマですしぃ。次期族長サマもちゃんとしてくださいね?」
「次期族長サマに手出す時点でちゃんとしてんのかよ」
「そこは内密にしろよ
……
」
揶揄が二倍に返ってくるとは思わず、青年は気まずそうに目を逸らした。一方、珍しく口先で勝てた少年は、鼻歌を歌いながらカフスを取り付ける。聞き慣れない音程は少年の自国の歌なのだろう。不思議な音程だったが、聞き苦しいわけではない。
「
……
うし、完成」
少年が振り向けば、金属の触れ合う音がする。
右耳につけられているのは精巧な細工が施された二つのカフス。そしてそれを繋げるチェーンである。金色のそれはシックな少年の衣装と合っており、華美に見えない。
「じゃあ今日もよろしくな、祭司殿」
「ええ。次期族長殿」
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