鯖男
2015-12-12 22:01:56
1054文字
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機械竜弓と技師士郎(士郎出てない)

ツイッターで垂れ流していたものを繋げてみました。

あるところに青年がいました。
その青年は技師でした。
朝から晩までスパナを握りしめて修理に没頭しています。
「直してくれてありがとう」
そんな言葉を聞くたびに胸が暖かくなるのを感じていました。
ある年、戦争が起こりました。
街は焼け、人々は炭へと姿を変えました。
「ああ なぜ。どうして」
青年は苦悩しました。しかし戦争は止みません。苦悩するだけで戦争が終わるのならすでに終わっているはずなのですから。
どうすれば。どうすれば。
ふと、握りしめているスパナが目に入りました。
ああ、そうか。
青年はひらめきます。
彼にとってはひとつの冴えたやり方でした。
青年は自身の体に機械を埋め込みました。兵器を作るのではなく、自身が兵器になることを選んだのです。
まずすべてを切り裂ける爪を手に取り付けます。
それから空を飛べるように鉄板と歯車で作った翼を背中に取り付けます。
しかし飛ぶことはできず、よくて滑空できるのみでしたが。
残った人々を守るために次々と、次々と改造を施していきました。
並行して戦争時の食料難により村々から食料を強奪にくる兵士崩れを撃退したり、爆弾をよそへ投げたりすることは山のようにありますから
どんどん改造し、最初に味覚がなくなりました。しかし問題はありません。青年は自身の体の改造に没頭します。
次に触覚がなくなりました。しかし問題はありません。青年は自身の体の改造に没頭します。
次に──次に──
やがて戦争は終わりました。
残った街の人々は抱き合って喜んでいます。
青年もほっと胸をなでおろしました。
そんな青年の前に少女が走ってやって来ました。青年は目線を合わせるためにしゃがみこみます。
「ねぇ あなたはにんげん? それともばけもの?」
最初、少女の言っている意味がわかりませんでした。青年は人間です。この街の技師です。
そんなとき、足元に割れた窓ガラスの破片があり、青年の姿を映し出しました。
そこに写っていたのは、機械と人間が醜く混じり合った化物の出来損ないでした。
鋼で作った鋭い爪は皮膚に食い込み、青年のものとなっています。鉄板と歯車で作った翼は背に癒着しています。
まるでお伽話に出てくる竜のようでした。
ただひとつ違うのは青年は龍のように幻想的な力も火を吐くこともできません。すべてハリボテつくりなのですから。
それでも今の青年は『ニンゲン』ではありませんでした。
街の人々の視線は口よりも雄弁です。
青年は街を去りました。
──それが100年前のはなしです。