鯖男
2017-02-03 15:09:49
953文字
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俺の狗(槍士)

ぺろぺろかみかみが好きなランサーと大型犬に好かれてる士郎くん

俺は狗を飼っている。本人に言ったら烈火のごとく怒られそうだ。変更。俺は狗(仮)を飼っている。
その狗は二足歩行をし、箸を使い、酒を飲む奇想奇天烈な狗だ。しかも大変に俺に懐いており、ペロペロと顔中舐めまくる。今日も飽きもせずにペロペロと。狗の挨拶やもしれない。

「坊主ー坊主ー」
まず頬に肉厚な舌を這わせ、そのまま首筋まで降りていく。鎖骨の窪みを舌先で擽り、動脈辺りを甘噛みした。うーん、結構犬歯鋭いからやめてほしい。
「っん……なんだよ。今日は変に舐めてくるな」
「んーそっかー?」
狗の返事は気がない。浮き上がっていく血管に丁寧に舌を滑らせ、ひたひたになった唾液を一気に啜る。
「そうだよ。いつも顔周りだけなのに今日は首筋まで……っんん」
なんか変だ。いつもと舐める場所が違うだけなのに、電流が走ったみたい。その様子を見た狗は嬉しそうに笑った。うん、嬉しいのはいいことだ。
「ははーん、坊主はここがいいんだな」
「っん……なに?」
「いんやなんも? 明日は違うところに『挨拶』するからな」
笑みを深くしてそう言う。
ああ、よく見たら好物の料理を出した時の笑顔に似ているなあ。

俺は子どもだから、いつもランサーに甘えてばかりだった。
あの大きい手で頭を撫でられると蕩けそうになるし、「坊主」と呼ばれると子ども扱いに腹が立つものの、ランサーの顔を見ると許してしまうのだ。
「坊主はかわいいな」
「俺、男だしもう高校生だぞ」
そういったところでランサーのかわいいかわいいは終わらないのだ。それが嫌じゃないからどうしようもない。
「坊主、ちゅーするか」
「へ、ぇ?」
言葉の意味を理解する前にランサーの顔が目の前にあった。そしてすり、と頬ずりをする。まだまだ産毛しか生えない俺とは違い、ランサーには色素の薄い髭が生えていた。そんなところで俺とランサーの年齢差を見せつけられる。
「ぁ、う、」
カサカサな唇同士が触れ合い、離れていく。ああ、ここで女の子ならリップなんかしてぷるぷるの唇だったろうに。 ランサーには悪いことをしてしまった。
「─とか考えてねぇよな」
……むぅ」
「いいんだよ。カサカサだろうがぷるぷるだろうが俺はお前としたかったんだ。ナイショだぞ」
そういってランサーはウインクをした。